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いざ!オリント聖教国へ!

 ロベルトの案内で僕とリルが屋敷に行くと応接室に案内された。応接室に入るとウオーレン、ナダル、そして生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしているエリーナがいた。



「ご無沙汰しています。ウオーレンさん。」


「ショウ殿にリル殿ではないか!」


「ショウ様。お久しぶりです。」



 すると第2王子のナダルが挨拶をしてきた。



「兄のフィリップからもショウ殿とリル殿のことは伺っています。本当にありがとうございました。国民に成り代わって感謝申し上げます。」


「僕達は別に当たり前のことをしただけですから。」


「変わらんな。ショウ殿は。」


「さっきロベルトさんにも同じことを言われました。それよりもエリーナおめでとう。」


「ありがとうございます。男の子なんですよ。」



 リルが羨ましそうに見ている。そして僕に言った。



「ショウ。この子に祝福をあげましょうか。」


「そうだね。」



 3人は顔を見合って不思議そうにしている。僕とリルは神力を解放した。リルは純白の翼を持った天使の姿になり、僕の背中には黄金の翼が現れた。2人とも眩しく暖かい光を放射している。僕とリルは赤ん坊の頭に手をのせて念じた。



『幸あれ』



 すると赤ん坊の身体が眩しい光に包まれた。かなり神秘的な光景だ。気付けばウオーレンとナダルは床に平伏し、エリーナの目からは涙が流れていた。


 僕もリルも元の姿に戻った。



「座ってください。ウオーレンさん。ナダルさん。僕達はそんなに偉い存在じゃないですから。」


「ですが、二人の背中に翼が出ているように見えたのですが。」



 するとリルが言った。



「私は天使になったのよ。もうフェンリルじゃないわ。それにショウは現人神に———」



 3人が固まってしまった。



「今、神とか聞こえたような気が・・・」


「リル!余計なことは言わないで!」


「だっていずれバレるわよ!」


「そうかもしれないけど、別に僕は人族なんだから。ただ、それなりに神力を使えるようになっただけだし。別に神様になったわけじゃないんだからさ。」


「だって武神様と互角だったじゃない。」


「あれはフドウ様が手を抜いてくれたんだよ。」


「私にはそうは見えなかったわ。それにアテナ様も言ってたじゃない。ショウは現人神だって。」


「もういいよ。でも、僕は人間だからね。」



 驚きすぎてウオーレンさんが気絶してしまった。ナダルさんも気絶寸前だ。



「お父様!ナダル様!しっかりしてください!」



 エリーナの声で2人が元に戻った。そして恐る恐る聞いてきた。



「ショウ殿、いやショウ様。もしやこの子に『神の祝福』を与えて下さったんですか?!」


「やめてください。ウオーレンさん。そんなたいそうなものじゃないですよ。ただ、この子が幸せな人生を歩めるように願っただけですから。」



 すると小さな声でリルが言った。



「それが『神の祝福』じゃない。」



 それから、今まで通り話してもらうようにお願いして全員で夕食をいただいた。久しぶりに食べる辺境伯邸の料理だ。すべてが新鮮でおいしく感じられた。



「ショウ殿。これからどうするんですか?」


「実は聖教国でルシフが復活したらしいんです。すぐに聖教国に向かうつもりです。」



 するとウオーレン達の顔が曇ってしまった。



「やはりそうでしたか。」


「何かあったんですか?」


「はい。以前フィリップ様の件でご相談したことがあったと思いますが、あれからヨハネス王国として承認書の催促をしたんです。」


「それでどうなったんですか?」


「我が国が使者として送った者達が帰って来たのですが、オリント聖教国の国内は酷い状態らしく、聖都ビザンツまでたどり着いたのですが、すでに大聖堂は破壊されていたらしいのです。」



 心配なのは聖教国の人々だ。



「聖教国の人達はどうしたんですか?」


「我が国やマクエル殿のデンブルク王国に避難してきた者達がいますが、ほとんどの国民達は聖教国に残っているようです。ですが、自然災害や飢饉でかなりの数が死んだと聞いています。」



 今度はナダルが話し始めた。



「避難してきた者達の話によると、聖教国内には天災級の魔獣であるヒドラやサイクロプスが現れて暴れまわっているようです。聖都ビザンツにはケルベロスが現れたという噂もあります。」



