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いざ!エルフ王国へ!

 ペルの案内で王都フィンクスを堪能した後、夕方になったのでペルの実家に戻った。すると、来客のようだった。僕達は邪魔をしないように部屋に戻ろうとすると、コラットさんに声をかけられ、応接室に行くとそこにはレオン国王がいた。レオン国王は席を立って僕とリルに深々と頭を下げてきた。



「ショウ殿。リル殿。この度は本当にありがとうございました。城にいる時は臣下の手前こうして十分な感謝を言えませんでしたが、本当に感謝しています。それに、今日の昼には子どもを助けていただいたようで、重ねて感謝申し上げます。ありがとうございました。」


「いいんですよ。お城でも話しましたが、僕は普通の人間です。リルも同じように思っているんですよ。だから普通に話してください。僕達も普通に話をさせてもらいますから。」


「ハッハッハッハッ よかった~。どうも堅苦しい話し方には慣れてなくて。今後は普通にしゃべらせてもらいます。やはりショウ殿はコラットの言うとおりの人物のようですな。神がショウ殿を使徒に選んだ理由が分かった気がしますぞ。」



 隣でリルがニコニコしていた。僕が褒められたことがうれしかったのだろう。そして、国王を交えて食事をすることになった。食事中、僕とリルは果実水をいただいたが、国王達は獣人族に伝わる強めの果実酒を飲んでいた。



「私はにゃ!最初にあった時からにゃ!ヒック!ショウのことが好きだったにゃ!なのにリルがいるせいで、ヒック、ショウと結婚できないにゃ!」


「ペル!飲みすぎだぞ!」


「いいにゃ!今日はとことん飲むにゃ!」



 だが、その後すぐにペルは寝てしまった。僕達も挨拶をして自分達の部屋に戻った。



「ショウ。あなた、本当に私でいいの?」


「なにが?」


「結婚よ!ペルはあなたのことが好きだし、多分アルもあなたのことが好きよ。」


「2人には申し訳ないけど、僕にはリルしか見えないんだ。」



 リルが僕に口づけをしてきた。僕はリルのことが物凄く愛おしく感じられた。そして数日が過ぎ、僕達はエルフ王国に行くことにした。



「コラットさん。ソマリさん。お世話になりました。ありがとうございました。」


「いいのよ。私達の方こそ楽しかったわ。」


「ペル!いいのか!ちゃんとあいさつしなくて!」



 ペルの目は真っ赤だ。多分、別れがつらくて寝れなかったのだろう。



「ショウ。リル。今までありがとうにゃ。また会いに来てほしいにゃ。」


「わかったよ。」


「ショウは『テレポート』を使えるんだから。いつでも会いに来れるわ。」


「約束にゃ!」



 僕とリルはアニム王国の王都を後にした。エルフ王国まではいくつか獣人の街を越えていく。ただ、人族の大陸よりも森林地帯が多い。まるで東南アジアやアマゾンのジャングルのようだ。様々な野生動物がいる。こうしてみるとやはり魔素の影響で野生動物が魔獣化するケースが多いのかもしれない。



「僕のいた世界には魔素がなかったんだ。だから魔法は使えなかったけど、魔獣なんて生き物もいなかったんだよ。」


「そうなのね。」


「天界で聞いたんだけど、創造神様がこの世界を作った時に人々が暮らしやすいようにって魔素を与えたんだってさ。」


「ショウの世界には魔素がなかったのにどうしてこの世界に魔素を取り入れたのかしらね。」


「わからないよ。もしかしたらいろいろな世界を作って、人々の成長具合を見ているのかもしれないね。」


「どういうこと?」


「僕のいた世界は魔法がなかったから機械文明が発達したんだ。でも、文明が発達したせいで戦争のための大量殺人兵器が作られたんだよ。この世界にはそんなものないでしょ?文明が発達したからって人々の魂が成長したわけじゃないんだよ。」



 リルは不思議そうに聞いていた。



「街が見えてきたよ。」


「そうね。」



 街の入り口で門兵に声をかけられた。意外にも門兵は物凄く好意的だった。先にここを通ったアルが説明していてくれたみたいだ。



「ようこそおいでいただきました。お二人がここに来られることは、アル様からお伺いしていましたので。」



 どうやら兎耳族の街のようだ。他の獣人族やエルフ族もいるが、圧倒的に兎耳族が多い。

街の中に入って気がついたが、この街の人達はお洒落な人が多い様だ。男性もだが、特に女性のファッションは魅惑的だ。上下セパレートの動きやすい服やスカートの丈が短いミニスカートをはいたり、色もカラフルだ。



