ワカナの隠された力
再び視点が変わります。今回はクレオ視点になります。
まさか本当の魔神が鎧の着物の選ばれし所持者だったとは…何だか信じられない気持ちだが、私に強力な手下が出来たと言うことか。これはこれで非常に気持ちが良いことだ。
神に選ばれし者と鎧の着物、両方を手に入れることが出来た。神は私を手放しはしなかったと言うことか? そうだ、この状況を魔王様に知らせたらきっと喜ぶに違いない。
そんなことを考えながら私は魔神になっているロンナと共に歩いていると…。
父上が大木の生えている木の上で座っている。しかも私を見下ろしているような目で。私は父上に声をかける。
「父上、私は魔神を復活させた。鎧の着物に選ばれし者がそうだった。魔神である彼女は私の部下になった。これで魔王様、魔族は滅ばずに済む」
「……」
私が自慢そうに話をするも父上は無言。すると父上は
「遠くから様子は見ていた。だが、魔神は女の心を完全に心を支配しているのかどうか分からない。私は警戒心が強いのでな。油断はするなよ、クレオ」
「父上、大丈夫よ。魔神は完全に彼女の心を洗脳している。心配することではないわ。さあ、魔神。城の中に戻るわよ」
命令を彼女に下すと、私の後を付いていくように魔神は付いてくる。
父上は心配性ね。私の命令にはちゃんとしたがっているじゃない。その時だった。意識を失っていたワカナが立ち上がっているのが目に入った。だけど、今のワカナでは魔神に勝てはしない。何故ならば魔神となった彼女こそ最強で何者にも太刀打ち出来ない。
「まだ生きてたの? ワカナ、お前はもうとっくに死んでいると思っていた…」
「あなたからしたら残念ね。私がまだ生きていて」
「ワカナ、今のお前では魔神となったロンナには勝てない…。力があまりにも違いすぎるからな」
「分かってるわよ…そんなこと。私じゃ魔神になったロンナには当然勝てない。だけど秘策はちゃんとある」
「フフフッ。バカね。どうしたら魔神になったロンナに勝てるのかしら! 魔神ロンナ、やっておしまい!」
彼女の鋭い眼力により、ワカナの皮膚を切り裂いていく。これで倒れるかと思いきや、まだワカナは立ち上がっている。
「ロンナ、もっと本気を出せ! ワカナのような雑魚、お前には簡単だろ!」
「うるさい、黙れ!」
ロンナはそう言って私に攻撃を加えた。一瞬にして彼女の攻撃をたくさん受けると私は気を失ってしまう。
そして次に意識を取り戻した私は父上に担がれ魔王城に帰る途中だった。あれ? 魔神となったロンナがいない!?
「父上! ロンナは…! 魔神になった…!」
「残念だが、その希望は消えた」
「どういうこと!? 父上!」
「魔神はあの女に滅ぼされ、ロンナは救われた」
「あの女…」
「ワカナ…やるな。あの女、どうやら光属性と炎属性を兼用しているらしい」
「!?」
「隠された力だ。これで宿敵は二人になったな」
父上の言っていることが何だか良く分からない。けど…ロンナとワカナ! 二人が光属性になっているなんて!