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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
一章 邪神族の墓地編
7/82

死霊の大群

 墓地というものは霊的なものを引き付ける。

 墓地に幽霊や人魂、妖怪などが多くいるというのも案外嘘ではないのかもしれない。

 墓場とは生物の行き着く最終地点。

 ならば生物ならば誰しもがいつかはそこへ辿り着く。

 回避することは不可能。

 “死”というものは回避不可能な絶対不変のものなのである。

 それに逆らおうと誰しもが不老不死や延命を研究したがその全てが失敗に終わった。

 誰しもが死に逆らう事は不可能だと諦めた。


 話を戻そう。

 墓地とは生物が行き着く最終地点。

 つまりは大量に生物が死ぬような事があれば、大量に幽霊、死霊が墓地に流れ込む。


 この邪神族の墓地は他の墓地よりも多くの霊などを引き寄せる性質らしい。

 いつもはすごく静かなこの墓地は今は死霊で溢れかえっている。

 生前の種族もばらばらのようで人間のような奴もいれば亜人のようなやつもいる。

 その死霊同士が争っている。

 千は越えているだろう。



 一体何があったのだろうか?

 墓地の外で大きな災害が起こった?

 戦争が勃発している?

 なんなのだろうか、俺は外へ出られないので外の事情については疎いのだ。


 正直俺にはどうでもいいことなのだが、死霊が増えてくれるのはありがたい。

 その死霊を狩る事でまた俺は強くなる事が出来るのだ。


 死霊使いというクラスは死霊を狩るために存在していると言ってもいいほど死霊を殺した時に強い効果を見せる。

 更に、俺自身死霊相手の戦闘方法を編み出していたところだ。

 丁度実験も終わったところだ。

 実戦経験の乏しい俺の糧になれ!


 日本で戦争モノの映画などで見たことのあるような争いをしている大量の死霊達の中へと飛び込んでいく。


 自分の腕を大鎌に変え霊力を纏う。

 大鎌を最大まで大きくして、霊力をいつもより多く纏い大群へ一閃。

 大鎌の大きさは刃渡り三メートル程度で霊力を纏い切れ味とリーチを少し伸ばしていたので、数十人を一気に斬り捨てる。

 固有能力の容量も気になるので、固有能力の取得については保留にしておく。

 保留を決めると同時に少しだけだが、体が軽くなるような感覚。

 死霊使いの特殊能力の一つが発動したようである。

 感覚からして引き継いだ身体能力は五人分程度だろう。


 死霊の大群は俺にも注意を、向けたようだ。

 俺に向かってくる死霊もいれば、そのまま今まで戦っていた敵と戦い続ける死霊もいる。

 これは俺にとってとてもいい状況だ。

 数人ずつが敵に回り、他にも周りには敵のストックがまだまだ沢山いる。


 死霊と戦えるので能力も得ることができ、経験も得ることが出来る。

 まさに一石二鳥である。


 そんな事をしている間にも敵を一体ずつ斬っていく。

 一対一ではないので周りにもよく気を配らなければすぐにやられてしまうので、普通よりも厳しいがまだまだいける。

 それよりも危険なのは近接系の死霊ではなく、魔法使い系の死霊である。

 魔法は俺の体には特別な力を必要としなくダメージを与える。

 魔法と言うよりは魔力なのだが、魔力や霊力を使った攻撃は俺のすり抜ける体も関係ない。

 魔法の発動を感知などを出来ればいいのだがまだ俺の魔力や霊力ではそんな器用なことは出来ない。

 なので、常に周りに気を配りつつ、近接系の死霊を相手にしなければいけないのだ。


 斬る、薙ぎはらう、斬り上げる、鎌の柄も使って相手に攻撃をする。


 そんな事を繰り返していたら、周りでの死霊同士の争いは息を潜め、死霊達は全員で俺を取り囲むようにしていた。


 どうやら暴れすぎたらしい。

 自分達が争っているのに第三者が戦力を削ってくれては困るのだろう。

 だから、一時的に結束し、共通の敵を倒そうという魂胆なのだろう。


 ・・・・・やっべー。

 これはまずいなぁ。

 どうしよう。

 争いをしているやつの中にはかなりランクの高そうな奴が何体かいた。

 そんなのに加えて、大量の死霊も同時に相手にしないといけないとか、かなり厳しい。

 自業自得なのだが、強くなるためにしたことなので後悔はしていない。


 どこぞの主人公ではないが、俺のクラスは死霊使いなので、戦いの中で強くなるのだ。

 このようなところどけ主人公属性でもあまりいい気はしないと思いつつ構える。


 まずは雑魚から片づける。

 鎌に纏っていた霊力を少し体全体に回し、防御力の強化をする。

 流石にこの数相手では手傷を負うのは必至。

 ならば、少しでも被害を防ぎつつ相手の数を確実に減らしていく。


 向こうの残りの死霊はおよそ五百。

 死霊同士の戦いや俺の介入で、最初は千はいた死霊も少なくなってきているようだ。

 五百対一。

 正直勝てる気がしない。

 少し調子に乗りすぎてしまったようだ。

 本当なら死霊同士が争っている間に適当に狩り、頃合いを見はからって逃走するつもりだったのに。

 もはや逃げられない。


 だが、勝つ!

