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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
七章 名も無き幽霊
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狂人【カナ・アークノート】

あ、あれ?

前回の最終決戦前みたいなノリはなんだったのかな?って感じです。


「で?ロキアさんがどこにいるのか分かったんですか?」

「いいえ、分からないわ」

「なのに私は呼ばれたんですかっ!?」

「リオが勝手に呼んじゃったんだ。…ダメだった?」


 上目遣いで、目に涙をためてルシアを見つめるリオ。

 その愛らしさにルシアはノックダウン。

 責める気力がなくなってしまったようだ。


 今分かっているのは、どうしてロキアが見つからないかということだけである。

 この世界で、なんの手がかりもなく人一人を探すのは至難の技。


 困った。

 何か都合が良く手がかりが落ちていないだろうかとも思う。


 母アリアからもらったペンダントが教えてくれないかな?とも思ったが、反応なし。


 事態は一向に進展しない。

 ネラもよく分からないみたいなことを言っていたし…。


 そもそも、現在ロキアがどんな体に憑依しているのかがまず分からないので、捜索のしようもない。


 それなのにエルたちには探させて悪いとは思うが、手がかりが見つかる可能性もあるので継続して貰わなければ。


 今ある情報は、索敵エネミーサーチにすら引っかかる事のない超微量の魔力しか所持していないということ。


 そんな存在が、どれだけ危険なのかは分からないがネラがあそこまでして止めたのだ。

 相当の実力を持っていると考えて良い。


 それと、リーデヴィッヒが使用していた力に類似しているか、そのものだという事。


 捜索の条件に、魔力を微量しか有していないが、禍々しい力を持つ者という事を加えて貰えば何か分かるだろうか?


 いや、多分それでも見つからない。

 見つけられるとしたら、実際にあの力を目にした私か、エルだけだと思う。


 あの力は異様だ。

 あの禍々しい力に飲み込まれ発狂なんて人も出てくるかもしれない。


 周りで、発狂した人間でもいればそれをたどればいつかはロキアにたどり着くことができるのではないだろうか。


「ルシア、ここ最近王都で、気が動転したり、発狂したり、おかしくなった人はいない?」

「え?そんな狂人みたいな人……いません。多分」

「曖昧な答えね。心当たりが?」

「いえ、元々頭がおかしい人ならいるんですが、ここ最近となると関係ないかと思いまして」


 前から。…ふむ、無関係?

 一応当たってみるのも悪くはないか?


「その人は普段どんな感じなの?」

「王都にある収容所で今は捕まっています。たしか、周りの人の気分を害する力を持っているようですし、だいぶ頭もおかしな人でしたから」


 なんか都合がよすぎる気がするが気にしない。

 ロキアを助ける糸口、それをようやく見つけたのだから。


「そいつのところへ連れて行ってくれる?」

「え?何か手がかりでも持ってるんですか?私の権力を使えばなんの問題もなく面会は可能ですが」

「なら頼むわ」


 私たちは王都の方へ向かった。

 気絶しているネラを置いて。






 ♢




「ここです。牢の中とはいえ、能力は健在のようですのでお気をつけください」

「ありがとうございます」


 収容所に着くと、一人の騎士に案内され、一つの牢屋の前に案内された。


 中は薄暗く、少し湿度が高めな地下牢のような場所であった。


 案内された牢屋の中を見ると、部屋の隅で蹲っている痩せこけた一人の男。

 確かにその男の体からは少し淀んだオーラが滲み出ている。

 これは、リーデヴィッヒの物に似ている。

 だが、アレよりはだいぶ弱い方だ。


 リオが少し身構え、警戒している。

 本能というやつなのだろう。


「…………だれですかぁ?まだワタシに聞きたいことでもあるんですかぁ?……おや、いつもの方ではありませんねぇ。何かワタシにご用でしょうか?」

「単刀直入に言うわ。その力について教えてくれないかしら」

「おおぅ。これはこれは綺麗な女性だぁ。つい、その顔が絶望に染まったところを見たくなる」


 頭のおかしい、というよりは加虐主義者?

