ギルドでお話
ムラムラしたんで更新します
さて、盗んだと言われても・・・どうするかな?
冒険者から絡まれるのは想定していたが、責任者側から来るとは思わなかった。
ここで売るのはもうあきらめた方が早いだろうか?
うん、諦めた。
「おねーさん、売るのやめます」
「え?」
「何!?」
慌てだすクマ男。
「いえ、自分で作ったものを盗んだなどと言われてまでここで売ろうとは思いません」
「えっと、あの?」
お姉さんは俺とクマ男を交互に見ながら困っている。お姉さんは悪くないのにごめんねえ。
俺はポーションの瓶を取り返して袋の中に押し込む。
「おいまて!衛兵を呼ぶぞ!」
「なぜ?」
「お前の持っている薬は盗品の可能性がある!」
「これは私の作ったものです。盗んだものではありません」
「お前のような子供にこんなものが作れるわけがないだろう!噓をつくんじゃない!」
なんとまあ、根拠それだけか~
「じゃあ、衛兵さん呼んでもらっていいですよ?」
「あ?正気か?」
「自分が作ったって証明はできますから問題ないですね」
「じゃあ、ここで見せてみろ!」
「だが断る!」
このセリフちょっと言ってみたかった。少し気持ちイイ
まあ、これで衛兵さんの詰め所にでも連れていかれてもそこでポーション作って見せればいいし。
あー、門にいたような衛兵だとちょっと怪しいかな?大丈夫かな?大丈夫でしょう。多分。
「さあ、早く衛兵さんを呼んでくださいよほらほら」
「う、ぐっ、て、手前ェ」
クマ男が顔を真っ赤にする。
煽り耐性ないな。でもまあ、こんな子供にからかわれたら怒るかな
クマ男がカウンターを乗り越えてこようとしているので少し下がっておく。
クマ男がこちらを掴もうと手を伸ばしてくる。
殴るでなく、武器を持つでなく、掴もうとしているところは手加減をしようとしているのだろうか?
あるいは掴んで叩きつけるのがこの男の得意技の可能性があるが。
伸びてきた手を掴んで引き付け、力任せに投げ飛ばす。
やはりこの体はスピードや筋力などが大幅に上がっているようだ。
派手な音がしてクマ男が床に叩きつけられる。
「ぐうっ!!」
クマ男が呻いてそのあと静かになる。頭とかはぶつけてないと思うが大丈夫だよね?
思わず鑑定して気絶中なのを確認してホッとする。
さすがに口論だけで人殺しをしようとは思わない。
音を聞きつけたのか数人の衛兵さんたちがやってくる。
さっきのモヒカン騒ぎの時の衛兵さんが混じっている。
「どうした?何があったんだ?・・・・・またお前か」
どうもすいません。
「何があったのか誰か説明してくれないか?」
衛兵さんに言われたので皆で説明する。皆事実だけを話す。
「その薬とやらをお前が作ったと証明できるのか?」
「ここで製作します」
道具と材料を袋から出して、政策を始める。
ゴリゴリ、じょろじょろ、魔力パッ
容器に入れる前に鍋のままお姉さんに渡すと、お姉さんはそれを見て頷く。
「間違いなくさっきの薬です」
「では少なくともその薬は盗んだものではないな」
冒険者達の間にも「あ~あ、クマ男やっちゃったな」という雰囲気が流れる。
ポーションをお姉さんから返してもらって空き瓶に移し替える。
空き瓶の残りが少ない。新しい瓶を手に入れないと入れ物に困るな。
瓶もポーション作成時に出てくる仕様だったら楽だった。まあ、イケメンに頼まなかったんだからしょうがない。
「もう行っていいですか?」
「うーむ、お前行く先々で何かに巻き込まれそうな気がするんだよな」
裸だしね
「しかし、お前に非がない以上引き止められんな」
「どーもどーも、では失礼しますね」
「お前はこの後どうするつもりだ?」
「えーっと、どこか身分証を発行してくれるところはないかと」
「では、商業ギルドはいかがですかな?」
いつの間にか冒険者ギルドのドアのところに一人の男が立っていた。
白いスーツを着た黒髪の男だ。概ねイケメンと言ってよい顔をしている。
「どちら様ですか?」
「失礼、私商業ギルドのギルド長ギルバートと申します。そちらのお嬢さんの噂を聞きましてね」
「お耳が早いんですね」
「ジェームスの報告に面白いお嬢さんの話がありましてね。ちょっと調べたら門の前で何やらケガをあっという間に直してのけるすさまじい薬を使ったとか」
ジェームス?ああ、あの荷馬車に乗せてくれた行商の人か
「後はセメダリー団の新メンバーの噂とか」
「それは違います。それだけは違います」
それは否定したい
「おや、そうでしたか。失礼ですがその服装・・・と言うかその恰好には何か理由が?」
「呪術的な理由です。ポーション・・・薬を作る時に魔力を籠めるのに肌を出す必要があるんです」
「そういえばあんたがさっき薬を作っているとき体に模様が浮き出てたな。あれが関係あるのか?」
冒険者の一人が言う。
