奴隷
とりあえず、今後の住居も決まったので人心地着いた気がした。家主がエミリーさんだということも安心感につながっている。今日はいろいろあって少し疲れたのでご飯を食べたら眠ることにしよう
1階に降りエミリーさんが見当たらなかったのでおじさんにルナと私のご飯をお願いした。
その日もおいしくご飯を食べて眠りについた
翌日は少し早く起きてエミリーさんに食事をお願いして、出かける準備をしながら待っていた。
準備と言ってもいつもの格好なのだけど、昨日ダンジョンに入って埃っぽくなっていたのにすっかりきれいになっていることに驚た。本当に自動修復洗浄付きなのか、だったらもしかしたら今度来るかもしれない仲間にも同じような服があればいいのにと、まだ決まってもないことを考えていると、いつも通りエミリーさんがご飯を持ってきてくれた
「おはよう、少し早いけど作り立てよ」
「ありがとうございます、いつもおいしくいただいてます。」
「そうよかったわ、部屋借りてからもたまには利用してね」
ウィンク付きでそういわれ、わたしはこくこくうなずくしかなかった、実際ここの料理はおいしいので今後も利用したいし、できれば暇な時でいいのでエミリーさんには相談などもしたいと思っていた。
「今日は私、用事があって市場までついて行ってあげられないんだけど大丈夫?」
「はいどんな感じか見てくるだけの予定なので大丈夫です」
「いい?市場に連れてくるような商品はお店でもできたら早く売れてほしいのよ、だからどんなにうまく言われても買っちゃだめだからね?きょうは絶対に見て回るだけにしなさい」
いい?と人差し指を立てて顔の前に置くポーズをとられた。私ってそんなに騙されやすそうなのかなと思いながらも、はい!と返事をしたら、エミリーさんは満足したのか食事を置いて一階に手伝いに戻っていった。
「ねぇ、ルナ私ってそんな騙されそうかなぁ?」
「この世界にいる時点でお人好しなのは間違いないのだ。人によっては騙しやすそうに見えるのだろう」
そうかお人好しそうに見えるのかなぁと思いながら考えてみるが、自分では結構しっかりしているつもりなのだけど、この世界に来ることになったのも謎の神様たちに頼まれてというよりは、ルナに会うために来たようなもんだし、小首をかしげながらもご飯を食べ終わり少し腹ごなしに魔道の本など読みながら時間がたつのを待った
遅めの朝食も終わるころの時間になって、いつも通りの格好に肩にルナを乗せて広場に行くことにする、広場について驚いたのは至る所に檻があり中には人が入っているのだ檻に入っていない人も簡素な服を着せられ縛られたりしている。
人が売りものということにショックがあるのだと思う少しの嫌悪感を感じる。
見るからに落ち込んでいたのかルナが耳元で話しかけきた
「いいか、こ奴らは身を売らねば自身で食べていくこともできない連中なのだ、生きていくために自身で選択したことなのだ」
そういえば、ここに来る前に恵比須顔も同じようなこと言ってたなぁ、ほとんど聞き流していたが悪いことしたかもと今更ながらに思った。
とりあえず見てみなくては何もわからないので近くのお店から順に眺めながら歩いた。成人したての私が奴隷など買えると思われていないのか声もかけられない。しばらく見て回って気が付いたのはけが人が結構いることである、とは言っても古傷なのだろう手足に不自由なものなどが多いそしてそういう者はだいたい値段が他より安いのだ。
思いついて鑑定しながら歩いてみることにしが、ほとんどの職業欄が農夫や村人であった。
農夫はともかく村人って職業なのかな?と思いながらそのまま続けて歩くさらに気づいたのは女の人が圧倒的に少ない年頃の女性などは皆無であった、できればPTメンバーは女性にしたい私としてはがっかりである。
市場も中ごろを過ぎて終わりに近づいてきたころに見かけた檻に入った男の人は頭の髪がぼさぼさでどこか薄汚れている、癖になりながら鑑定してみると驚きの鑑定結果が出た
名前 ラーク 18歳 犯罪歴なし
職業 剣士 Lv17
冒険者ギルド ランクD
HP D
ST D
MP E
力 C
防御 D
魔力 E
知能 D
俊敏 C
幸運 D
スキル
剣術 Lv19
体術 Lv15
盾 Lv12
身体強化 LV15
自然回復 LV 13
生活魔法 Lv13
薬剤師 Lv12
空きスキル枠 2枠
この結果は結構いいのではないだろうか?わからないスキルもあったのでルナに聞いてみた。
盾はその名の通りのスキルで、身体強化は体内で魔力を使って一時的に身体を強化する魔法だった。自然回復は獣人なんかがとりやすいらしいHPSTMPなど自然回復がLvによって早くなる、薬剤師は薬草などの薬を調合するスキルである。
なぜこんなところに薄汚れた状態でおいとかれているのか気なってまじまじと見つめていると、相手も気になったのか顔を少し上げた、それで理由が分かった気がした顔に大きな傷がありどうやら片眼は見えていないようだおそらくそれが理由でこの市場に連れてこられているのだろう、自然回復は獣人がとりやすいということだが
パッと見、ただの人に見えるのでさらに見つめていると店員さんに声をかけられた
「いらっしゃいませ、こちらの商品がお気に召しましたか?こちらは少々傷物ですがお値段はかなりお安くなっていますよ。」
早く売ってしまいたいのだろうか、やけににこにこと話しかけてくる参考までに値段を聞いてみることにした
「ちなみにおいくらくらいするんですか?それと傷の様子はどの程度なのですか?」
「こちらはかなりお安くなっていまして。400万ラナになります。えー、傷の具合は今は治っているんですが古傷のせいで右目が見えないことと聞き手の右腕に少々しびれが残っているようでして」
値段の話は意気揚々としていたが傷の具合になると途端に話ずらそうになる、だが当然だろう聞き手がまともに使えないのでは何をするにしても不利になる、値段にも影響があるのだろうそれで考えると500万ラナ出して健康な奴隷を購入するほうが当然いいように思われた。
もう一つ気になっていたことで
「この人獣人なんですか?」
「お分かりになりますかこの奴隷は兎の獣人で」
すると商人が話している途中で遮るように
「違う俺は狼族の獣人だ先祖返りで兎の特徴が濃く出てしまっただけだ!」
もう一度まじまじと顔を見てみるとぼさぼさとした髪の中にドロップイヤーらしきものが見えた、私は猫が特別好きだがモフモフは基本的に大好きだ一瞬ふらりと心が揺れたが。エミリーさんに怒られると思いぐっと耐えたが買う気がないと思ったのか商人は
「どうですか?金額のほうでしたら少し勉強いたしまして350万ラナでいかがでしょう?」
交渉を続けてくる、正直とても気になってはいるのでこちらとしてもこれで縁が切れるのは困るが、買う気満々と勘違いされ値段を釣り上げられるのも困る結局仕方がないというふうを装て
「どちらにしても大金ですからね、すぐには決められませんよろしければお店の場所を教えてもらえますか?気が向いたら伺いますよ、その時まだ売れ残っていたら考えさせていただきます。」
そこで、店の名前と場所を教えてもらってからその場を離れた。
残りの市場も鑑定しながら歩いたがさっきのラークほどのステータスのものはいなくどうしても気になりながら子猫亭に戻っていった。