表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
一章 邪神族の墓地編
8/82

油断

テストが終わったので更新再開です。

見ていってください。

 戦闘とはこんなにもハラハラするものだっただろうか?

 ドキドキして、怖くもあって、いつも死と隣り合わせ。

 忘れていた。いや、知らなかった。

 この墓地の通常の死霊達は霊体の俺には効果のないような攻撃しか使えず、ただこちらが一方的に攻撃するだけだった。

 だが今はどうだ、周りには何十もの敵がいて、俺にも攻撃を当てられるやつもたくさんいる。

 今対峙しているエルフ死霊なんて、かなり強い。

 俺が必死に努力していなければもうとっくに死んでいただろう。

 少しでも努力を怠っていたならばもう死んでいた。


 だが、まだ生きている。

 生きているならば、まだどうとでもなるはずだ。

 周りの死霊はなぜだか俺たちの戦いには介入してこない。

 カナのような化物レベルでもない。

 まだ俺の手が届くレベルだ。

 エルフの背中は見えている。


 ならば、何が起こるかわからない戦いの中でその背中に追いつく事だって可能なはずだ。


 考えろ!

 今のこの状況を打破出来る方法を。


 相手の適正魔法はおそらく火だろう。

 その証拠に体に火を纏っている。

 俺も考えていたその戦法。

 俺のはまだ不完全。

 完成版を見て学べ。


 相手の武器は剣。

 武器を持った相手の身体捌きをよく見ろ。

 俺の動きには削れる無駄な動きがまだまだあるはずだ。


 エルフの死霊と一回二回と剣と鎌をぶつけ合う。

 火を纏った事で斬られたら傷口を燃やして斬った対象の体力等を一気に奪う感じだろう。

 攻撃力も若干上がっている気がしなくもないが、そこまで上がってはいないだろう。


 ならば、斬られなければ問題ない。


 他に何か変わったところは・・・・・


 体に纏った火で動きにブーストをかけているくらいだ。

 流石に体を火にするとかはしていない。


 エルフの死霊を倒すには聖なる力的なもので一撃で倒すのが好ましい。

 短期決戦で行かなければまだ他の死霊と戦うための体力を残しておかなければならない。

 そのためには十字架と・・・・・

 やってみる価値はある。


 まずは一度距離をとり、念力ポルターガイストで浮かせておいた十字架のうちの一本を飛ばす。

 縦横無尽にエルフの周りで動かす。

 すると、エルフは十字架に注意を向けた。

 流石に死霊の体で十字架に攻撃されるとひとたまりもないようだ。


 そこに俺が突っ込み、鎌で攻撃。

 エルフは俺の鎌を剣で受けつつも十字架からも気を逸らさない。

 だが、俺が攻撃すると同時に十字架はエルフの死角へと念力で飛ばす。

 鎌は当たらなくていい。

 十字架に向いている注意を完全にこちらに向けさせればいいのだ。

 だがエルフの剣の腕前もかなりのもので、押し切られそうになると十字架を使い、エルフを攻撃。

 だが完全には当てずに、かすらせる程度で狙う。

 しかし、その十字架も俺が拾った中で一番聖なる力が薄いものなので、あまり効果がない。

 それを知ったエルフは完全に十字架から、注意を逸らした。


 ここだ!

 戦闘中、常に上空で浮かせておいた数本の十字架を一気にエルフの頭へ落とす。

 感ずかれないように、鎌での攻撃も緩めない。


 そして、十字架の落ちてくるタイミングで今出来る限界の速さで後ろへ回り込み斬り上げる。

 それと同時に落ちてくる十字架。


 当たった!


 そう思った瞬間、エルフの体に纏っていた炎が一気に燃え上がり、エルフを巻き込んで大きな火柱を作る。

 業火とも言える炎の勢い。


 十字架は弾かれ俺も火柱の中へ。






 俺の、負けだ。






 ・・・・・普通ならな。



 火の中で俺は鎌にしている腕を長剣にし、霊力の上から光属性魔法を纏う。

 死霊を消す聖なる光だ。


 ぐっ!


 慣れていなく、適正が無いからか、霊力を下に纏っていても光を纏った腕が悲鳴をあげる。

 目の前は真っ赤な火。

 だが、それは相手も同じはず。


 俺は、熱さと痛みに堪えながら火の出処に向かって剣を突き刺す。


『ガアアアァァァッッ!』


 エルフから大きな悲鳴が聞こえる。

 火の勢いも弱まった。

 トドメとばかりに光の魔力を思いっきり流し込む。


 ぐあっ!

 超痛い。


 でも向こうはもっと痛いはず!

