謎の館(前編)
ゆっくり更新でお話進めていきます。よろしくお願いいたしまするm(_ _)m
私はクエストをして何度も何度も魔物と戦っているうちに鎧の着物の使い方が分かってきました。
魔物が私に襲いかかってきた時に鎧の着物は光魔法を張り私を守ってくれます。
張っている光魔法に魔物が触れるとあの店主の言った通り本当に一瞬で消滅します。
張っている光魔法から闇属性の攻撃を吸収して倍にして跳ね返す光魔法も存在しているみたいです。
張っている光魔法から一度使うことが出来ました。私の掌から光魔法を発生させ攻撃も出来ます。
その光魔法をとばすことで魔族を消滅させることも可能です。この鎧の着物はチート級です! 私が思うにまだまだ鎧の着物には隠された真の力が存在しているかも分かりません。
それにですね、鎧の着物を装着しているのに体の底から力が漲って来るのが分かります。
本当に私は鎧の着物の選ばれし者だと実感しています。魔物を倒したことで森の中にあったゴールドもたくさん、たくさん手に入れました。
一万ゴールドは手に入れましたね。だから宿にも泊まれますし、好きな物もいっぱい食べれるかな? 最早、剣なんて要りません。
剣なんてなくても私には鎧の着物があります。だから安心です。念には念を入れて武器を購入しても構いませんが、武器があっても今の私には邪魔にしかなりませんね。
それにこんな凄いチート級の鎧を500ゴールドで譲らせるなんて、神様の罰があたるかも分かりません。
そうだ! ゴールド滅茶苦茶貯めたらあの店主のところに持っていってお返ししても良いですね。そうですね、そうしましょう。
これだけ鎧の着物の使い方が分かれば彼女達の役に立てるはずです。
それにしてもワカナさん達、大丈夫かな? もう魔王四天王達に挑戦しているのかしら? もっと早くに鎧の着物を手に入れていたら、私はみんなの役に立てていたのに…。
それにしても何か胸騒ぎがする? 何故か嫌な予感がしたので急ぎました。
私はワカナさんにたくさんたくさんお世話になりました。
元々両親のところですくすく育った私ですが、15才の頃のことです。
15才くらいになると神様から戦闘スキルが与えられます。
戦闘スキルが与えられた者は打倒魔王を目指し、戦闘スキルを磨き修行していきます。
そこから一流の剣士や魔法使いが出てきて、旅をすると言ったことになります。
しかし私に与えられた戦闘スキルは何も無かった。つまり無能力だったのです。
両親はそんな無能力の私でもとても、とても大事に育ててくれました。
しかしある日のこと、両親と幸せに暮らしていた私のところに突然、魔王が現れ、私の両親を殺したのです。目的は私の抹殺でした。
私が鎧の着物の選ばし者だと知った魔王が自身が滅ぶ前に私を殺そうと企んだのです。私は魔王から逃げて逃げまくり密かに見つからないようにある場所に隠れました。
魔王が私の隠れている場所まで通り過ぎて行きました。正直言って魔王に見付かるのでは? っと思い凄く怖かったです。
そして両親の死を確認後、一人で生活をしていけないので助けを呼ぼうと森の中を彷徨っていたところに私は集団の魔物達に出くわしてしまったのです。
もうここで終わると、覚悟を決めました。そんな時にリーダーのワカナさんに助けて貰ったのです。
彼女は無能力の私にパーティーに居ても良いからと言ってくれました。凄くありがたかったです。
私は戦えないから隠れるように言ってくれたのもワカナさんです。
でもそんな生活が続くと格差もありました。私は何の役にも立たないからとほんの少しの虐めもありましたが、それでも私は耐えました。
このパーティーから離れると、行く場所がなくなってしまう。だから私はワカナさんのいるパーティーにこだわり続けました。
でも結局、追放されてしまいましたが、私はワカナさんに助けて貰ったし、拾ってくれた恩もあるから! だから今度は私が!私は急いで森の中を走っているとある洋館風の大きな館が見えてきました。
この館は一体? 館の扉の前に立っている番もいました…二人の魔物です。それと羽を生やした三つ首の巨大なドラゴンが一体、魔物達と一緒におりました。
私は大きな木に隠れて様子を見守っているとある人物が館に帰って来るのが見えました。
武器屋を襲ったヴォイズです。まさか…この館はヴォイズのお城なの? 私が見張っていると会話が聞こえてきました。
「ヴォイズ殿! 女パーティーがこのお城を襲撃しようとしたところ、ヴォイズ殿のこのペットが女パーティーを始末しましてね。さすが、ヴォイズ殿のペットですね」
もしかしてワカナさん達、みんなのこと!? みんなあのドラゴンにやられてしまったの!?
「そいつらはどうした?」
「その者達はみんなこの館の中に連れて行きました」
「そうか、私の相手ではなかったと言うところだな」
ヴォイズがドラゴンの頭を撫でていると、突然ドラゴンが吠え出しました。
ギャオオオオオーーーッ
そして中央のドラゴンの口から漆黒の攻撃が放たれました。私に向けて……。
私は光魔法を張り攻撃を防ぎました。たくさんの周りの木が倒されて私の姿が相手に丸見えになりました。
「またお前か?」
「ヴォイズ! ワカナさん達をよくも!」
「お前の仲間だったか? まさか私のペットに手を出すとはな、こちらこそお前を許さん!」
ヴォイズの鋭い声と共に三つ首のドラゴンの口から漆黒の攻撃が放たれました。私は光魔法でバリアを張り攻撃を防ぎます。
「こ、この女! 一体何者!? おかしいですぞ! 攻撃を防ぐとは!」
魔物達が驚いているようです。
私は防いだ分、倍返しにして光魔法を放ち、飛んでいるドラゴンに命中させました。
ギャオオオオオーーーーッ
ドラゴンは地面に落下して断末魔の叫びを上げ、私の光魔法により消滅しました。
「な、何ーっ!? ヴォイズ殿のペットが消滅した! こんなこと信じられない! 五百年間、誰にも倒せなかったドラゴンが! しかもたった数秒で!」
「やはりやるな、選ばれし者よ!」
「ヴォイズ! ワカナさん達を返しなさい!」
「この私が素直に返すと言うと思うか?」
「返さないならあなたも始末します!」
「やはり、そう言うと思ったか。だが、私もお前と相手にしている程、暇ではないからな」
「逃げる気!」
「えっ!? ヴォイズ殿!? この女の相手をしない気ですか!?」
「相手にするなら、先にお前達が相手にするんだな」
「ちょ、ちょっと待って下さい! ヴォイズ殿!」
「良いこと教えてやろうか? 女。あの館にはたくさんの魔物がいる。そして私の配下もいる。アイツは私のペットのようにはいかないぞ」
ヴォイズはまたもやワープして逃げ去りました。
この私から逃げるなんて、どれだけ卑怯なのかしら! ヴォイズは! それにしてもこの館は一体?
でもヴォイズが住んでいる館じゃなかったと言うことは分かったわ。
さて、私の前にいる二人の魔物、どう始末しようかしらね?
謎の館(中編)に続きます。読書のお時間いただきましてまことにありがとうございまするm(_ _)m