『銀河英雄伝説』という作品の立ち位置
ちょうど今アニメをやっている『銀河英雄伝説』だが、これ同人誌だとBLしか無かった時代があった。
当時九州に住んでいた地方民で、徳間書店版の『銀英伝』を読んではまった私は、なんぞこれと手にとって大ダメージを受けた記憶が。
私の同人誌初購入は銀英伝BLでした。
今考えるとたまらなく黒歴史である。
とはいえ、あの当時のBL面白いなと素直に思ったのは、BLをさせる為に歴史改変をしていた点だった。
考えてみれば当然なことで、帝国キャラと同盟キャラのカップリングを成立させる場合、フェザーンで不倫ちっくにさせる以外だと同盟征服後の話になってしまうからだ。
で、強引に銀河を平和にという雑なあらすじがあって、そっちに私ははまった覚えがある。
1)皇帝は早々に死ぬ
>>リップシュタット戦役フラグが消える
2)フェザーンと地球教のボス二人が雑に死ぬ
これを書いている際に思い出して吹いたのは、階段から地球教の総大主教が転げ落ちてフェザーンの自治領主を巻き込んで死ぬという蒲田行進曲オチで、いまでもこれは「ないわー」である。
3)トリューニヒトは選挙に落ちる
今だから思うけど、こういう形でキャラが消せる点でも民主主義は凄いと感じる今日このごろ。
かくして銀河に平和におとずれた
ここまでがテンプレである。
この『銀英伝』BLについてはかなり問題になり、後のらいとすたっふルール成立のきっかけにもなるのだが、このあたりは話がそれるのでひとまず置いておこう。
何が困ったかというと、地方の銀英伝男性読者にとっては同人誌がBLぐらいしか流れてこないのだ。
「ちげーよ!俺は歴史が変わる所を、というかヤンが死なない未来が見たいんだよ!!」(血涙)
今でもそうだが本当に同盟側での歴史改変はシャレにならないぐらい難しい。
それでもヤンが死なない未来がBLにあった以上、せめてそれだけでも見たいと二十数ページのBL部分を見なかったことにして、最初のテンプレ歴史改変と最後のヤンの笑顔のために銀英伝同人誌を買い漁った覚えが……
そろそろ思い出して古傷が痛くなったからひとまずここで止めておくとしよう。
そんな中、私が軍板住人から紹介されたArcadia(以下理想郷)において、衝撃を受けた作品が『銀凡伝』である。
この作品は帝国側の門閥貴族に憑依する話だが、サビーネかわいいよサビーネ。
本当に感動した。
何にって、ラインハルト(以後金髪)相手にガチで戦っているのだ。
対金髪戦のテンプレートを構築した偉大な作品であり、帝国側での憑依・転生系が完結まで持っていけるのもこの作品による対金髪討伐テンプレートが存在していたからに他ならない。
特に、この作品から格段に評価が上がった将をあげるならばアーダルベルト・フォン・ファーレンハイトであり、彼が居ないと対金髪討伐が格段に上がる。
その次に衝撃を受けたのは、『銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)』で、おおよそ帝国側での設定でこの作品の影響を受けなかった作品は無かったんじゃないだろうかと思うぐらいである。
帝国側の対金髪テンプレートはこの二作品で大体でそろう事になる。
一方の同盟側についてなのだが、それとは別に語らないといけないのがトリューニヒト氏の再評価。
これには二つの流れがある。
一つはやる夫スレでの利用であり、こっちは正確な状況が掴めないが悪役政治家としてAAで良く使われていた彼が、それゆえに飽きられた読者と作者によってきれいなトリューニヒト氏に成る事が発生するようになった。
やる夫スレできれいな悪役として夜神月やルルーシュ・ランペルージが彼の居場所を奪った形になる事も多かったので、記憶に残っている。
で、もう一つの流れが2009年から三年半ほどにわたる民主党政権の存在。
あれで、『本当の無能とはこんなものだ!』を容赦なく見せつけられた作者達は、否応なく利権汚職政治家であるトリューニヒト氏の再評価を始めてゆく。
こんな話を読む連中は戦記や歴史に興味がある連中なので、リアルパイセンにぶん殴られた結果、リアリティー後輩であるトリューニヒト氏の株が上がるというこの救いの無さ。
私は、
「民主党政権唯一の成果はトリューニヒト氏を再評価させた事だ」
と言っているが、それぐらいあの政権で評価できる事が無かった。
同時に、トリューニヒト氏の再評価をする上で作者達から改変の壁を取っ払ったきっかけにもなったのである。
『銀河英雄伝説』はweb歴史・架空戦記を語る上で外せない作品である。
それは架空戦記というジャンルが衰退した現在において、綺羅星のキャラクター達を動かす魅力にとりつかれた作者達が架空戦記を知る登竜門となったからに他ならない。
だからこそ語っておく必要があった。
アニメ化で賑わっている今、新しい住民が増えることを祈ってこの話は終わろうと思う。