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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
七章 名も無き幽霊
79/82

決着へと

テストが終わったー!(二つの意味で)

遅くなり申し訳ございませんでした。

あと、密かにtwitter始めました。

 俺がアルテアに貰った能力は、《干渉》。

 俺の憑依とは似ているようでまた違った能力である。


 憑依は内側から魂に干渉する力。

 だが、アルテアから貰った能力《干渉》は外からであろうと中からであろうと関係なく魂に干渉することができる。


 アルテアがこの能力を使っていたのであれば魂だけではなく、万物に対しても干渉することができたのだろう。

 だが、俺は邪神などではなく、その下位互換の死霊。


 魂に干渉することができるだけでも俺には見合わない能力なのだ。

 しかし、俺の体が霊体、つまりは魂だけなこともあり、魂干渉に適性があったということだろう。


 先程闇を祓った力は、《念力ポルターガイスト》に干渉の力を《付与エンチャント》しただけ。


 だが、俺の体の中を包み込んでいた闇は怨霊。

 怨霊は魂。

 この力で祓える類の物だ。


 さて、そろそろ外が見えてくる。

 この世界の果てに辿り着き、カナ達と再び会うことができる。


 俺がどれだけこの世界の中にいたのかは知らないが、心配をかけたと思う。


「終わらせに行くぜ!」


 視界に映るものがガラリと変わり、世界が変わる。




 《ステータス》


 名前:ロキア

 性別:男

 種族:邪神の力を持つ死霊

 ランク:A

 クラス:死霊使い

 称号:邪神族の墓地の孤独幽霊ぼっち、優しさを知った幽霊(しあわせもの)、死霊狩り《同族殺し》、エセ探偵、魂の支配者

 固有能力:念力ポルターガイスト、憑依、限界突破リミットブレイク、五感強化、魔力操作、霊力操作、収納ストレージ、干渉 ※残り容量〇






 ♢




 フッ、と視界が切り替わると、そこは墓地のど真ん中。

 周りには相変わらず、瓦礫。


 アレ?カナたちは?


 周りを見渡せども、カナたちの姿は見えない。

 だが、度々戦闘音は聞こえてくる。


 ハイスピードバトルで、場所がどんどん変わってるのかな?


「とりあえずは、カナたちと合流だな」


 こういうときに便利なのが、この死霊の体だったりする。

 死霊は足がなく、浮遊している。

 浮遊している高度は簡単に変更することができ、浮遊というよりかは飛行に近い形にまで上昇できる。


 高度を上げ、周りを見渡すと目に入ったのは、カナ、リオ、ルシア、エルの四人がかりでも、攻めきれずにいる容だった。


「確か、アルテアがあいつはチート持ちだって言ってたな」


 ほぼ攻撃無効に再生、面倒なことこの上ない。


「取り敢えず牽制かな」


「《闇魔砲ダークレーザー》」


 ん?俺の腕から放たれた黒い閃光はものすごいスピードで怨霊へと迫り直撃。


 いきなりの外部からの攻撃にこちらを見る四人の姿が目に入る。


 だが、今気になっているのはそんなことではない。

 俺の体をもう一度よく見てみる。


 手、ある。

 足、ない。

 口、ある。

 目、ある。

 鼻、ある。


 ん?俺の霊体って体のパーツの区別もつかないような適当な感じの体じゃなかったっけ?


 先程から念話テレパシーを使わずとも声を普通に出せていたことにも疑問を持っていたが、まさかここにきてようやく生き物らしい形になったか俺の魂よ!


「何気に無詠唱で魔法も放てるようになってるし……これは、アルテアに感謝だな」


 おそらく、怨霊のスペックが急激に上がったのはアルテアのおかげ。

 霊体が、それっぽい形になったのは、元の体に一度入ったから、そこから情報を魂が勝手に抜き出したのだろう。


 ふわふわと上空からカナたちの方へと近寄る。

 すると四人ともルシアとエルはこちらを敵と判断したのか、未だ臨戦態勢を解かずにいる。


「何者です「「ロキア(お兄ちゃん)!」」……へ?」


 ルシアが俺の正体が何者かどうかを聞こうとしたが、カナとリオに遮られる。


 って、二人が抱きついてきたああああぁぁぁ!?


 カナとリオは怨霊がすり抜けないよう、しっかりと霊力を使用して、俺の霊体を捉えている。


「心配したのよ!?」

「本当だよっ!どこほっつき歩いてたの!?」

「全く、ロキアさんはトラブルメイカーというかなんというか」

「まあ、無事だと思ってたよ」


 四人ともそれぞれ俺に文句を言う。

 確かに、心配をかけたと思うが、抱きついてくるほどか?

 怨霊感では数日と失踪した訳ではないと思うし……。


「き、きし、キシャァ!!」

「煩い」


 話をしている俺たちに飛びかかってきた怨霊。

 だが、それはカナの蹴りで一気に吹き飛ばされていった。


「全く、一月も師匠の前から消えるなんて、弟子失格よ!?破門よ破門!」

「え、一月!?」


 俺の気付かぬうちに、一月も失踪していたようだ。

 こんなに心配してくれたとは少し嬉しい。


「ご、ごめんなさい」

  「まあ、ロキアの所為じゃないのはなんとなく分かってるし、そこまで責めはしないわ。それに、今はーー」


 そう言うとカナは俺から視線を外す。


「ゲヒャッ」


 怨霊の方に視線を向ける。

 っていうか怨霊で変な気持ち悪い声を出すな!


