弱者に挑む強者たち
※今回の話は、国王ラニの視点で進みます。
閑話
バンッ
「魔化薬投与の兵士が、弱国パキラの返り討ちにあっただと!!!!」
王国ラニウムの王であるこの我は、あまりの驚きに玉座から立ち上がってしまった。
「バカな‼そ、そんなことがあり得るのか!?10人ですら、一国に匹敵するほどの戦力なんだぞ‼‼」
「ええ、この私も何度も耳を疑いましたが、全くの事実です。派遣した10人の内、9名が……ぐあっ‼‼かぁぁ……」
「邪魔だ。死ねっ‼‼」
突然現れた、天井に頭がつくほどに巨体で、はち切れそうな肉体の魔族の男は、四方魔王の1人、西の魔王テュポーン。
テュポーンは、我の目の前に立っていた兵士を後ろから鷲掴みにして、粉末状にした。そして、少し怒っているようだ。頭に血管らしきものが浮き出ている。
「で、今日は、何の用だ?テュポーン」
「何の用って、決まってんだろ。弱国パキラに返り討ちにあった件についてだ‼‼‼‼そのぐらい察しろ。マヌケが」
ゴゴゴゴゴゴ……
相変わらずの化け物っぷりだな。大声を出しただけで、城全体が、振動している。
って、そんな事より、我もさっき聞かされたばかりなのだが……
「では、早速始めようか。会議を」
「ああ」
扉や窓などを閉め、外部からは何も聞こえないように音消の領域を張った。
「まぁ落ち着け、お前の国の自慢の化学力が人間の弱国に負けたのが悔しいのは、分かるが……」
「別にワシは、怒っているわけじゃない。焦っているんだ。」
「焦る?お前ほどの奴が、たかが人間の弱国になぜ、焦りを感じているんだ?」
「普通の国よりも戦力が少ない弱国の兵士が、10人で一国以上の戦力になるといわれている奴らを殺せると思うか?」
確かに思えない。前回、派遣させたのは5年前で、たったの5年でこれまでの戦力に成長するのは、不可能だ。
「それで、一体何が言いたいんだ?」
「要するにとてつもなく強い奴が、弱国パキラに現れたというわけだ。しかも一国いや、二、三国以上の戦力の奴がだ。今、見逃したら、そいつがワシの脅威になりえる可能性もある。だから、焦っているんだ。」
「なるほどな、強者ゆえの焦りというわけか。」
「まぁ、簡単に言えば、そんなところだ。それでもな、いくらこのワシ焦るほどの相手とはいえ、まだまだ蕾で、対処しやすい可能性が高い。そこでワシは、ここに提案しよう。……パキラを潰さないか?」
「なっ!?弱国とはいえ、一国を潰すとは大きく出たな、テュポーンよ。でもこの我もその提案に賛成だ。」
賛成だ。だって、魔王に借りを作れるチャンスなんだぞ‼魔族じゃない、魔王にだ‼‼これほどに凄い人間、この世で我くらいしかいないだろう。
おっと、危ない危ない。笑みが零れるところだった。
「そこでな、この件に関しては、お前がワシに手を借りたことにしてくれないか?でなきゃ、ワシが恥をかいてしまうからな。」
「あぁ、そのくらいなら大丈夫だ。その代わり、後できっちりと借りは返してもらうからな。」
「分かった、頼んだぞ。」
そして次は、弱国パキラを潰すために送る兵士のことについて、話すことになった。
とりあえず我は、強化魔化薬を投与させた兵士を1万人を送り出すことにした。
「1万人も送るとか、お前も中々の奴だな。」
「そういうお前は、誰を送るんだ?まさかっ‼、お前が直々に出向くとでも言うのか?」
「いいや、流石にそれは無い。その代わりに強さだけなら、ワシに次ぐ2番目の幹部を送り出す。タイターンゴルゴーン姉妹の末っ子、『メドゥーサ』をな」
「なっ、メドゥーサだと!?そいつは厄介なやつだな。それじゃあ、善は急げだ。早速、出陣させるとするか。」
こうして我らは、送り出す兵士たちに今話したことを説明して、無事に弱国パキラへ出陣させた。じゃあな、弱国パキラ。もう、この我のストレス発散道具がなくなって、かなしいよ。
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