 霊力を下に纏っている分こちらのダメージもだいぶ小さいだろう。


 だったらこれくらい堪えてやる!


 視界が暗くなった。

 火が消えて、元のくらい墓地の景色。


 俺の腕は、エルフの腹部に刺さっている。

 エルフは口から血を流し、動かない。


 倒した?


 そう思い、腕の変形と纏っていた霊力と魔法、限界突破リミットブレイクを解除した。


 すると、突然体に衝撃。

 視界に映るのは周りにいた死霊達。


 忘れていた。


 エルフとの戦いに決着がついて気を抜いた。


 俺を攻撃したのは、先程のエルフと同レベルだと思われる獣人の死霊。


 そうだ、死霊達は争っていたのだ。


 一方に大将がいたのなら、もう一方にいてもおかしくはない。


 にも関わらず気を抜いた俺の失態。

 体が言うことを聞かない。

 これも後先考えずにエルフとの戦いに力を注ぎすぎた俺の失態。


 くそっ、嫌だなぁ。

 こんなところで死にたくない。

 まだまだ強くなれたはずなのにたった一度の失敗で全てが終わる。


 獣人の死霊が、俺にその鋭く尖った爪を振り下ろすーー


 ズバンッ!


 どう考えても獣人の爪の音ではない。

 痛みも感じない。


 見ると黒い剣が、獣人の腕を斬り飛ばしていた。


 その剣の持ち主はカナ。


 ついこの間弟子入りした俺の師匠である。


「状況を見るにかなり頑張った感じかしら?」


『か、カナ』


 フフッと笑うカナ。

 何がおかしいのだろうか?


「弟子が頑張っていると、師匠は嬉しいのよ」


 なぜ考えていることが分かったのだろうか?


「あとは私に任せなさい」


 カナがそう言った瞬間にカナの体がぶれる。

 消えたと思ったらもうすでに死霊達の中。


 目に映る光景は、一方的な蹂躙だった。


 動きに無駄など一切なく美しいとさえ思えるほどの剣技。

 カナの体には指一本も触れられない。

 そう感じさせるほどの体捌き。

 的確に相手の急所を狙い一撃で絶命させていく。


 憧れと同時に抱いた感情は敗北感。


 俺が全ての死霊を倒してもっと強くなるはずだった。

 でも、力が足りなかった。

 俺の後先を考えない戦闘が仇となった。


 学ぶ事もたくさんあったが、それ以上に後悔が強かった。


 なぜ俺はあそこに立っていられないのだろうか?

 あのレベルのところまで行きたい。



 もっと強くなりたい。






 ♢




 カナによる戦闘と言う名の蹂躙は終わり、俺は治療をしてもらっていた。


「死霊も一応回復魔法って効果あるのね、初めて知ったわ」


 へー、と先程無双していた人と同一人物だとは思えないような気の抜けた声に呆れつつ治療される。


 しかし、カナはやはり天才どころでは済まされないほどの実力者だと思う。

 圧倒的な剣術を見せたかと思えば今度は馬鹿げた効果の回復魔法。

 光属性魔法を纏って消えかけていた俺の腕も一瞬にして治ってしまった。

 それなのにまだまだ底を見せない。

 強すぎだっつーの。


『それにしてもどうしてカナがここにいるんだ?』


 確か、偶にしかこちらには来ないと言っていた気がするのだが。


「うーん、こっちの墓地から凄い数の死霊の気配を感じたから、ロキアが心配になって見に来たのよ」


 アカン、危うく惚れるところだった。


『ありがとう。おかげで助かったよ』

「フフッ結構危ない感じだったしね。でも、だいぶ強くなんたっんじゃない?」


 言われてみればたしかにそうだ。


 回復魔法をかけられて体の疲労と怪我が回復してから、異様に体が軽い。


 戦闘中に死霊達を狩ったので、死霊使いのクラス効果で身体能力を受け継いだからだろう。


 今、取得を保留にしている固有能力もかなりあるだろう。

 また少しずつ強くなれる。


 それが嬉しかった。




 いつかカナの隣に立てるくらい強くーー







 《ステータス》

 名前:ロキア

 種族:強欲な死霊

 称号:邪神族の墓地の孤独幽霊ぼっち、優しさを知った幽霊しあわせもの死霊狩り(同族殺し)

 ランク:B◀︎

 ▶︎ランク説明:そこそこ強い。勇者とかには瞬殺されるレベル。

 クラス:死霊使い

 固有能力:念力、憑依、限界突破 ※保留中の物あり。




誤字脱字等ありましたらご報告下さい。

評価感想も待ってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