僕は、僕の家族の元に帰れない!
___僕の名前は、『湖池 成典』29歳、結婚5年目! 二人の
子供がいるよ! 3歳の娘と1歳3ヶ月の息子の4人暮らしだ!
彼女と結婚して、僕たちの間に大切な命が宿ったと妻から聞いて!
僕は、直ぐに一軒家のマイホームを持つ事を決めたんだ!!!
50年ローンで、月々10万円の支払い。
支払いが終わるころには、、、僕は79歳だよ。
まだ、働けていたらいいのだけどね、、、。
まあ、何かと? お金はいるしな!
それでも、愛する家族の為に僕と妻は決断したんだ!!!
例え? 支払いが大変でも、、、。
子供たちの為に、二人で共働きをすればなんとか? 払っていけると
思ったんだよ!
それもこれも! 家族の為と想って! 大きな買い物をしたんだ!!!
▼
・・・そんな時だった!
僕が、30歳になって半年後、、、。
仕事に行く途中に、交通事故に、、、!?
横断歩道で、僕が渡る横断歩道の信号は青だった!
猛スピードで、トラックが信号無視して僕めがけて突っ込んできたんだ!
僕は、トラックにはね飛ばされて、トラックはそのまま走り去ってしまった!
そんな僕を見て! 救急車を呼んでくれた女性がとても親切でね!
一緒に救急車に乗って、わざわざ着いて来てくれたんだよ!
*
___僕は、救急車に運ばれてから、3日間ずっと眠り続けたんだ!
その間に、僕の頭の中や体もレントゲン検査や血液検査をしてくれて
どこも、異状はなかったらしい。
・・・だけど?
僕が事故から、3日目に目を覚ますと、、、?
僕を診てくれた先生に、いろいろ聞かれたんだ!
『___ココは、何処だか分かりますか? あなたの身分を証明
するモノが一つもありませんでした! あなたのお名前は、、、?
幾つですか? ご家族は?』
『・・・・・・』
『・・・ひょっとして? 自分の事が分からないんですか?』
『・・・あぁ、ははい。』
『___あぁ、そうですか! 分かりました。』
*
___どうやら? 僕は、“記憶喪失” になったらしいんだ!
僕は誰で? 何処から来たのか? 家族はいるのかな?
僕は一体!? 何者なんだろう、、、?
___でも、唯一! 僕の味方になってくれたひとが一人いたんだ!
それは、僕を救急車で病院まで一緒に着いて来てくれた女性だよ!
彼女は、凄くイイ人でね!
僕が目を覚ますまで、毎日僕が入院する病院にお見舞いに来てくれたんだ!
▽
___僕は、日に日に体調は回復していったんだけど、、、?
僕の記憶は、まったく思いだせないままだったんだ!
そのうち、僕は退院する事になりそのまま彼女の家に転がり込むこと
になったんだ!
彼女は、僕にとっても親切な人で、、、。
僕の仕事先やそれまでの生活も大変だろうと僕を彼女の家で面倒を見て
くれて! 何から何まで僕の世話をしてくれたんだよ!
僕は、彼女の事を好きになっていったんだけど、、、?
僕の記憶が思いだせない以上! 彼女との距離を縮める事はできないと
思っていたんだよ!
・・・だけど?
そんな時、彼女からこんな事を言われたんだ!
『___貴方が記憶が戻るまでの間、私とどうか! 付き合ってほしい
んです! 初めて貴方と会った時から、私は貴方の事をすきになってし
まったから! もちろん! 記憶が戻ったら? もし? そうなったら?
私は、貴方の前から消えますから、、、。』
『___結奈ちゃん、』
『___だから、どうかお願いです! 私の傍に居てください!!!』
『・・・・・・』
___こんな風に彼女に言われて、僕は嬉しかったんだ!
このまま、僕の記憶が戻らなければいいとまで思ったぐらいにね!
僕は、既に彼女のことを好きになっていたからだよ!
・・・もう僕には、断る理由が見つからなかった。
▼
___僕が記憶をなくして、30年後、、、。
ある日、突然! 僕の記憶が甦ったんだ!
僕は、彼女との間に、子供が一人いるんだ!
既に、僕たちの子供は20歳になっているよ!
僕より背が高く、顔も僕よりカッコイイ! イケメンの息子だよ!
*
___僕は、彼女と息子に、、、。
僕の記憶が戻った事を伝えたんだ、、、!
・・・僕がすべて話し終えると? 彼女は覚悟を決めたらしい!
『___貴方の本当の家族を探しましょう! それが、貴方にとって
いい事なのよ!』
『___母さん! そんな、父さんはボク達の父さんなだよ!』
『・・・分かっているわ、典和! だけどね? お父さんはずっと記憶喪失で
自分が何者なのか? 分からないまま生きて来たのよ! もう、お父さんを自由
にさせてあげましょう!』
『・・・母さん、』
『・・・・・・本当に、すまない!』
『___いいのよ、貴方!』
『・・・・・・』
*
___僕は、何十年かぶりに、、、。
僕の元の家族に会うことになったんだ!
___久しぶりに見る、元妻。
それに、大きくなった娘と息子。
・・・そして、気づいた事もあったんだ!
僕は、この家族を見ても、、、何も想えなかったんだ。
何の感情も沸く事はなかったんだよ!
いや? 僕の記憶がある時までは、心から前の家族を愛していたんだと思う!
だけど? 今の僕は今の家族が一番大事なんだと分かってしまったんだよ。
・・・そして、僕は元妻にその事を話すと、、、?
元妻は、僕にこう言ってくれたんだよ!
『貴方の好きなようにすればいいわ! わたしは随分貴方を待ち続けたのよ!
だから、この歳まで再婚もしないで貴方の帰りを待つことができたの!
本当は、貴方を今すぐにでも一緒に家に連れて帰りたかったけど、、、。
それは、無理なのね!』
『・・・すまない。』
『___わたしはいいわ! だけど? 子供達にはたまに会いに来てやって!
貴方の血の繋がった子供なんだから...。』
『___あぁ! 分かったよ。』
*
・・・僕はこうして、今ある! 家族の元へ。
僕にとって、過去より今なんだと思ったんだ!
___この家族と一緒に、この先もずっと生きていく事を決めたんだ!!!
最後までお読みいただきありがとうございます。