「すると現状その薬・・・ポーションといいましたか?それを作れるのは貴方だけ、なのですね?」
「まあ、そうなりますかね。・・・・・・あ」
「どうしました?」
「いえいえ何でもありません」
ギルバートさん目が光ったみたいだったな。
いやしかし、俺以外がポーション作る方法あったなあ。
俺の全身に浮かぶ文様を紙とかに書き写して、それを魔方陣として使用すれば多分いける。
立体になっているものを平面に書き写すのでその分ポーションの完成度が下がると思うがそれでも7,8割位にはなるだろう。
とは言えそれをするには着ているものを全部脱いで、体の隅々まで見てもらわなければならない。
本当に全身くまなく浮かび上がるのでかなり過激なポーズをとらねばならないだろう。
さすがに知り合いのいないこの町でそこまでできない。
だがポーションを作れるのは一人だけというのも危険すぎるだろう。
いずれ考えなければならない。
しかしポーションが存在しない世界とは・・・・・
転生前にちゃんと確認をしておくべきだった。この分だとぼろぼろとまずいことが起きそうな気がする。
「では商業ギルドに向かいましょうか?」
いろいろもやもやと考えているとギルバートが声をかけてくる。
そう、まずは身分証、ギルド証を手に入れないと。
徒歩で商業ギルドへ向かう。
ありがたいことに道中何も起きなかった。ギルバートがいたからかもしれない。
よく考えたら何も起きないのが普通だった。
5分ほど歩いたところに商業ギルドはあった。やはり門からそれほど遠くない。
大した距離じゃないのにいろいろあったなあ。裸が悪いんだろうか?
商業ギルドの中に入り登録をしてギルド証をもらう。
こちらのギルドでは12歳でも大丈夫だったようだ。村などから物を売りに来る子供もいるのでこうなっているらしい。
子供が物を売りに来れるほど街道は平和ということだ。よな?
さてギルド証も手に入れたしポーションを売ってみようと思う。
考えてみたらこれそこらの草と水でできてるんだよな。値段つくんだろうか?
「適正な価格で買い取らせていただきますよ」
高額と言わないところは気に入った。適正にお願いします。
鑑定および買取をしてくれるお姉さんにポーションを渡す。
おねーさんの鑑定タイム
鑑定中
鑑定中
お姉さんの目がかっと開く
「何ですかこれはっ!」
「うわ、びっくりした」
ギルバートもこっちによって来る。
お姉さんは興奮気味だ。
「これはすごいですよ!教会で高位の回復魔法をかけてもらわないと治らないようなケガがこの薬一つで治せますよ!!」
「それはすごいんですか?」
「すごいんだよお嬢さん」
「はあ」
ピンとこない。
「教会で回復魔法をかけるといくらかかるんですか?」
「教会は料金の請求はしないよ。治療を受けたものができる範囲で払うんだ」
「なるほど良心的ですね」
さすがあのイケメンの管理している世界である。
ってことはあのイケメンが祀られてるのかな?じゃないやイケメンの外見は俺の記憶から作られたんだった。同じ存在だとしても見かけは違うよね。
「さて金額だが一本金貨1枚でどうだろう?本来もっと高くてもいいはずだが金持ちしか手に入れられないのではあまり意味がない」
草と水から作ったポーションが10万円か~高すぎないかなあ
「今はここにある12本だけしかありませんから価値としては非常に高いものになります」
「数を作ったら値段も下がります?」
「まあ、そうなりますかね。」
「では数を作ります。50本ほど。そしてもっと効果の弱いものを100本ほど用意します。それで一本いくらになりますか?」
「あまり安くしない方がいいよ?死ぬまで薬を作り続けることになるよ」
うっ、そうだった!加減が難しいな
「効果の高いものは金貨1枚、低いものは大銀貨1枚くらいにしておいた方がいい。教会に人が行かなくなってしまっても困ったことになるからね」
「うーん、そうか」
しかたがないかな。教会とけんかしてもしょうがないしなあ。
「じゃあ、それでお願いします」
「わかった。ではとりあえず12本分の代金金貨12枚を払おう」
金貨を小さい革袋にしまうとそれをビキニの腰の紐にぶら下げる。
これ袋盗まれたら一緒に下が脱げちゃうんじゃないかな?うーん、危険危険
とりあえず半分に分けて片方は背負い袋に入れておこう。腰紐は注意しておくしかないな。
金貨の重みで紐が下に引っ張られる。不安。
「それじゃあ、薬ができたら持ってきてくれたまえ」
「はい。あ、この瓶と同じくらいのサイズの瓶を作ってくれるガラス職人さんを知りませんか?」
「ふむ、一人いるぞ変わり者だが君とは気が合いそうだ。紹介状と地図を書こう」
なんだろう、ビキニとかふんどし一丁なんだろうか?それはちょっと嫌かもしれない。
商業ギルドを出てどこへ向かうか考える。
んー、まずはガラス職人の方からだな。
裸同然の主人公って大変だな!