 たしかに狂っているといえばそうなのだが、私が考えているものとは違った。


「でぇ?この他人を不快にさせるチカラのことですかぁ?ふむふむ、何かワケありという感じですねぇ」

「そうね、その力は魔法による探査に引っかからない。その力の所持者を見つける方法と、引き剝がす方法を教えてもらえるかしら?」


 ここで答えが分かったら上出来。

 ヒントだけでも貰えれば大きな進歩だ。


「ふむぅ。…ま、いいでしょう。ごっつい騎士に話すより、綺麗な女性に強引に喋らされる方がいい。この力はですねぇ、邪神からのギフトなんですよぉ。邪神が憎悪を持って死に至るとその周囲にいる生物は邪に侵される。言わば邪神の負の感情から生み出された邪気なんですよぉ!だから魔力でも霊力でもないのでぇ、従来の魔法を使用しても探知できない。まぁ、説明としてはこんなものでしょう」


 邪神の負の感情。

 それが死して周りに振りまき身体に宿る生物が生まれると。

 ロキアの場合、邪神族の墓地にいた。

 つまり、それが普通に起こり得る場にいたのだ。

 これは当たりだ。

 こいつから情報を得ることができる。


「で?どうすれば見つけることができるのかしら?」

「普通なら見つけることは至難の技です。しかぁし、その力の源である邪神族ならば見つけることが可能なはずでぇす。自分の力ではないが、自分に近しい力を感じる。そんなことがあるのではないかとワタシは推測しております。肝心の邪神族はぁ、お目にかかることすら難しいですがねぇ」


 私に近い力を持つ者。

 結局はどうすれば良いのかよく分からない。

 領域テリトリー系の能力で見つけられるだろうか?

 領域系の能力はその人個人の感情等が大きく関係してくる。

 対象が領域内に入れば見つけることが可能かもしれない。


「後はぁ、最終的に元いた場所に戻る、つまりはぁ、その力を得た場所に居を構えるのですよぉ。帰巣本能っていうやつですかねぇ」

「……それは力を得てからどのくらいの話なのかしら」

「そうですねぇ、力が定着する少し前。……力を得てから一月ですかねぇ?一月で定着ギリギリですからもし、身内が意図せずしと力を得てしまったのであれば早めの対処をお勧めします」


 狂人と言われているようだが中々に良い人ではないかと思う。

 しかも、今のやり取りで身内が力を得てしまい困っていることをしっかり見抜いている。


 そんな会話をしていたのだから驚きはしないが対処法をしっかりと教えてくれるあたりも、捕まるような悪人とは思えない。


「もし、その身内が死んだらワタシのところに来てください。あなたの歪んだ顔が見てみたぃ」

「期待しているところ申し訳ないけど、あなたのところに顔を見せる事はないわ」

「それは残念ですぅ」


 前言撤回、そこまで良い人でもなく、結構性格悪かった。


 しかし、ロキアが呑まれてもう一月。人によって多少の誤差はあると見ていい。ならばそろそろ墓地に戻ってくる頃。


「ルシア、リオ、行きましょう」

「もう良いんですか?」

「ええ、情報提供感謝するわ。そこの狂人、釈放しても良いんじゃないかしら?」


 狂人、性格は悪いがそこまで言われるほど私には悪い人間には見えない。


「ヒヒヒヒッ。あなたは馬鹿ですかぁ?この力は定着すると完全に世界の敵になるんですよぉ。だからワタシは外に出ることを嫌いここに自ら捕まっているのですよぉ」

「…というわけなんです」

「普通にデメリットがデカすぎただけじゃないかしら?」

「気にしないでくださいねぇ。新人が増えるかもしれないわけですしねぇ」


 新人とはロキアの事を言っているのだろう。


「だから、そうはならないわ」

「ヒヒヒ、だと良いですねぇ」


 ヒヒヒという不気味な笑い声を背に私たちは収容所を出た。




 家に帰ると、家の前の広場ではまだネラが転がったままだったので回復魔法をかけてあげた。

 ほったらかしにしてごめんね?

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