「ショウ。急いだほうがよさそうね。」


「うん。」



 ヒドラやサイクロプスは本来魔大陸にいる魔獣だ。それがどうして聖教国にいるのだろう。もしかしたらこの2年の間に魔族を支配下に置いたのかもしれない。心配になってきた。

 


「時間がないから飛翔していくよ。」


「わかったわ。」



 ウオーレンさん達に見送られて、僕とリルはオリント聖教国に向かって飛び立った。



「お父様。やはりショウ様は神様になったんでしょうか?」


「どうかな~。だが、本人は人間のままでいたいんだろうな。」


「あの方はこの世界の救世主として使わされたんじゃないですかね。」



 僕達が飛び立った後、ウオーレンとエリーナ、ナダルがそんな話をしていた。


 僕達が飛翔し始めて数時間が経過したころ、オリント聖教国との国境が見えてきた。お互いの国に検問があるのだ。ヨハネス王国の検問では、オリント聖教国から避難してくる人達が長い列を作っていた。逆にオリント聖教国の検問には人がいないようだ。



「ショウ。森の奥からこっちに魔獣が来るわよ。」



 目に気を纏わせてみてみると、森から頭が飛び出た一つ目の巨人がこっちに向かってくる。本の中に書かれていたサイクロプスだ。サイクロプスは目から光線を出して森を焼き払いながら進んでいる。



「リル!修行の成果を見せる時が来たようだよ。」


「そうね。」



 リルがサイクロプスに近づいていくと、さすがに気付いたようで光線を出した攻撃してきた。リルはそれを軽々と避けながらサイクロプスの額に拳をお見舞いした。



バーン



 サイクロプスは後ろに大きく弾き飛んだ。そして立ち上がろうとするところをリルが気を纏わせた剣で斬りつけた。



シュパッ



 サイクロプスの頭が胴体から離れ地面に崩れ落ちた。



「あ~あ。リル。これどうするの?森に影響が出ちゃうよ。しょうがないな~。」



『消えろ』



 するとサイクロプスの身体と頭がどんどん薄くなっていく。そして光の粒子となって消えてしまった。地上にいた人々は何が起きたのか理解できないようだ。もしかしたら、光り輝く2つの未確認物体がサイクロプスを討伐したとでも思っただろう。僕とリルの姿は眩しくて見えないはずだから。



「ここはもうオリント聖教国よ。」


「酷いありさまだね。これじゃあ人々が逃げてくるのもわかるよ。」



 サイクロプスのいた森を抜けると下には荒涼とした景色が広がった。緑の草はなく、岩がごろごろしていてところどころ砂漠化していたのだ。川に流れる水はなく、川原には動物達の骨が散在している。


 

「街があるわ。行ってみましょ。」



 街の入口に人の姿はない。本来いるはずの門兵達さえいないのだ。街に入るとやはり人の姿はない。だが、人の気配は感じる。どこかに隠れているのかもしれない。



「リル。どうしたんだろう?なんかみんなどこかに隠れてるような感じなんだけど。」


「きっと何かあるのよ。探しましょ。」



 耳に気を集中させてかすかに聞こえる話声を頼りに歩き始めた。すると、街の外れにある教会にたどり着いた。この中から声が聞こえてくる。僕とリルが教会に入ると話声が急にやんだ。どうやら礼拝堂の脇に地下につながる通路があるようだ。隠し扉を開けると灯りが見える。



「どうやらここにいるようね。」



 僕とリルはゆっくりと階段を下に降りた。すると、地上からは想像もできないほど広い空間に出た。そこに大勢の人々が集まっていた。僕達を見て怯えているようだ。



「安心しなさい。私達はあなた達を助けに来たのよ。」



 リルが必死に声をかけるが人々の怯えは取れない。するとリルが神力を少しだけ開放した。辺り一帯が温かい空気に包まれていく。そしてうっすらとリルの背中に純白の翼が見えた。その光景を見て人々は天に向かって泣きながら祈り始めた。


 司教の用は男性が天に向かって言った。



「おお、神よ。感謝します。神は我らをお見捨てにならなかった。」



 他の住民達も歓喜の声を上げ始めた。



「天使様だ!天使様が来てくれたんだ!」


「神よ!感謝します!」



 住民達が僕達に向かって祈り始めた。



「祈りはいいわ。それよりも何があったか教えてちょうだい。」


「わかりました。」


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