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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
七章 名も無き幽霊
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クリスマス番外 聖夜

間に合ったーー!

急ピッチで仕上げたので質悪いです。

すいません。

 今日、この日は聖夜と呼ばれる日だ。

 リクレイフィアも光属性魔法で様々な色に彩られ、夜の街を鮮やかにしている。


 地球で言うクリスマスのようなものが異世界でも存在していたことに驚きだが、異世界での聖夜とは、世界が救われた聖なる日という意味合いがあるらしい。


 まあ、そんな昔に起きたことなんて今を生きる人には関係なんてないわけで、異世界だろうと地球だろうとリア充はイチャコライチャコラと……!


「ふふふっ、だが俺も非リア充など今年で卒業だ!」


 何故ならーー、


「どうしたの?ロキア」

 お兄ちゃんいきなり笑い出してどうしたの?寒さでおかしくなっちゃった?」


 カナという完璧な少女に今でも殺人的なまでに可愛く、将来は男を泣かせるような女になること間違い無しの美幼女のリオが隣にいるからだ!!!


「なんでもない。幸せだなって思っただけだよ」


 本当ならルシアやエルも誘いたかったのだが、ルシアは仕事、エルは帝国の方でも祭りを催すらしく忙しいとのことだった。


 ルシアはこの話を持ちかけた時に憎悪のこもった声で「楽しんできてください」なんて言ってきたので、出会わないことを祈るのみである。


「でー?お兄ちゃんどこに行くの?」

「聖夜はな、いい子にプレゼントをあげる日なんだ。だからリオに何か買ってあげよう!ちょうど俺も冒険者として依頼で金も貯めたしな」


 俺の体についての事件が終わった後に、カナに養われるだけでは男がすたると考えた俺は、全く行っていなかった冒険者ギルドへ赴き、依頼をこなしこの日のために金を貯めていたのだった。


「本当!?いいの?」

「ああ、もちろん!」

「私はそんな話聞いたことないわよ?…私が聞いたのは恋人同士がプレゼントを交換し合う〜ってやつだけよ」


 やはりここまでくるとプレゼント交換も異世界では行っているようだ。


「じゃあどっちもやろう」

「そうね、楽しそうだもの。じゃあ私も何か買ってくるわね」

「リオはロキアお兄ちゃんの方についていくね!」


 そう言い、カナは俺たちと別行動をとろうとーー、


「いや、別行動なんてさせないからね!?」


 したので、俺が無理やりカナの手を引き、止めた。


「どうして?プレゼントが何かばれちゃうでしょう?」

「いやいや、こういう日は一緒にいるもんだよ!」

「そうなの?初めて知ったわ」


 カナは天然でこのような行動を起こすので困ってしまう。


 まあ、結果的には一緒に行動できることだし良しとする

 か。


 俺はカナが別行動を取らないように手を握る。

 すると、カナはわざわざ一度手を離し、恋人つなぎに手をつなぎ直す。


 一瞬ドキッとした俺は悪くないと思う。

 カナの顔は横を向いていて見えないが、耳は寒さのせいではなく赤くなっている。


 それを見てリオも俺の手を握る。






 ♢





 俺たちは近くにあったアンティークショップ等に入り、プレゼントを買うと、リオが氷神滅狼アイスフェンリルなのにも関わらず寒いと言い出したので帰宅した。


「じゃあ、お互いにプレゼントを交換しましょうか」


 カナはそう言って俺とリオに包みを渡してくる。

 俺もカナとリオにプレゼントを渡す。

 リオも懐から、包みを取り出す。


 リオは、俺とカナが渡していたお小遣いを使用し、プレゼントを用意したようだ。


「じゃあ、全員で一斉に開けようっ!!」

「了解」


 リオの提案により、二つプレゼントがあるものの、それを同時にあけるという中々に高度な挑戦をすることになった。


「せーのっ!」


 ビリッと袋を開ける音が部屋に響く。


 俺が貰った袋には、カナからは銀をベースとして、赤い宝石で装飾されたブレスレッド、リオからはモコモコの暖かそうな手袋を貰った。


「ロキア、リオありがとう」


 カナはそう言うと、俺の渡した結婚指輪とは違う装飾品としての指輪と、リオが買ったらしい俺とお揃いのモコモコの手袋を胸の前で抱きしめていた。


「うわぁーっ、あたたかーい」


 リオは俺の渡したマフラーと、カナが渡した親指と他の四本の指の間にしか区切りがないような可愛らしい手袋をつけていた。


 二人ともプレゼントが被ることもなく、みんな喜んでいるようである。


 そういう俺もカナから貰ったブレスレッドをすでに着け、リオからもらった手袋も着けている。

 二人のプレゼントが若干重なるように付けられているがそこは大きな問題じゃあない。


 俺、カナ、リオが互いに交換し合ったプレゼントはどれも狙ったかのように肌身離さずつけていられるようなものだった。




 プレゼント交換も終わり、カナとリオの二人が作った世界一美味しい夕食を食べ終わると、みんなすぐに風呂に入り布団についた。




 だがしかしっ、クリスマスはこれからなのだよ!

 サンタとしてリオの枕元にプレゼントを置こうと思う。


 本当ならば昨日の夜に置いておきたかったのだが、リオが今日がものすごく楽しみだったらしくなかなか眠りにつかず、プレゼントを置くタイミングを見失ってしまったのだ。


 リオはそれにより、朝からサンタからプレゼントを貰えず意気消沈していたが、今日プレゼントを渡せばギリギリセーフだと思いたい。


 そっとリオの部屋に入ると、リオがこの家に来た頃よりもリオの部屋には、机、棚等リオの私物が増えて女の子らしい部屋になっている。


 おっと、イカンイカン。

 こんなことをしていたら、氷神滅狼であるリオにばれてしまう。


 なので、さっさとベッドで寝ているリオの枕元に買っておいたプレゼントを置く。


「メリークリスマス、リオ」


 おそらくこの世界では通じないであろう祝いの言葉。

 それをリオに言うと、俺はリオの部屋から出た。


「さて、俺も寝るかな」


 本当ならばカナにもサンタとしてプレゼントを置こうと思ったが、カナはもうそんな歳でもないだろうと思い、やめた。


 今日は楽しかったなーと、思いながら寝室の戸を開けると、人一人入れそうなくらい大きな包みが俺のベットの横に置いてあった。


「………えーと?」


 取り敢えず開けるか。

 放置しようとも考えたが、さすがにカナが可哀想なのですぐに開けることにした。きっとサンタの格好でもしたカナが入っているのだろう。


 プレゼントを開けるとそこには、サンタのコスプレをしたカナがーー、あれ、……えっ?


「プレゼントは私よ」


 裸にリボンを巻いただけのカナが包みの中には入っていた。


 鼻から溢れそうな血を抑え、吹き飛びそうな理性を止め、まずはこの一言。


「メリークリスマス」

「…?メリークリスマス」


 意味はわかっていないようだったがしっかりと言葉をカナは返してくれた。


「サンタさんからのプレゼントだ、大切にしなきゃな」

「へ?きゃっ!?」


 そう言って俺はカナを所謂お姫様抱っこというやつで、ベッドの上に運ぶ。


「大好きだよカナ」

「……私も好きよロキア」


 顔を赤くしながらも俺の言葉に答えてくれるカナ。



 ーー異世界のこんな聖夜も悪くない。




メリークリスマス!

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