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日常系

眠い

作者:

(眠い……)


考え事とかは出来るけど、頭の動きが鈍くて簡単な問題にも時間がかかるわ、時たま何でこんな答えが出たってのもあるし。


目も重くて開けてると疲れるし、しょぼしょぼしてる。


おもいっきり欠伸が出来たらちょっとは楽だろうけど、そんな事をしたら先生からどんな嫌味が飛んでくるか分からないから噛み殺すしかない。


(ああ眠い。ガチで眠い。めっちゃ眠い……)


カックンと揺れそうになる頭を揺らさない様にするのはキツイし、ぼやける頭は違和感で気持ち悪いぐらい。


耳に入って来る音もどんな内容なのかさっぱり理解できないどころか、やたらと眠気を刺激してくる。


意識が遠くなりそうになる度、腕を抓って無理矢理手繰り寄せるけども、学習能力が無いのかまたすぐに遠くに行こうとする。


全部を諦めて腕を枕代わりに突っ伏す事ができたら、どれだけ楽になれるだろう?


このぐだぐだな意識も、すぐに夢の彼方へ全速疾走していく事間違い―――――


ッ痛……!


また意識が脱走しそうになった。


でも、コイツの逃亡を許す事はできない。


今は三年、内申点が何よりも大事な時に居眠りは致命的。


どんなにつまらない授業でも踏みとどまって受けないといけない。


(ボグシング12R……)


そう、相手に打ち込まれ過ぎてダメージが溜まりまくってるけど、意思の力だけでなんとか最終ラウンドまで立ち続けるボクサー。


正に現在の状況を比喩するにふさわしい。


耳から止まることなく入ってくる催眠音波を相手にする闘士なのだ


だけど、戦況は相手に圧倒的有利。


マウントを取られて凶器のイスでタコ殴りにされてる状況をどう覆すか。


土俵際に追い詰めてきた相手を逆に土俵の外に叩き出す起死回生の技が求められている。


相手を翻弄する紅い布と倒す為の刺突用の剣、この二つを巧みに使ってどうやって眠気を打ち倒すか。


セコンドがタオルを投げるまで、全力で私は―――




キーンコーンカーンコーン……




耳に入って来る試合終了の救いの鐘。


日直の号令に合わせるのに、最後の気力を振り絞る。


(もう、ゴールしても、いいよね……?)


お昼休みの時間、スマフォのタイマーを起動させて、机に突っ伏す。


すると、さっきまで混濁して意味不明だった意識が浄化されていくかの様な感覚が頭の中に広がっていく。


もはや周りの騒音すらも遠い。


意識も自由の身になって喜んでいるのか、あっという間に私の思考力が薄れて行く……


ああ、これがオケアノスの最果て。


遂に私は、辿り着いた――――






(おやすみなさい)











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