四畳半の天気
晴れ
連載中の漫画が打ち切りだなんて、好きだったのに
恋人に振られたなんて、好きだったのに、
仕事はコロナのせいでクビ、これは嫌いだったからいいけど。
外は自粛の嵐、悪いのはコロナなのに、
相次ぐ閉店、悪いのはコロナなのに、
首相の辞職、いやこれはコロナ関係ないか。
カーテンを閉め切った部屋では野外の天候など分からず、
PCには友人達の顔が喋り続け、机には缶チューハイ、
TVで台風上陸をキャスターが必死に伝え、
スポーツニュースでは有名選手の海外挑戦を報じ、
4畳半の部屋にはベッドに机にTV、後は吊るされてる電球。
電球が光ってる限りこの部屋の天候は晴れであり続ける。
曇り
消えるzoomでの顔達。
1人残る自分の顔、真っ暗になった画面に写る、情けねー顔してやがる。
少しお酒にやられて久々に人と話し
今思う、会いたい人に会いたい。こんな当たり前のことすら出来ない。心が寂しい。
コロナには本当糞食らえだよな。ついてないにもほどがあるじゃないか、
作者の痴漢容疑で好きだった漫画は最終回なんか待たずに打ち切り、
あんな好きな漫画にはきっとたくさんの伏線を回収し真実が掴めるもんだと思ってた。
「未来が見えない事が不安で、未来が見えない事が希望だ。」
終わりが見えない漫画に希望を抱いてたのに。
こんな名言があったとしても今この世界の大半は見えなく不安に押し寄されている。
なにするもやる気がないが、タバコの火だけは付ける自分にも呆れる。
僕の心とタバコの煙が晴れだった4畳半を曇らす。
雨
曇りの部屋の主人はついこないだ、彼女にふられたことを思い出し、
今思う、会えない人に会いたい。当たり前が消えた瞬間だった。心が寂しい。
神様に願ってなんて苦手。おまじないに任せるは大間違い。
ほんの少しでいいほんの少しでいい。
会いたい人に会わせてくれよ。会えない人に会わさせてくれよ。会って肌身を合わさせて欲しいそれだけで僕は、僕達は安心という繋がりを得れる。相手の気持ちなど考えてないが。
付き合った人の過去を知りたくないし別れた人の未来を知りたくない。
後悔は新しい後悔で上書き出来ると思ったがただただ増殖するだけだった。
主人公が殴ったらすぐ壊れる様なうさん臭いポエムに微笑むが、思い出せば思い出すほど悪い記憶や顔、会話全てが美化されたりリマスターされ脳内のどこかで劇場公開をされる度に寄せては引き返す波の様に目から涙が少し溢れ出る。
自分でも分かってる窓を開けて踏み出せば新しい風が入ることは、
でも忘れられない、ただ今はこのまま雨のまま。
4畳半の内の片隅だけ止まない小雨が降り続ける。
風
仕事を金属と親指で探す作業をしながらTVを見ていた。
「パチンコ台になりたい」
TVで流れたおっさんの漫才が耳に入ってきた
そのフレーズに、その漫才に腹を抱えて笑った。心は晴れ模様。疫病の蔓延、急な別れ、唐突な終わり、不都合な出来事、負の連鎖予想も出来なかった1年も笑っておけばどうにか、どうにかなるから自分に言い聞かせながら思いついた。空気入れ替えれば流れも変わる、これを気に頑張ろうと誓い僕は部屋の窓を開けた。
風と共に水の粒が僕の全身をふりそそぐ、そうだ今日は台風だった。
四畳半の世界を変えれるなら、東京だって、日本だって、世界だって。僕達はこのままじゃ終わらない。新しい風をいつか。窓付近の灰皿に置いたタバコは部屋に入った雨と風で火が消えた。




