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いざ!スチュワート帝国に向かって出発!

 ワイバーンを討伐した僕とリルは、テレポートで深淵の森の住処に戻った。僕やリルの能力がばれてしまった以上、もうギザの街にはいられない。リルと相談した結果、森の反対方向にあるスチュワート帝国に行くことにした。そして今、僕はリルの上にのって深淵の森を南に向かっている。森の北側と南側では生息する魔獣が違っているようだ。北側では人型の魔獣は珍しく、ゴブリンのようなものしかいなかったのだが、南側に来てコボルトやオーク、オーガのような魔獣と遭遇した。どうも人型の魔獣は苦手だ。食べる気にならないだけでなく、討伐した後に罪悪感に襲われるのだ。



“ショウ。そんなにくよくよすることないわよ。オークもオーガも所詮は魔獣なんだから。”


“でもさ。なんか人殺しになったような気分なんだよね。”


“ショウが倒さなければ、数が増えすぎてスタンピードを起こすかもしれないわよ。”


“スタンピードってもしかして魔獣の大量発生ってこと?”


“そうよ。”


“でも、不思議なんだよな~。魔獣ってさ~。どうして生まれるのかな~?リルは知ってる?”


“悪事を働いた人間や成熟段階が遅い生き物が生まれ変わったりしたのよ。”


“そうなの?僕はてっきり野生動物と同じだと思ってたよ。”


“確かにそういう魔獣もいるわね。元々普通の生き物だったものが魔素を取り込み過ぎたものね。ただ、どちらも魔素を多く取り込んでいるのは間違いないわ。”



 なんか不思議な感覚だ。魔素っていうのは、僕の知っている酸素や二酸化炭素と同じようなものなのだろう。この世界の生き物はどんな種族であれ、本来は魔素を吸収する器官があって、魔素を魔力に変えているのだ。そう考えると、僕に魔法が使えないのは魔素を吸収する器官がないのだろう。



“ショウ。あそこに湖があるわ。寄っていきましょ。”


“うん。”



 湖に近づいてみると、湖畔には魔獣や野生動物の骨があちこちに散乱していた。もしかしたら湖に何かいるのかもしれない。僕とリルはゆっくりと湖に近づいた。すると、いきなり湖の中から巨大な蛇が舌を伸ばしてきた。僕は慌てて背中の剣を抜いた。



シュパッ


バタン



 目の前で真っ赤な蛇の舌がニョロニョロと動いている。気持ち悪い。



『燃えろ』


ボッ


“また来るわよ!油断しないで!”



 今度は身体の半分を水面から出している。斬り落としたはずの舌が口からニョロニョロ出ていた。



「えっ?!斬り落としたじゃん。」


“再生能力があるみたいね。厄介よ。”



 巨大な蛇はどうやらキングスネイクという魔獣らしい。僕達を鋭い眼光で睨みつけてきた。そして紫色の液体で攻撃してきた。



ジュワー シュー



「危な~!」



 僕達がいた場所を見ると紫色に溶けていた。



“あれは酸よ!あれを浴びたらひとたまりもないわ!注意して!”


「わかったよ!」



 さらにキングスネイクは酸で攻撃してくる。



“このままじゃ足の踏み場がなくなっちゃうよ~。”



 僕はキングスネイクを水中から引きずり出そうと念じた。だが、キングスネイクの力はかなり強い。力が均衡してなかなか動かない。



「こいつ、かなり力が強いよ!」



僕はさらに念を強くした。すると、キングスネイクの身体が少しずつ水面から出てきた。



「今だ!リル!攻撃してくれ!」


「ワオー!!!」



 リルが遠吠えをするとキングスネイクに雷が落ちた。



バリバリバリドッカーン



 やはりリルの雷は強力だ。キングスネイクの力が一気に抜けたので、僕は念動力でキングスネイクを持ち上げて地面に叩きつけた。



バシッ


“あいつまだ生きてるわよ!”


