ポーションは薬だが薬はポーションではない
ちょっと長め(私にしては)
「大変失礼しました」
チラッチラッ
「気にしないでください。間違えても仕方がないと思います」
チラッチラッチラッ
賊の類に襲われたとの勘違いを解いて荷馬車の青年と話をしてみることにする。
チラッチラッチラッチラッ
めちゃめちゃ見られてる。女の人は自分が見られてる部分とかが分かるらしいがなるほどよくわかる。
もっとも全身見てくれと言わんばかりの恰好をしているのでこれはしょうがないと思う。
しかし、マイクロビキニが異世界の普通の恰好の可能性も考えていたのだがこれは変な服装の方だった様だ。
ちなみに頭からかぶせられたシーツは返した。力が出なくなるような感じがした為だ。
鑑定能力のようなものが使えるようなのだが(薬草を見つけた時に気が付いた)それで自分を見てみたら
薬草学と呪術に秀でた少数民族の出らしい
体を露出しているのは術の使用時に体に浮かぶ文様を隠さないためで、隠してしまうと術の力が弱まってしまうらしい。
今の状態でもベストを着ているし、わずかにビキニやヒモで隠れている部分があるのでフルパワーを出したかったら全裸にならなくてはいけない。
全裸最強。どっかのゲームのニンジャか
年齢はなんと12歳!身長こそ低いが12歳の体じゃないだろう
名前はわからない。自分で決めろということか?
とにかくここで人に会えたのは幸運だと思うことにして町か村への道を聞いてみることにしよう。
青年の名前はジェームス。24歳独身軽い興奮状態。
名前より後の部分はつい鑑定してしまった結果だ。
・・・・興奮状態か・・・誰だ幸運だって言ったのは?
「ここから一番近い町ぺドルだと荷馬車で1時間くらいですよ」
ほうほう1時間か。俺の知ってる1時間とこの1時間は同じなんだろうか?
ポクポクポク・・・・チーン
同じようだ。
そういう知識が頭の中にあった。
ふむふむ歩いても日暮れまでにはたどり着けそうだな。
「良ければ送りますよ!」
うーん・・・・・興奮状態
顔は見てないので自分ではわからないがこのエロボディに我を忘れられても困る
いざとなれば自分の身は守れそうだがさてどうするか
「お願いします」
結局送ってもらうことにする。
大丈夫だろう・・・・・・多分・・・・多分・・・・歩くの面倒だし
地面に埋め込んだビーズをほじくり返して荷馬車に乗せてもらう。
あー、考えたらゴーレムの馬を作ればよかったのか・・・・・・まあ、いいか
「よろしく。えーっと、シグです」
前世のゲームで女性キャラを使うときにつけていた名前を付ける
実際は「しぐれ」だったが。
和風にしてもいいのだがなんとなく避けてみた。
荷馬車で揺られながらジェームスと話をする。
自分の話は作り話になってしまうのだが鑑定の結果から作ったのでそれほど変ではないと思いたい。
自分のことは修行の為にに村から出たと話した。
そしてこの服装は民族衣装であることを強調した。
ジェームスは町から町へと移動しながら物の売り買いをする商人だそうだ
街道の脇でどう見ても服を着ていない少女を発見し、賊に乱暴されたか場合によっては賊の罠の可能性も考えていたようだ。
それでも荷馬車を止めて声をかけてくるあたり彼は善人なのだろう。
しばらく荷馬車を走らせていくと高い塀と門が見えてくる。あれがぺドルの町か。
門には衛兵らしい鎧を着た男が2人両脇に立っている。
衛兵・・・・・膝に矢を受けてしまったのだろうか?
門の前まで行きジェームスは荷馬車を止める。
俺は礼を言い荷馬車から降りる。
ジェームスは何かカードのようなものを見せていくらかのお金を衛兵に渡している。
なるほどカードもお金もどっちもないな・・・・・・・・・どうしよう?
「それではシグさん失礼します」
ジェームスにどうにかしてもらうわけにはいかないし自分で交渉してみるしかない・・・・か
ジェームスに頭を下げると荷馬車は門の中に入っていく。
さてさてどうしたものだろう
「お前は何者だ?」
衛兵に尋ねられる。
うーん
まあ、ここはある程度正直にしとこう。といっても作り話ですがな
「私は旅のものです。遠い村から来ました。」
「ふん、つまり蛮族の類だな?市民証かギルドカードはあるか?」
「ありません」
「では銀貨2枚はあるか?」
「ありません」
「それではここを通すわけにはいかない。あきらめるんだな」
町に入れずに一人で生きていくのもできそうな気がするのだがここまで来て中に入らないというのも何か悔しいので方法を考えたい気もする。
「なあ、こいつ怪しいんじゃないか?よく調べた方がいいんじゃないか?隅々まで」
今まで黙っていた方の衛兵が俺の体を嘗め回すように見ながらそんなことを言い出した。
「そうだなよく調べてやるか。怪しいからな」
二人ともニヤニヤしだした。おいおい、いやらしい顔だな
「そこの詰め所でじっくりと調べてやる。来い」
「逆らったら不審者としてとらえるぞ」
んー、ピンチかな?
まあ、全力で逃げたら逃げられそうだ。
どうしようかなっと
「通してくれ!!」
これは俺じゃない。街道の先から数人の武装した集団がこっちへ走ってくる。そいつらの声だ。
そのうちの大柄な戦士風の男がぐったりとした魔法使い風の青年を背負っている。
見ると魔法使い風はひどいケガだ。
「薬が全然効かないんだ!」
「薬なら私も持っていますよ?試してみますか?」
見捨てるのもアレなので声をかけてみる。
「あんた誰だ?」
「まあ、それは後で」
ポーションを取り出す。かけて良し飲んで良しの外傷用ポーションだ。
「なんだそれは?それが薬か?」
「そうですよ?取り合えず彼を下ろしてください」
仲間の一人の外套を敷かせてその上に魔法使い風を寝かせる。
ポーションの蓋を外して傷にかけようとする。
傷は何か鋭い爪のようなもので付けられたもののように見える。
「おい待てそれ大丈夫なんだろうな?」
戦士風が俺を止めようとする。
ええい、面倒くさい!
かまわず傷にぶっかける。
「てめえっ!!」
「待て!ガズ!見ろ!傷が!!」
集団の別の男・・・盗賊風が戦士風を止める。
うむ、さすが俺のポーション。見る見るうちに傷が治っていくな。
余ったポーションは魔法使い風の口に流し込む。
「なんだこれ?こんなの初めて見たぞ!」
ん?
「なんだこれってポーション・・・・」
「ポーションてそれか?薬なのか?」
あれ?
「いや、あれ?皆さん傷を治すのには何を?」
「これだよ」
見せてもらうと軟膏のようなものが広い口の入れ物の中に入っていた。
鑑定してみると
血止め、鎮痛剤
うん、これ大きな傷は無理だね。
でもこれが一般的な薬だとしたら・・・・・・
やっちゃった?




