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シルバーウルフ達と仲良しになる!

 スチュワート帝国を出た僕達は深淵の森に戻った。そこで、リルが気術の訓練をした後、森の東にあるシルベニア王国へ行くことになった。リルの訓練もかねてゆっくりと徒歩で向かっていたが、食事をしている僕達の前にシルバーウルフの群れが現れた。どうやら肉の匂いにつられてきたようだ。



「どうする?」



 シルバーウルフを見ると、どの個体もかなりやせ細っている。僕は魔法袋からホーンラビットとホーンボアを数匹出して彼らの前に置いた。シルバーウルフ達はよだれを垂らしているがすぐに食べない。不思議に思っていると、後ろの方から子どもらしき小さなシルバーウルフが数匹やってきた。



「こいつら、先に子ども達に食べさせたかったんだね。」


「そうね。魔獣といってもやはり子どもは可愛いんじゃないの。」



 子ども達が食べ終わると、一斉に大人達が食べ始めた。すると1匹の子どもが僕に近づいてきて甘えだした。それを見て他の子ども達も僕にじゃれ始めた。



「どうやら気に入られたようね。」


「そうなのかな~。」



 一番体格のいいシルバーウルフが僕の前で伏せの姿勢をしている。



「服従の印よ。このシルバーウルフの群れはショウに服従したみたいよ。」


「なんで?」


「餌をもらったことが関係してるのかもしれないけど、シルバーウルフは賢い魔獣よ。自分達より強い者には服従するのよ。」


「そうなんだ~。」



 じゃれついてくる子ども達がまるで子犬のようで可愛い。僕が手を差し出すと甘噛みしてくる。なんか癒される。


 その日の夜は、シルバーウルフが見張ってくれていたので僕達は熟睡できた。そして再び森の中を歩き始めると、シルバーウルフの群れが僕達の後をついてきた。



「どうするの?」


「仕方ないよ。彼らの気が済むまで一緒に行くさ。」



 こうして、僕とリル、それにシルバーウルフの群れが一緒に行動することになった。群れは大人が10匹、子どもが4匹だ。子どもの足を考えて、僕とリルは少しゆっくり歩くことにした。シルバーウルフ達を見ていて感じたが、常にリーダーの命令が絶対のようだった。そこで、リーダーにボルフと名付けた。



「ボルフ!みんなを下がらせてくれ!この先にレッドベアがいるんだ。」


「ウォン」



 ボルフの指示でシルバーウルフ達が僕の後ろに下がった。ボルフは賢く、まるで僕達の言葉を理解しているようだった。



「リル!とどめはボルフ達にやらせるから!」


「わかったわ。」



 少し行くとレッドベアが何やら獲物を狙っているようだった。レッドベアの見つめる先にはイエローディアがいた。この際、イエローディアは無視だ。



「行くよ!リル!」



 僕が念動力でレッドベアの動きを止め、リルが剣に気を纏わせレッドベアの足に斬りつける。レッドベアが体勢を崩して倒れたところをシルバーウルフ達に仕留めさせるつもりだ。



「今だ!行け!ボルフ!」


ワオー



 ボルフの指示でシルバーウルフ達が一斉にレッドベアに襲い掛かる。しばらくしてレッドベアが絶命したようだ。



「よくやったな。ボルフ」



 レッドベアを仕留めた後、僕はボルフの頭をなでた。ボルフも満足げだ。そんなことを何度か繰り返しているうちに、ボルフ達の戦闘力もかなり向上した。そして、森の中に岩山のような場所が見えてきた。何やら魔物の気配を感じる。するとリルが声をかけてきた。



「ショウ。この先にオークがいるわよ。結構な数がいるわ。もしかしたら集落があるかもしれないわね。」


「なら、殲滅しないと。」


「そうね。」



 僕達はオークに気付かれないように集落に近づいて様子を伺った。いくつかある巣穴の入り口に10体ほどのオークがいる。暫く様子を見ていると、森の中からホーンボアを運んでくるオーク達がいた。恐らく集団で狩りでもしたのだろう。運んできたホーンボアは3匹だ。巣穴の中からも続々とオークが出てくる。結局、オークは40体ほどまで増えた。