「大丈夫さ。」



 僕は警戒しながら近づいて、キングスネイクの頭を斬り落とした。



スパッ


バッタン



 どうやらキングスネイクは死んだようだ。



「フ~ 結構強かったな~。」


“そうね。ワイバーンと同じ程度でしょ。”



 食料になりそうだったので、討伐したキングスネイクを魔法袋に入れた。収まるかどうか心配だったが余裕だった。一体この魔法袋にはどれくらい物が入るんだろう。

 

 

「さて、少し休んだらいこうか。」


“そうね。”



 なんか最近不便を感じる。僕が言葉で話しかけ、リルが念話で答える。たまにややこしくなることがあるのだ。



「あのさ~リル~。」


”何よ。急に。“


「リルは神獣なんだろ?だったら変身できないの?」


“変身?”


「そうだよ。だって、ギザの街では『少年と大きな犬』で有名になっただろ?だとすると、僕達のことだってすぐばれちゃうじゃないか。リルが人の姿に変身できればその問題も解決できるだろ?」


“できるわよ。身体を小さくもできるし、人間の姿にもなれるわ。ショウがそうして欲しいならそうするけど。その代わり私の背中に乗れなくなるけどいいの?”


「別にいいよ。歩いて行けばいいだけだもん。それより、念話で話すより直接話をしたいんだよ。」


“もしかして、ショウは寂しいの?”



 リルの言う通りかもしれない。一人でいた時には感じなかったが、街で暮らすようになっていろんな人達と話をした。一度その楽しさを覚えてしまったからだろう。



“いいわ。でも、人の姿になった私を見ても嫌わないでよ。”



 リルの身体が神々しい光に包まれていく。そして、徐々に女性が現れてきた。女性というよりも少し年上の少女だ。



「すっごく美人じゃないか!」


「そう?」



 リルがもじもじしながらはにかんでいる。でも、服はどうしたんだろう?



「その服はどうしたの?」


「ああ、この服は魔法で作ったのよ。似合ってる?」


「まあね。」



 上下がセパレイトで、上は動きやすい服、下は短パンだった。



「ショウ。あなたどこ見てるのよ!」


「ああ、ごめん。リルも女性だったんだなって思っただけさ。」



 その後、南の方向に二人で歩いた。時々走っては歩いてを繰り返した。その間、どれだけの魔獣を討伐したか覚えていない。ただ、ホーンボアよりもキングボアの方が肉が柔らかくておいしかった。



「そろそろ森を抜けるわね。」



 森を抜けると目の前には大草原が広がっていた。その草原の間を大きな川が流れている。



「ちょっと待ってて。」



 僕は目に気を集中させてぐるりと眺めてみた。



「あった!」



 草原のはるか向こうに街が見えたのだ。



「あっちに街があるよ。」


「なら、早くいきましょ。」



 森の中にも草原地帯にも道はない。長く伸びた草に邪魔されながら僕とリルは街まで走った。1時間近く走ったところでようやく草原地帯を抜けた。今、僕達の目の前には畑が広がっている。畑のところどころに人の姿がある。僕は魔法袋からフード付きの服を取り出して深めにフードを被った。



「ショウ。その服はどうしたの?」


「これはエリーナが買ってくれたんだ。他にもいろいろと魔法袋に入ってるよ。」


「そうなのね。なら、今度は私が選んであげるわ。」



 なんかリルの機嫌がよくない。


途中から左右に伸びる道に出た。その道を辿って街に向かった。街の周りにはギザと同じように高い城壁がある。恐らく森から魔獣が来るのを防ぐためだろう。



「お前達はどこから来た!」


「はい。ヨハネス王国からです。」


「ヨハネス王国?森の反対側の国か?」



 僕は冒険者カードを見せながら言った。



「森を迂回するのは大変でしたよ。」


「当たり前だ。だが、子どもだけでよくあんな遠くの国からこられたもんだな。」


「ええ。このスチュワート帝国は住みやすい国だって聞いてますので。どうしても来たかったんです。」


「そうかそうか。入っていいぞ!」


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