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魔王様、攻撃のターンはきちんと守ってください


「なぜだ!」


 なぜだもなにも……。広い玉座の間に魔王様のお声が響き渡る。

「言った通りでございます。ついに私のターンが来たのです」

 魔王様とて、敗れるときは必ずやってくるのでございます。


 ――永遠など、この世には存在しないのでございます――。


「グヌヌヌヌ」

 玉座に座り悔しがる魔王様。

 顔全体で「悔しい~」を精一杯表現している。歯ぎしりしたり鼻の穴をいつもより大きく開いたり閉じたり……。鼻息がここまで聞こえてくる。

「だがデュラハンよ、RPGでも連続攻撃とか、連続魔法とか、連続テレビ小説とか、いろいろあるではないか!」

「RPGとかおっしゃらないでください」

 さらにはRPGとは関係のないものまで混じっていたぞ。

「おしん!」

「おやめください」

 冷や汗が出ます。古過ぎてうる覚えです。


 ついに魔王様は立ち上がられた。怒りを露わにして両手をグーにする。どうでもいいが、腕をピーンと下に伸ばしてグーにするのはやめてほしい。ぜんぜん可愛い。

「実際の戦いにおいて交代交代(こうたいごうたい)戦っているバカな戦士がどこにいる。『真面目か!』とバカにしたくなるぞよ」

 ――! バカな戦士ってなんだ、酷いぞ。職業差別だぞ。魔法使いの方が賢いイメージがあるけれど、偏差値は同じだぞ――!

「魔王様、真面目をバカにしてはなりませぬ。紳士は真面目です」

 つまり紳士であるこの私がバカにされているようで悔しくてたまりません。犬か猫ならだんぜん犬派でございます。

「正直者はバカを見るのです。つまり、私はバカを見たいのです」

 正直者だから――。

「う、うん。見れば」

 魔王様があっけにとられた顔をしている。

「はい。見ています」

「……」

「……」

 いや、気付いて。じーっと見ているでしょ。



「実際の戦いでは、素早い者が何度も攻撃するであろう」

 重々しいローブをマントのように翻して玉座に座り直す。どうでもいい仕草で格好良さをアピールしてくるのがダサいとは言わない。ダサカッコイイ。

「実際の戦いではそうかもしれません。『素早さ』の高い者が何度も攻撃を繰り返すことでしょう」

 私も魔王軍四天王最強の騎士。止まったように遅い敵の攻撃にわざわざ回数を合わせる必要など感じたことすらありません。

 さらっとステータス自慢をした訳でもありません。フッ。

「ですが魔王様、『将棋』で連続攻撃などしては反則です。ルール違反です。これじゃ絶対に勝てません」

「よいではないか。デュラハンなのだから」

 ――デュラハンなのだから! お褒め頂き、ありがたき幸せお言葉!

 ――いや違うだろ!

「よーくーなーい! せめてゲームくらいでは魔王様をコテンパンにして差し上げたい! 日頃の恨みをお返しして差し上げたい!」


 取った駒をさらに打って、「王手」。さらに連続攻撃でトドメ。はい、負けって……。


「どんなゲームすか!」

 こちらには駒を動かす権利すらないのですか! 「キーパー一歩も動けない~――!」ですか! 冷や汗が出る、古過ぎて。

「些細なことで怒るでない。暑苦しい」

 ……だったら怒らせるなと言いたいぞ。暑苦しいのは私のせいではございません。


 玉座の間は廊下よりも暑い……必死に耐えている。


 猛暑が続くお盆休みは、どこにも行かずに魔王城内でダラダラするのが……常なのだ。

 常夏とはちょっと意味が違うのだ。


読んでいただきありがとうございます!


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