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パキラ革命①


4話


あの後、西の国で避難した国の東に住む人達に起きたことを説明した。



「だからスレンは、俺達を必死にこんな所まで、避難させたというのか!?」



「な、なんかすまねぇな、『朝っぱらから迷惑な奴だ』と思ってたが、俺らを守るためだったんだな。」



「別にいいよ、みんな怪我なく助かったんでしょ‼」



こいつもこいつで、苦労があったんだな。


スタ、スタ……



「あ、あの‼そこのお方‼‼」



俺の後ろから、ストレシアと同じくらいの歳で、長いエメラルドグリーンの髪の毛の女の子が、息を切らしながら俺に話しかけてきた。



「なんだ?」



「私は、アスア・ラスティーナ。今回は、パキラを救ってくれたこと、心から感謝する。本当にありがとう。」



突然俺のところに来た女の子は、被っていたフードを外し、突然俺の目の前で、片膝を地面に着けて、礼を言ってきた。


そして、この少女の名を聞いた周りの人達が驚いていた。



「一体、どうしたんだ?お前ら」



「い、いやアトリア師匠、この人は、パキラの王です。」



「なんだと!?」



「この国の王と言っても『元』だけどね。それに王だったのは、たったの3日よ。それより、廃れかけた私の名をまだ知っている者がいたことに、嬉しさと驚きを感じているわ。」



そんな元王アスアに対して、知っている者は、西、東の人関係なく、その場で泣き崩れ、膝を地に着いていた(ストレシアを除く)。





「そういえば、どうしてアスアさんは、皆さんからここまで愛されているのに王を辞めたんですか?私、おじいちゃんからアスアさんの名前を聞いただけで、どういう人かは、実際分からないんです。」



「ちょうど、俺もそれを聞こうと思ったところだ。」



俺達が質問すると、アスアの表情が少し暗くなった。


やはり、辞めたわけじゃ無さそうだな。王位を譲るにしては、歳がまだ若すぎる。それに今、ここで、庶民と同じ生活をしているのが、いい証拠だ。



「私は、辞めたのでは無い。王の座を……取られたのよ。現パキラの王にして、怪力のジャンブルと並ぶ怪力の持ち主のミノタウロス大親分『ガイナ』とその仲間にね。」



「そ、そうだったんですね。」



「だから今、王座を取り戻そうと、研ぎ澄まされた剣を腰に挿し、その王座奪還に俺達を協力させようと、関係を試みたというわけだな。」



アスアは少し驚いたように眉を上げた。


きっと、俺の戦いをどこか遠くで見ていたのだろう。でなきゃ、普段魔力を無にしている俺の強さには気づかないはずだ。



「はぁ、どうやら見抜かれていたようね。流石あのメドゥーサを追っ払っただけのことはあるわ。どうかお願い、私と戦って‼」



「えーっ、アトリア師匠は、さっき戦ったばかりで、疲れていると……」



「俺なら平気だぞ、ストレシア。それに今回の戦いは、メドゥーサの時とは違って、規模は小さそうだ。しかし、そのガイナの仲間が何匹いるか分からない。だから早速、ストレシアには戦力になってもらう。それが、弟子となったお前にできる師匠からの試練だ。」



「はい、ありがとうございます。その試練、真っ当に受けさせてもらいます‼‼‼‼」



ガイナの『仲間』というくらいだから、ガイナ+一匹ということは、恐らくないだろう。だからストレシアにはその仲間と戦ってもらおう。


とにかくまぁ、ストレシアがどれだけ戦えるかを知りたいだけだ。



「本当に感謝する。この恩は必ず、私が王になった時に返す。では、早速向かおう‼‼」



「ああ、しっかり頼むぞ。」



「では、皆さん‼行ってきます。」



「頼んだぞ‼このパキラに革命を‼‼」



この国の中央にある、ガイナの住んでいる城に向かった。城下街だというのに街の風景は、相変わらずの貧しさ、のにも関わらず、城は堂々と立派に建っている。まるで、この国の貧しい現状が、嘘のように____


そんな城に俺達は、正面から堂々と入ることにした。そして、当然だが2人の門番に足を止められた。



「待て、貴様ら何用だ?」



「平民の立ち入りは……」



意識転換シャスネスチェンジ


パチンッ‼



アスアは、門番に向かって指を鳴らした。


ほぉ……門番の『怪しいものを城に入れてはならない』という意識をそれと全く逆の意識に変えさせたか。あくまでも相手は、ガイナというわけか。



「先に進むわ。」



「はいはいどうぞどうぞ‼」



「先へお進みくださいませ‼‼‼」





「すごい魔法……ですね。」



バンッ‼



アスアが、勢い良く門をあけた。そしてくぐると、まるで俺達を待っていたかのように多くの兵士が、魔銃や火炎魔法の『微々太陽リトルサン』などをこちらに向けて、発動しようとしていた。



「用意周到な奴らだ。」



「な、なんてこと、私達が来るのを先読みされてた!?」



「早速、ピンチですね。」



「ふんっ、王に歯向かうとは、バカな奴らだ‼‼‼‼‼‼撃てぇぇぇぇーーっっ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」


バンッ‼‼‼‼‼ババババババババッッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼




「俺の後ろに下がれ、流石に2人でもこの直撃はまずいだろう。それに少し面白いもん見せてやるよ。」



俺は、目の前にあった両手で掴める程の大きさの石を持って構えた。一本の毛でも勝てそうな奴らで、ちょっと遊んでやろう。



「面白いこと?(そんな石で、どうやってこれほどの攻撃を受けきるのというのよ!?)」



(師匠のことだから、何か策があるのかも)



集中的ロックオン……連動痛リンケージダメージ



ババババババババババババッッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼


……シュゥゥゥゥーーーー



「なっ、どういうことだ!?あらゆる方向から、撃ったはずなのに……一発も奴らに当たってねぇ。」



「当たり前だ‼放たれた全攻撃をこの石に集中させたんだからな。それにお楽しみは、まだまだこれからだ。」



「な、なんだと?」



少し待つと、腹や肩などの体の部位を抑え、武器を落とす兵士、微々太陽リトルサンを解く兵士が出てきた。






「……イテェェェェ‼‼‼‼‼‼‼‼」



1人の兵士に激痛が走ったようだ。そう俺は、この石と複数人いる兵士の痛覚を連動させたのだ。そしてこの自ら放った攻撃の激痛に全員倒れた。



「2人とも、ぼぉーっとしてないで、先に進むぞ。」



「あ、うん。そうね。」



「流石、アトリア師匠です‼」



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