 みっともなくても最後まで足掻く。

 殺し合いは死ななければいいのだ。

 どんなに無様な勝ち方でもこちらが死ななければ問題はない。

 やってやる。


 限界突破リミットブレイクを使い、強そうな死霊とは反対方向へ飛び雑魚を数体斬り払う。

 そのまま遠心力を利用して一回転。

 周りの死霊約五体を真っ二つに。


 魔法が視界に入ったので全力で後ろへ飛び回避。

 着地と同時に死霊の首を斬る。


 背中に痛みが走る。

 焼けるように熱く痛い。

 火属性魔法。

 後ろからやられたらしい。

 だが、痛がっている場合ではない。

 すぐに切り替え、魔法を行使したと思われる人型の死霊に接近し斬る。


 横から獣人型の死霊が獣人特有のずば抜けた身体能力で突進してくるが紙一重で回避。

 そのまま背中を斬りつける。


 グン。


 今の獣人の身体能力を受け継いだようだ。


 これでまだまだ戦える。

 獣人の身体能力を得ることが出来たのは大きい。

 少なくとも人間の数倍の身体能力を持っている獣人。

 その身体能力を少しでも手に入れることが出来たのは大きい。


 更に軽くなった体を動かし、前傾姿勢でゴーレムのような死霊の懐に潜り込む。

 鎌を一閃。


 ガギィン!


 弾かれた。

 見た目のように硬いらしい。

 だがその分速さはない。

 後ろへ回り込み首の関節部分に鎌をあてがいそのまま引く。

 首が宙を舞う。


 次。


 ふと、高速の物体が視界の端に映る。

 とっさに身を引き、回避行動をとる。


 物体が通り過ぎると、通り道に入っていた死霊は消し飛んでいた。


 ついに大将各のお出ましだ。

 周りの雑魚の数はあと数十体。

 もう少し後に出てきて欲しかったがしょうがないだろう。

 だが、大将各はもう一体いるので、あまり傷つかずに終わらせたいところだ。


 大将各の姿は長く尖った耳。

 緑色の髪。

 ガタイの大きな男。


 ・・・・・エルフ?

 男はこんなものなのか?


 いやいやそんなことよりも集中。


 こいつは他の奴らとは別格。

 腰に剣を挿しているし、さっきの物体はおそらく魔法。

 全距離対応型オールレンジか厄介だな。


 懐に潜り込み、一閃。

 だが、剣に止められる。

 なにかブツブツ唱えている、魔法?

 ヤバい。大きくバックステップしエルフから離れる。

 すると、さっきまで俺のいた場所に上から火の柱が降ってきた。

 危ない。

 魔法の火力も高く、剣術もそれなり。

 これはかなり厳しい。


 だが、だからと言って負けるわけにはいかない。

 再び懐に潜り込み、今度は大きく飛ぶ。

 後ろに回り込む。

 ふり向こうとするエルフ。

 更にその死角に入るため低空で飛び、更に回り込む。

 そこから足をめがけて小さく鎌を振る。


「ガッ!」


 エルフから聞こえる悲鳴。

 効いている。

 足を斬ったおかげで動きも鈍くなってきた。

 これならーーー


 ボウッ!ズガァン!


 エルフの周りが炎で弾け飛んだ。

 ついでに周りの死霊も消し飛ぶ。


 俺も背後から近づいてくる死霊を軽くあしらいつつ、エルフからは目を離さない。


 見るとエルフは体に火を纏っている。

 そこは風だろ!とか思わないでもないが今はどうでもいいだろう。


 本領発揮というわけだ。


 もう一度俺はエルフに接近、鎌を振るが剣に止められ、逆に剣を振るわれる。

 鋭く無駄のない剣筋。

 素人目にでも分かる実力。


 一合二合と剣と鎌をぶつけ合っていく。

 まずいこのままでは俺の霊力が切れてしまう。

 俺の武器は自分の体なので豪剣のように荒くは扱えない。

 対して向こうは普通の剣。

 かなり丈夫そうである。


 まずいな。

 どうにかしなければ。


 今の持ち札でなんとかーーー




 出来る!・・・かもしれない。





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