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悪魔王ルシフ

 外でリルや精霊女王達が戦っていたころ、僕はルシフを探して大聖堂の中を歩いていた。礼拝場所のようなところに来ると、神々の像が粉々に破壊されていた。そして、その場所の地下からものすごいエネルギーが湧き出ているのを感じた。



「ここか!」



 次の瞬間、地下から漆黒の巨大な柱が天井を突き破って天に向かって伸びた。よく見ると、その柱には悲しみもがく人達の顔、怒りと憎しみに満ちた顔、様々な顔が浮かんでは消えている。



「ま、ま、まさかこれは?!」



 そのどす黒い柱が強大な人型に変わっていく。そして現れた姿は頭に大きな角が2本あり、背中には巨大な漆黒の翼が出ている。体長は10メートルぐらいありそうで、大聖堂の屋根を突き破っている。まさしく悪魔の王というべき姿をしていた。



「我に逆らうのは貴様か!」


「ああ、そうさ。」


「なるほどな。神々の恩寵を受けているのか。四天王では相手にならないわけだ。」



 ルシフの身体が触れている場所が黒い砂に変化し、ボロボロと崩れていく。このまま戦えばかなりの範囲に被害が出そうだ。



「ここじゃ狭くて闘い辛いだろ!僕がいい場所に案内してあげるよ!」



 僕は手を広げ、頭の中に亜空間を念じた。



『亜空間創造!』 


 

 そしてルシフを連れて自らが作り出した亜空間へとテレポートした。



「ハッハッハッハッ あのタケルとかいう人間よりは少しは歯ごたえがありそうだ。油断さえしなければ、あんなゴミに封印されることもなかったがな。」



 ルシフの身体から濃い瘴気がどんどん溢れ出していく。どうやら僕も全力で戦うしかなさそうだ。僕は神力を全開で解放した。すると眩しい光に体が包み込まれ、背中に黄金の翼が出た。僕の身体からは神々しい光が溢れ出している。その光とルシフの放つ瘴気がバチバチと音を立ててぶつかり合った。



「貴様はあのタケルとかいう奴と違って人間ではないな!」


「いいや。人間さ。自分ではそのつもりなんだけどね。」


「まあ、いい。殺すだけだ!」



 ルシフの身体が消えた。そしてルシフの拳が僕の腹にめり込み、大きく上に飛ばされた。僕は完全に油断していた。



バーン 

グハッ



 そして今度は上からルシフが叩きつけてきた。



バシッ ドッカーン

グホッ



 やはり強い。大抵の攻撃は予測できるし、瞬時に回避できる。だが、ルシフの動きは予測できても防ぎきれない。まるで武神のフドウ様のようだ。



「いたたた」


「ハッハッハッハッ やはりあの程度の攻撃ではくたばらんか。」



 このままでは僕の身が持たない。



『動くな!』



 僕はルシフに念を放った。



パッン



 僕の念はたやすくレジストされてしまった。



「やはりダメか!」



 すると今度はルシフが魔法で攻撃してきた。今までの敵とは魔法の強さが違う。ルシフが手をかざすと、漆黒の鎧をまとった戦士のような者達が数体現れ、そのどれもが四天王クラスの強さなのだ。僕の額から汗が流れた。流石に勝てるかどうか自信がない。すると、突然頭に中に声が響いた。



“ショウ!あなたの記憶を返すわ!後はあなた次第よ!”



 何やら頭の中に様々な映像が浮かんできた。真っ暗闇の空間の中から眩しく輝く光の球が現れた。そして映像が切り替わり、見たこともない巨大な生物が歩き回っている。その中で槍を持った人間達が巨大生物に戦いを挑んでいた。再び映像が切り替わった。今度は腰に刀をぶら下げた武士のような男がいる。場面が切り替わり、その男がいきなり鎧兜を着て何やら軍配のようなものを手にしていた。どうやら合戦のようだ。さらにその後も何度も何度も映像が切り替わった。



“あれ、これって日本にいた時の僕?”



 記憶に新しい前世の自分が映像として現れた。今思うと、あの時の自分はどれだけ小さな人間だったんだろうと恥ずかしくなる。人のために命を懸けて戦っている今とは比べ物にならない。



“どうしてこんな映像を?”



 僕は心の中で問いかけた。



“それがあなたの成長よ。あなたの修行はまだまだ続くの。さあ、あなたの力を解放しなさい!”