「どうするの?」


「全員で攻撃するさ。」


「ボルフ達は大丈夫?」


「ボルフ達の攻撃力も上がったし、子ども達を守るグループと攻撃するグループに分ければ大丈夫さ。」



 僕達は一斉に森から出てオークに攻撃を仕掛けた。ボルフ達に犠牲を出したくない。そこで、僕とリルで状況を確認しながら討伐していく。横をみるとシルバーウルフ達は3匹一組になってオークを狩っていた。素晴らしい連携だ。



「結構強いのが巣穴の中から出てくるぞ。」


「多分ジェネラルね。どうする?私が討伐しようか?」



 するとボルフが僕達を見た。



ワオー



 ボルフの指示でシルバーウルフ達は後ろに下がっていく。どうやらボルフが単独で相手をしたいようだ。



「わかったよ。ボルフ。任せるよ。」



 ボルフがジェネラルに向かって走り始めた。ジェネラルは他のオークよりも一回りほど体が大きい。しかも棍棒を持っている。その棍棒を力いっぱい振り回す。さすがに強い。ボルフがなかなか近寄れずにいる。



「ボルフ!足を狙え!」



 ボルフはジェネラルの周りをグルグルと走り始めた。ジェネラルはその動きについて行けない。ジェネラルの隙を見て足に噛みついた。だが、ジェネラルもやられてばかりではない。棍棒でボルフを叩いて振り払う。



バコッ


ドカッ



「大丈夫かしら?」


「大丈夫さ。ジェネラルの動きが鈍くなってきてるからね。」



 さすがに走りなれているボルフの方が体力は上だ。ボルフがジェネラルの背後を取った。そして大きくジャンプして一気にジェネラルの首に噛みついた。ジェネラルの首から血が噴き出す。


ブギャギャギャ

バッタン



ワオー



 勝利の雄叫びだろう。森の中にいたシルバーウルフ達もボルフに近づいていく。



「やったな!ボルフ!」



 するとボルフの身体が光始め、身体がどんどん大きくなっていく。光がおさまった時には、グレイトシルバーウルフに進化していた。その光景はかなり神秘的だった。



「凄いわね。グレイトシルバーウルフになったわ。ウルフ系の最高位種よ。」


「もしかして、今更だけど、ウルフ系の魔獣ってリルの眷属だったりするの?」


「眷属って?」


「従者とか家来って意味だよ。」


「意識したことないわね。でも、もしかしたらそうかもね。なんとなくウルフ系の魔獣には親近感があるから。」



 それからさらに数日、森の中を歩き続けた。その間にシルバーウルフの子ども達も徐々に成長している。



「それにしてもシルバーウルフってよく食べるよね?まるでリルみたいだよ。」


「私はそんなに食べないわよ!まあ、シルバーウルフのような魔獣は、討伐した魔獣を保存できないからでしょうね。食べられるときにたくさん食べておかないと生きていけないのよ。」


「なるほどね~。」



 お腹がいっぱいになった子ども達が僕とリルに甘えてくる。モフモフは気持ちいいし、物凄く癒される。


そして、森の中の旅も終わりを迎えようとしていた。木々の間から光が差し込み。草原地帯が見えてきたのだ。



「ボルフ。ここでお別れだよ。僕とリルは街に行かないといけないんだ。」


ワオー



 なんとなくシルバーウルフ達が寂しそうだ。子ども達も僕とリルに甘えるようにまとわりついてくる。



「ダメだよ!街に行くんだから!・・・そうだ!森の奥に古代遺跡があるんだけど、そのあたりで暮らすといいよ。たまに僕とリルがそこに帰るからさ。」


ウォン



 恐らく僕の言葉が理解できているのだろう。ボルフ達は森の奥に消えていった。



「さて、僕達も行こうか。」


「そうね。」


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