急襲:後
続3話
「全開石化眼っっ‼‼‼‼‼‼」
ドドゥゥゥゥーーーーーーン‼‼‼‼‼
魔法陣を展開させ、その魔法陣から、大きな眼が開眼した。しかもそれを無数に展開させ、攻撃を仕掛けてきた。多分これが、あいつの決死の攻撃なんだろう。魔力が、さっき受けた石化魔法よりも重そうだ。
ズバァァァァーーーーーーン‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼
「はぁはぁ、バ、バカね。いくら魔力の差があっても私の石化魔法は、無意味なのよ‼」
「……確かにそうかもな、ほら俺の右手が石化してる。」
「なっ、完全に石化してない!?これは一体、どういうことなの‼」
「集手……攻撃を一部の所に集中させる魔法。国まで石化の渦に巻き込むわけにいかないからな。それよりもこれは、『続戦』と受け取っていいのか?」
パキッ‼
シュッッ‼‼‼‼
石化した右手に力を入れて、石化を解いた。そして解けた石化の破片をメドゥーサに向けて飛ばした。
スパッ‼‼‼‼‼
「苦っ‼‼」
ツ――――――――――――
メドゥーサの頬には傷ができ、絶望的な目をしていた。戦気は感じられない。そんなあいつを目にした俺もいつの間にか戦う気が失せていた。実際にあいつは命令されてここに来たに違いない。要するにあのメドゥーサに罪はない。
「はぁ~、分かった。今回だけは見逃してやるから、今すぐここから立ち去れ‼‼その代わり、お前の魔王に伝えろ。『戦争するなら、俺が相手になってやる』ってな。まぁ、今の俺なら、お前らを倒すのに指一本で十分だと思うがな。」
(くっ、言葉にならない、泣き出しそう。こんなに圧倒的に、しかも人間に負けるなんて初めて、屈辱よ。)
スウウウウゥゥゥゥゥゥ……
メドゥーサは半泣き顔で、俺の方を見つめ、つむじ風とともに消えていった。戦いが終わり山から下りて、パキラに帰った。
帰り道には、魔族と昨日見たのと同じ魔族の皮をかぶった人間の死体が転がっていた。それは、パキラに近づくにつれて、増えていった。
「あ、アトリア師匠ぉぉーーーー‼‼」
「ん、スレンか。」
スレンが笑顔でこっちに手を振っている。それに俺は手を振り返した。見たところ、今回の戦いに巻き込まれて死んだ人はいなさそうだ。
「無事に国のみんなを避難させられたようだな。よくやったスレン」
「うん……アトリア師匠‼」
「なんだ?」
スレンは、少し複雑そうな顔で俺を見つめていた。
「今回も私たちの国を救ってくれて、ありがとうございます。本当に今回に限っては、アトリア師匠がいなかったら、間違いなくパキラは、なくなっていました。本当に……助けられてばかりで私、少し情けないです。」
「まぁ、そうだな。ただ俺は、この国で一番強いと思ったからな。弱者を守るのは、強者の義務だ。だからお前もそんな強者になれ。」
「私にもなれますかね?」
「お前に次第だ。それに今回に限っては、お前の活躍も大きいぞ。国は俺が守ったかもしれないが、人を守ったのは、俺じゃなくお前だ。ストレシア」
まぁ、少しは師匠らしい、言葉を伝えられたかな。弱者は強者でしか、守れない。だから、強すぎる者は守れない。強大すぎる力は、時に守りたいものにまで、牙を向けるからな。でもまぁ、これは、ストレシアが強くなってから、伝えることにしよう。
(アトリア様が、師匠になってくれてよかった。私は、あなたに一生ついていきます。ならば私も強くならなければ‼)
☆ ★ ☆ ★ ☆
王国ラニウムでは……
スタスタスタスタ……
「ラニ様っ‼‼」
バンッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
「なんだ騒がしい。勝ったのだろ、分かったから下がれ。(人間の弱国が、人間界で最強の国と魔族の中でも最強の四方魔王を敵に回して、勝てるはずがない。今頃、パキラの領地は、我らの強大すぎる攻撃により、更地にでもなっているだろう。)」
「それは……大変申し上げにくいのですが……」
「……?」
「今回の戦いは、弱国パキラの領地に近づくことさえできず、たった一人の人間により、兵は壊滅、西の魔王テュポーン様の最高幹部であるメドゥーサ様も圧倒的な力の前に敗北をなされました。」
……なっ、なんだと!?一体、あの弱国に何が起きたというんだ?もう我は、何も考えられない。
とりあえず、自国の強さを知ったパキラは、真っ先に我が王国を潰しにくるに違いない。まず、これを対処しなければな。
☆ ★ ☆ ★ ☆
西の魔王テュポーンでは……
バシッッ‼‼‼‼‼
「うはっ‼‼‼‼‼」
「これは、制裁だ。よくも人間なんかに負けやがったな、この恥知らずがぁっ‼‼‼‼」
バシッ‼‼‼‼‼
「キャアッッ‼‼‼‼‼‼‼」
このクズ女の背中に制裁のムチを叩きつけた。これでは、ワシの不安が解消されないではないか。本当にあの国にいる最強生物は一体何なんだ?人間なのか、まるで信じがたい。
「まぁいい、今回は、これくらいで許してやろう。部屋から出て行け」
「はっ‼」
この件に関しては、ワシとラニの秘密にすることにした。
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