「この街ってお洒落な人が多いわね。」


「まあね。」


「どうしたの?」


「なんか肌の露出が多い人が多くて、まともに前を向いて歩けないよ。」


「ショウも年頃ね。確かに胸の大きな女性も多いし、セクシーな服を着てる人が多いわね。」



 その後、2人でお洒落なレストランに入った。メニューを見ると肉料理が少ない。日本にいた時も兎は草食動物だったが、やはり兎耳族も草食系の人が多いのかもしれない。



「たまにはこういうご飯もいいわね。ヘルシーで。」


「僕には少し物足りないかな~。」


「でも、フレッシュジュースは美味しいわよ。」



 確かにリルが言う通りフレッシュジュースは美味しい。果物も野菜も新鮮なのだろう。


 食事を終えた僕達は何気なく街を歩くことにした。人間の街にあるような冒険者ギルドのようなものは見当たらない。その代わり、狩人が集まる建物があった。



「珍しいな~!人族が何の用だ!」



 建物に入るといきなり狼耳族の男性に声をかけられた。すると、僕達のことを知っている犬耳族の男性が狼耳族の男性に言った。



「ベルク!その人達は獣人族やエルフ族の女性を救ってくれたんだ。間違っても喧嘩売るんじゃねぇぞ!」


「そうなのか。アルさんが言っていた2人はお前達か。悪かったな。」


「いいえ。大丈夫ですよ。ちょっと見学させてもらっていいですか?」


「ああ、構わねぇさ。」



 どうやらこの建物は狩人が集まる場所で、狩人ギルドと呼ばれているらしい。郊外の畑や野山に出る魔獣を討伐するのが仕事のようだ。ギルド内にはエルフ族以外にも様々な獣人族がいたが、兎耳族は一人もいない。その代わり、犬耳族、猫耳族、狼耳族、虎耳族の男女がいた。



「あそこが掲示板かな~。」


「そうじゃない。見に行きましょ。」



 獣人族の依頼にどんなものがあるのか興味がある。掲示板を見てみると、冒険者ギルドとほとんど変わりがなかった。ただ、冒険者ギルドと違うのはランクがないことだ。誰がどの依頼を受けても構わないようになっていた。



「ショウ!見てみて!これって面白そうじゃない?」



 リルの指さした紙を見てみると、ニンジン畑に現れるモグラの退治をして欲しいと書かれていた。



「これ受けるの?」


「だって、どうせここで一泊するんでしょ?なら、まだ時間があるし、いいんじゃないかな~。面白そうじゃない。」


 

 仕方がないので、僕は紙をもって受付のような場所に行った。



「これを受けてくださるんですか?よかったです!誰も受けてくれないから困ってたんですよ!」


 

 畑のモグラ退治をどうして誰も受けないのだろう?もしかしてとんでもなく臭いとか?きっと何かあるに違いない。



「あ~あ。もし臭い依頼だったら僕は見てるだけだからね。」


「きっと大丈夫よ。」



 畑の持ち主のところに行くと、兎耳族の夫婦が物凄く喜んでくれた。かなり広い畑だが、作物の半分近くを食べられてしまうようだ。



「では、畑まで案内しますね。」



 奥さんが案内してくれた。畑に到着すると物凄く広い。この広い畑でモグラを全部討伐するのは不可能に思える。



「これ広すぎるよ。どうするつもりなの?」



 それから相談が始まった。奥さんは不安そうに僕達の様子を見ている。方法が決まれば後は実行するまでだ。2人で畑の中央に行った。



「やるわね!」


「OK」



 リルが地面に両手を入れて強烈な電撃を放った。土の中にも関わらず、リルを中心に電撃が放射線状に伸びていくのがわかるほどだ。たまらずモグラ達は地面に出てジャンプした。



「ショウ!今よ!」


『止まれ』



 あたり一帯の時間が停止した。動けるのは僕とリルだけだ。驚いた表情の奥さんも口を開けたまま止まっている。僕はリルとモグラをすべて回収していった。



「これで全部ね!」


「これどうするの?」


「燃やすしかないでしょ。」



 リルが炎の魔法でモグラ達を燃やしていく。そして僕は再び時間を動かした。僕達がモグラを燃やしているのを見て、奥さんは驚きすぎて気絶してしまった。すべてが終わった後、奥さんを起こした。



「終わりましたよ。」


「一体どうなってるの?あなた達何をしたの?」


「モグラを退治しただけですよ。」


「それはわかってるわよ。」



 僕達は奥さんに終了の報告書にサインをもらって狩人ギルドに戻った。予想通り受付のお姉さんに驚かれ、報奨金をもらって宿に行った。そして翌日、いくつか街を越えてようやくエルフ王国までやってきた。王都を出てからここまで5日ほどかかった。少しのんびりしすぎたかもしれない。


エルフ王国は王都ユグドラだけの都市国家だ。王都にほとんどのエルフ族が住んでいる。



「やっとここまで来たね。」


「久しぶりの野宿も楽しかったわよ。」



 森を抜けて王都ユグドラに入ろうとすると、門の中からエルフ族の兵士達が続々と出てきた。そして、一番後ろからアルがやってきた。僕達の知っているアルとは違う。服装も髪型も別人だ。気品まで感じられて、まるでお姫様のようだった。



「待ってたぞ!ショウ。リル。」


「あなた、本当にアルなの?」


「見違えたよ。アル。最初から美人だとは思っていたけど、ここまで変わるとは思っていなかったよ。」



 アルが顔を赤くして周りのエルフ達に言った。



「この二人は国賓だ!宮殿に行って女王様に二人が着いたことを報告せよ!」


「ハッ」



 なんかアルが兵士達に指示している。もしかしたらアルはペルと同じように良家のお嬢様なのかもしれない。



「待ってたぞ!遅かったな!」


「アニム王国でゆっくりさせてもらってたんだよ。」


「そうなのか。まあ、いい。宮殿に行くぞ。母上が首を長くしてお待ちだからな。」


「母上って、もしかして女王様の事じゃないよね?」


「そうだが、なぜだ?」


「やっぱりね。もしかしたら、アルは王女かもしれないと思っていたのよ。」


「そうなの?リル。僕はペルと同じで良家のお嬢様ぐらいに思っていたんだけど。」



 すると、リルがニコニコしながら言った。



「アルの魔力は魔法に優れたエルフ族の中でもトップクラスなのよ。考えればわかるわ。」


「さすがだな。リルは。」


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