「あいつを片付けなくちゃね」

「よーし、リオも本気を出すよ!」

「もう手加減しなくて良さそうですしね」

「ようやく、気を遣わないで戦えるな」

「あ、あの、一応アレ俺の体なんで、塵にはしないでね?本当に、頼むよ?」


 四人は俺の体を消し炭どころか、存在ごと吹き飛ばしそうなほど意気込んでいるので、心配になる。


「そういえば、ロキアの魔法。あいつの再生が効いてないのはどうして?」

「魂に直接ダメージを与えてるからな、肉体みたいに再生は出来ないんだよ」

「ふうん、じゃあ、ロキアの体でしょう?私たちが繋ぐから、しっかりとケジメをつけなさい。師匠命令よ」


 さっき破門って言ってませんでした?

 まあ、いいけど。


「グヒャア!」


 猪突猛進とはこの事か、というほど勢いよく突っ込んでくる。


「させませんよ!」

「通すと思ったのか?」


 瞬時に二人は魔装を使用し、怨霊の攻撃を受けきる。

 更に、エルが腹部を強く蹴ることで体を吹き飛ばし距離を取り、ルシアはそれを追撃する。


「くらえっ!《氷爪アイスクロー》」


 ルシアよりも先に回り込んでいたリオが、氷の爪を振るう。

 その爪は確実に体を捉え切り裂く。


「おまけです!《女神の審判》」


 駄目押しとばかりにルシアは自らの奥義を使用。

 光の奔流が怨霊を吞み込む。


「ギグァッ!!!!」


 その光に飲み込まれる瞬間、禍々しいオーラが体を包み込むのが見えた。

 おそらく急ピッチで仕上げた簡易な盾だろう。

 再生があるとはいえ、体を一瞬でも欠損するのはそれだけで大きな隙ができてしまうため、それを最小限に抑えようとしての行動だろう。


「《うつほ》」


 カナも俺が今までに見たことがない本気モードの様子。

 ……俺、要らなくね?


「さて、私に続きなさい」

「あ、はい」


 なぜか敬語で答えてしまった。

 なんか俺が空気と化している気がする。


 互いに目を合わせると、合図など無しにカナと俺は、ほぼ同時に飛び出した。


「ヴェァアアアアアア!!!!」


 大気が震えるほどの咆哮が墓地に響く。

 ついに怨霊を乗っ取っている怨霊がブチ切れたようだ。


「《氷の牢アイスプリズン》さあ、やっちゃってロキアお兄ちゃん、カナお姉ちゃん!」


 ガキィン。


 そんな音がしたかと思うと怨霊を氷が包み込む。


「よくやったわリオ。《終焉》」


 カナが手に持ったロスト・エデンを振り下ろすとそこからドス黒い斬撃が放たれる。

 それは容赦なく怨霊に放たれ、今ようやく氷から抜け出すことのできた怨霊には到底躱せるはずもなく、命中。


 その黒い斬撃は怨霊を切り裂くだけでなく、その斬りつけた部分から侵食が始まっている。


「さて、ロキア。後はよろしく」


 ったく、どうしてこうも俺の周りの美少女ってのは強いんだろうか。

 これじゃあ俺の立場というか面子というか。


「俺がみんなを守れないじゃねえか」

「ゲ、ケヒッ」


 だから、俺には体が必要だ。

 死霊なんて制限の掛かった種族ではなく、動ける体が。

 どんな時でも俺がやりたいことをやる為の体が。


「だから、返してもらうぞ!」


 干渉を付与した腕が一振りの剣を模る。


「ついでにお前の力も俺がもらってやるよ」


 ドスッ。


 先程のの攻撃、拘束により、未だに動くことが不可能な怨霊へと剣を突き刺す。


「ガ、ガァァァアアアア!!!!」

「とっとと、俺の体から消え失せろ!」


 怨霊の悲鳴が墓地に響き渡る。

 その声は大気を揺るがし、墓地に巣食っている死霊どもを怯えさせる叫び。

 並みの生物ならこの方向に怯み、剣など突き立てることはできなくなる。


 だが。その叫びが徐々に小さく、悲痛なものへと変化していく。

 俺の腕には干渉の他にも光属性の魔力を付与している。

 それにより、怨霊の消滅が加速度的に早まっていく。


「アアアアァァァ………」


 シュウゥゥ。


 そんな音と共に黒い蒸気が俺の肉体から出て行く。

 俺の体の中で死霊が死滅したのだろう。


「………終わった」


 疲れた、もう寝たい。

 死霊の体だと睡眠は必要ないが、気分の問題だ。


 《憑依》


「ああ、漸く、元の体に戻った」


 ふらりと足元がおぼつかない。

 体の節々に激痛が奔る。


「……そう言えば、みんなに滅多打ちにされたんだった」


 忘れていた。

 痛みと疲労により俺の視界が徐々に黒くなる。


 意識が飛ぶ瞬間、柔らかいものが俺の体を受け止めたのと、カナの「お疲れ様」という声が聞こえた。


さて、この物語も終わりが目前となってきました。

後少し!なるべくすぐに次話を投稿したいと思っております。


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