信長の野望と三国志と恋姫†夢想
理想郷には『腕白関白』の他に『聖将記』という歴史小説がある。
この二作品を語るためには、いくつかのゲームの存在無しには語れない。
まず『信長の野望』。
特に全国版はある意味革命的だった。
おらが地方で全国制覇。
ほとんどノリが高校野球である。
とはいえ、この全国版は武将などが無いのである意味公平ではあったのだ。
信長の野望に武将がつきだした事は、大名家から武将へのキャラクター化の促進と共に、その武将と大名家の歴史を背負うことになったのである。
たとえば昔の今川家は、織田家にボコられ武田家に滅ぼされた結果から、武将達の能力が太原雪斎と今川義元を除くとろくなものではなかった。
というか、まだ独立する前の松平元康と三河武士団が居るだけましか。
ひどい所だとそうだなぁ……全盛期北条氏康相手に逃げ道の無かった里見家とか?
島津家と大友家に挟まれて確定で島津家に滅ぼされる伊東家とか。
とにかく、武将の質が兵力に優越するから織田・武田・上杉・島津あたりの強かった事といったら。
話がそれたが、現在のweb歴史小説は間違いなくこのゲームの影響を受けているといっても過言ではない。
特に武将。
とにかく、版を重ねるごとに膨大な武将が出てくるので、ここの武将ファイルを資料にした作者はかなり多いはずだ。
というか、私がそうだった。
地方のマイナー武将を調べるのは本気で金と時間が飛んでゆく。
そういう意味でもこのゲームが与えた影響は凄く大きいのだ。
次にまとめサイトだが、ここも武将のキャラクター化で絶対に外してはいけないものが一つある。
戦国ちょっといい話悪い話スレまとめサイト
http://iiwarui.blog90.fc2.com/
である。
DQN四天王とか、鮭様とか、まーくんとか小説を書く際のキャラクター化を資料から提示してくれる本当にありがたいサイトである。
このサイトが無かったら今のweb歴史小説の隆盛は無かっただろうと確信を持って言える。
戦国時代の仮想戦記というのは3つに分かれる。
この3つというのは時間の事である。
一つは関ヶ原戦をベースにした西軍大逆転もので、1600年から大阪夏の陣のあった1615年までぐらいが物語のベースとなる。
ここで大活躍するのがまー君こと伊達政宗や立花宗茂や真田幸村あたりで、基本徳川家康がラスボスとなるから物語が分かりやすいことこの上ない。
架空戦記ブームで本になったネタの多くはこの時代を使っている。
次が本能寺の変から始まる後継者戦争で、明智光秀や柴田勝家もしくは織田一門の誰かが大活躍してというやつで、本能寺の変のあった1584年から小田原征伐の1590年ぐらい。
これだと羽柴秀吉がラスボスになり、徳川家康や真田昌幸や北条氏政や伊達政宗や上杉景勝や島津義弘あたりが使えるのも大きい。
架空戦記ブームでの書籍で次に多いのがここで、『腕白関白』や『 いそしめ!信雄くん!』等はここ。
このパータンだと大体徳川家康が中ボスになるか秀吉倒してラスボスになるかである。
『腕白関白』の凄い所は、この二番目の時間軸で諸将をまとめて天下統一まで持っていった所にある。
あの話の石田三成は実にかっこよかった。
最後は織田信長なのだが、彼を使うと少し問題が発生する。
大体初期イベントになる桶狭間の戦いが1560年で、本能寺の変の起こる1582年までの22年と長いのだ。
大雑把に言うと、織田信長を出した場合、伊達政宗や立花宗茂は出せない。
そして天下統一過程までが結構長いから、これがかなりエタる。
とはいえ、織田信長・武田信玄・上杉謙信・北条氏康・足利義輝・毛利元就あたりが出せるから面白いものが作れるのは間違いがないのだ。
作者が最後まで書ききることができるのならば。
なお、戦国での地理はどうかと視点を移すと、やっぱりある程度のブレがあるけどここが決戦という地理的要因は関ヶ原を中心とした畿内エリアに多かったりするが、ハワイよろしくここが出たらという戦場は戦国については結構ぶれている。
徳川豊臣の東西対決の場合、関ヶ原がスタートになる場合が多いのだ。
第二次大戦ものの終着点としてのハワイとは真逆である。
その結果、江戸と大阪の間の各地で決戦が行われる訳で、山崎や箱根、大津や濃尾平野など決戦地域がぶれているなぁというのが私の感想である。
とはいえ、戦国モノ架空戦記だと今度は人物に縛られる。
私もそうだけど、織田信長という巨星が登場すると、それを知っている連中はいやでも彼に注目するし、織田信長の方も好き勝手していると目をつけられるという訳で。
まぁ、戦国がひたすら続いて内乱の果に植民地ENDよりはましなんだろう多分。
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康が偉大だと思うのは、物書き上彼らが『時代を終わらせた』というその一点につきると思う。
チート能力やチート家臣団などそのおまけでしかない。
彼らが出てくるというのは時代の終わりであり物語の終わりなのだ。
その意味で戦国もの架空戦記もまた天井が存在している。
『三国志』の方なのだが、私自身ジャンルとして追っかけていなかったので、あくまで私の所見として話をしたいと思う。
『三国志』から『恋姫†夢想』に変化する流れについてだ。
これはTSも絡むから、本当に流れが分からないのだが、TS化とハーレムの相性で大量の小説が作られる事になる。
なお、やる夫スレでは今でも華琳様を見るから、いかにこの作品がインパクトを与えたかというのは分かってもらえたかと思う。
代表的な作品をあげるならば『影武者華琳様』や『真・恋姫†無双〜李岳伝〜』かなぁ。
私的には『真・恋姫†無双で部下をやってます』が大好きだった覚えがある。
『恋姫†夢想』のインパクトの凄い所は、外史という概念を入れた事で三国志世界を異世界化させる事に成功した事だろう。
『恋姫†夢想』の発売が2007年だから、多分これも『ゼロの使い魔』の影響を受けている。
おかけで道中テンプレートもよく『ゼロ魔』と同じ過程を辿る。
魏呉蜀他(袁紹・董卓)のどれかの陣営について黄巾の乱で功績を立てる>>そのまま連合を組んで董卓包囲網で、大体ここでエタる。
おかげで何度血涙を流して続きを待ち望んだことか……
なお、戦国時代TS化の『戦極姫』というのもあるのだが、それが主流になっていないのは何でだろうか?
なかなか興味がある疑問なので知っている方がいらっしゃたら教えていただきたい。
最後に少し話をそらすが、ゲームであるがゆえにニコニコ動画との相性がよく、アイマスや東方作品での架空戦記がブームになった時期があった。
そこで猛威を振るったのが東方プロジェクトのチルノで、彼女の無双ぶりには『チルノ補正』なんてタグと大百科がつくぐらいである。
あのチルノがかっこよかったんだよ。
『チルノ放浪記』での神がかり的なアーチャースナイプとか。
私はあれで東方を知った口である。
おかげで、東方が弾幕シューティングである事を当初知らなかったという笑い話が……
 