 まるで時間が止まっているようだ。僕に向かってきている敵の動きが完全に止まって見える。僕は深く深呼吸し、体の中のエネルギーを外に向かって解放した。



ドッカーン



 爆音と同時に、僕の身体から眩しい光がどんどん広がっていく。そして僕に向かってきている敵達が次々と光の粒子となって消えていった。その光はルシフさえ飲み込もうとしている。



「ま、まさかこれは?!」



 巨大な体をしたルシフが咄嗟にシールドを張ったようだ。



「貴様を侮っていた。まさかここまでとはな。ここからは本気で行くぞ!」



 ルシフが巨大で真っ黒な竜へと変化し、口からどす黒い光線を放った。僕は剣をグルグル回してそれを防ぐ。さらにルシフの全身から現れた触手が僕に襲い掛かる。



『消えろ』



 僕が念じると先ほどと違って触手は粒子になって消えた。



「ルシフ!僕はタケルさんとは違う!お前を封印なんかしないさ!この場で滅ぼすんだから!」



 今まで余裕に構えていたルシフの顔が引きつっている。



「何をほざく!あの方から頂いたこの力で貴様などひとひねりだ!」



 ルシフが体中から真っ黒な瘴気を出しながら大きな口を開けて僕に向かってきた。どうやら決着の時のようだ。僕はすべてのエネルギーを拳に集めた。



「死ねー!」


『悪魔よ!消え失せろ!』


バ———ン



 真っ黒な光と神々しい光がぶつかり合う。そして神々しい光が真っ暗な闇を飲み込んだ。光がおさまった時、そこには何も存在しなかった。



「フ~。終わった~。帰ろうかな。」



 僕は亜空間から元居た場所にテレポートした。するとそこには精霊女王のソフィアをはじめ7大精霊達の姿があった。



「ショウ————!終わったのね!」


「ああ、すべて終わったよ。」



 ソフィアと大精霊達がやってきた。



「ルシフは消滅したみたいですね。」


「はい。でも、悪魔が完全にいなくなることはありませんから。世の中に悲しみや憎しみがある間は。」


「そうですね。完全な平和はまだまだ無理かもしれませんね。」

 

「ソフィアさん達にお願いがあるんですが。」


「なんでしょうか?」


「この前、ドライアドさん達にお願いしてこの国の一部を復興したんですけど、今日もお願いできますか?」


「いいですよ。今日は全員で協力しましょう。」


 

 それから大精霊の皆さんに協力してもらって、聖都をはじめこのオリント聖教国の全域を復興することにした。手始めに、僕とリル、それにソフィアが浄化した。あまりに面積が広いので、この聖都から聖教国の隅々まで浄化するには数時間を要した。



「ここまで浄化してあれば後は私達だけで何とかなりますよ。ショウさんとリルさんは休んでいてください。」



 ソフィアと大精霊達が目を閉じて何かブツブツ言っている。すると、彼女達の身体から眩しい光の粒子が四方八方に飛び散っていく。目の前の景色がどんどん変化し始めた。物凄く神秘的な光景だ。見たことはないが天地創造のような現象なのだろう。



「あの光の粒子は何なんですか?」


「あれは私達の眷属なんですよ。私達の眷属の精霊は世界中にいますから、彼らに協力してもらっているんです。」



 なるほどと思った。この世界の大地や水、緑に火山や光、闇はすべて精霊達によって維持されているのだろう。



「終わりましたよ。ショウさん。これでまた人々も戻ってくるでしょう。」


「ありがとうございます。ソフィアさん。大精霊の皆さん。」


「いいんですよ。また何か協力できることがあったらいつでも呼んでくださいね。」


「はい。」



 大精霊達が帰っていった。そして僕とリルも自分達の住処である古代遺跡に帰った。


なにやらリルがそわそわした様子で話しかけてきた。



「終わったわね。ショウ。」


「そうだね。でも、まだ完全にこの世界が平和になったわけじゃないよ。」


「どういうこと?」


「だって、まだジパンや魔大陸に行ってないじゃん。」


「だって、悪魔王ルシフも倒したじゃない!」


「でもさ。あいつが言ったんだ。『あの方から頂いた力』ってね。ルシフも誰かに操られてただけなんじゃないかな~?」


「そうなのね。なら、私達の結婚もまだまだ先ってことね。」



 リルが悲しそうな顔で下を向いた。



「ごめん。でもさ。僕は前世で何の役にも立たないろくでなしだったけど、でも今は充実してるんだ!なんか人の役に立ててるってね。それに、そばにはいつもリルがいてくれるしね。」


「ショウ~。大好きよ。」


「僕もさ。」



 僕はリルの身体を抱き寄せてリルの柔らかい唇にキスをした。



「さあ、しばらくここで休んだらジパンに行くよ!」


「わかったわ!」



——————第1部 完 —————



これで第1部が終了です。読んでいただいてありがとうございました。

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