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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
六章 異変編
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おかえり

すいません!また遅れました。

それと、次回投稿は定期テスト期間に入るため遅くなります。

『「疲れた」』


 リオの精神から抜け出し、ドサッと二人同時に倒れる。

 その視界の先には心配そうに俺たち二人を覗き込むルシアとエルの姿があった。

 シュウは少し離れたところでこちらを見ている。


「終わりましたね」

「ロキア、中々やるじゃないか。見直したぞ」


 見直したっていうことはそれまではどうとも思っていなかったかそれ以下ってことになるんですが…。

 エルの事だから実力的にって意味だとは思うのだが、傷つく人は傷つくので気をつけた方が良いと思う。

 お、俺は傷つかないけどね!


「ルシアお姉ちゃん、エルお姉ちゃんも、ごめんなさい。たくさん迷惑かけちゃって」


 地面に倒れていたリオだが、きちんと正座をしてから頭をさげる。

 なんて、礼儀正しい良い子なんでしょう!

 それを見てフフフと笑う二人。


 さりげなくシュウの事を忘れているリオだが、シュウは気にしていないようだ。


「いいですよ。リオちゃんだってまだ子供なんですから間違う時もあります」

「そうだな。実際カナも生きてるし、私たちも傷一つない」


 ルシア、エルも俺と同意見のようでホッとした。

 これで二人が子供に厳しくて許さん!とか言ったらまたリオが暴走するかもしれない。

 それは困る。

 二人はそんなことしないとと思うが、シュウはやりそうだ。

 意外に子供に甘かったりするのか?


 そういえばと、俺がリオに憑依した場所辺りに目をやると血だまりに倒れているクレストの体があった。

 その体は少しずつ灰になっている。


 俺の視線に気がついたのか、リオは申し訳なさそうな顔をしながら謝ってきた。


「ごめんなさい。お兄ちゃん」

『気にするなよ。俺は生きてる。それで良いさ』


 クレストの体が、少しずつ消えていく。

 リオの話によればもう止めることはできないのだろう。

 クレストの体には、長いこと世話になった。


 リオはすごい気にしているようだが、俺はあまり気にしていない。

 ちょうど良い機会だと思った。

 クレストは生前も波乱万丈の人生を送っていた。

 そろそろ身も心も休ませてやる時だろう。


『……ありがとう。クレスト』


 この灰は後で邪神族の墓地へ行って埋めてくることにしよう。


 邪神族の墓地て出会い、体をもらい、能力に世話になった。

 俺自身の能力では何もできないので、クレストの能力に世話になった。

 考えてみれば、おんぶにだっこだったと思う。

 実際、これまで俺たちの関係した事件等でクレストの能力無しではここまで来るどころか、死んでいたと思う。


 憑依しなければ霊力で武器を作り出すことはできないし、驚異的な身体能力もない。

 俺が出来る魔法は付与エンチャントくらいなのだから。


 これからは百パーセント自分の力で強くならなければいけない。

 他の体を探すのも良いが、個人的にはあまり使いたくない。


 カナに頼んでもっと強くしてもらおう。

 邪神、クレストは元々は魔王だった。そこから邪神へ進化したのだから、幽霊の俺でも近くまで行けるのではないだろうか?


 帰って、一段落したらカナに聞いてみるとしよう。

 クレストの灰もしっかり墓地に埋めてこなければいけないし、死霊狩りにはちょうど良いだろう。


『リオ、ちょっと良いか?』

「うん?どうしたの?」

『この灰を集めてもらって良いか?この体じゃできなくてな』


 正確にはできないことはないが、非常に疲れるのだ。


「うん!いいよ」


 リオも疲れているはずなのに、自分がやったことだからと、笑顔で引き受けてくれた。

 マジ健気。


 とにかく、ようやく終わった。

 リオを取り巻くいろいろな事情は解消しただろう。


「集めてきたよ!」

『ありがとう。じゃあ、帰るか』

「うん!」

「今日はもう疲れました」

「そろそろ帰らないと護衛に怒られるしな」


 エルは結局無断でここに来ているのでそろそろ帰らなければまずい。


『俺らに責任とか、こないよな?』


 まずは保身が第一だよね!

 俺のクズなところはカナに出会ってからも変わっていない。


「問題ないさ。わたしがお転婆だなんだって小言を言われるだけだから」

「皇帝にもなってそれはダメじゃないですか?」

「いいんだよ」


 エルの護衛や、侍女も大変だなと思う。

 いつも振り回されているのが目に浮かぶので、心の中で応援しておくとする。


「あー、オレは結局ほとんど何もしてねぇから不完全燃焼だぜ。ロキア、今から一戦やろうぜ!」

「疲れたから嫌だよ」

「チッ、つれねぇな」


 シュウの戦闘狂も大概にして欲しい。

 今回は助かったが、こんな場面でもなければ傍迷惑なのには変わりはない。

 だが、俺はそれでも、シュウの事をあまり嫌いにはなれない。

 数少ない俺の男友達だからかもしれない。

 拒否されて、ふてくされるものの、潔く引き退るところには好感を持てる。


「まあ、今日は遅いですし、何かあれば後日話し合うことにしましょう。私もカナさんの容体を診て、悪そうだったら騎士団内で治す方法を調べます」

『ありがとう。じゃあ、ここで解散だな』

「ばいばーい」

「またな」

「今度こそ勝負してもらうぞ!」


 それぞれが自分の帰る場所へと向かって足を進める。

 先程まで一丸となってリオを元に戻すために奮闘していたというのに解散するのはこんなにも容易い。


 リオはふよふよと浮いている俺にべったりくっついて離れない。

 俺は、霊体なのでリオがすり抜けないように気を使うのに一苦労だが、こんなのも悪くない。


 帰る場所があって、気の知れた仲の人達がいて、俺を慕ってくれる人がいる。


『こんな異世界も悪くない…な』

「ん?どうしたのお兄ちゃん」

『なんでもないよ』


 俺とリオは月明かりに照らされながら帰路につく。


「ふー、今日は疲れたな〜」

『そうだな。帰ったらすぐに寝るか!』

「一緒に寝よう?」

『……わかった』


 霊体の状態だと睡眠が不必要なことを思い出したが、リオのそばにいてやりたいので、承諾した。

 リオのお願いは断れないんだよなぁ。

 この小悪魔め!


 えへへ、とリオが機嫌よく俺から離れずんずん進んでいく。

 俺はそれについていく形で進む。




『ようやく、帰ってきたな』

「カナお姉ちゃん、起きてるかな?」

『寝てるかもしれないから静かにな』

「はーい」


 リオが歩くペースを上げたことで案外早く家に辿り着いた。

 ガチャリとドアを開け、家に入る。


「おかえりなさい」


 まず目に入ったのは、寝起きなのか、まだ少し眠そうな目を携えながらも俺たちを迎えてくれるカナの姿だった。


『「ただいま」』


 カナの体は大丈夫なのか、もっと寝てなくちゃダメだろ。

 色んな言葉が頭の中に浮かんだが、「おかえり」と言われたら「ただいま」と答えるしかないじゃないか。


 そんな心配も、カナの笑顔を見ると吹き飛んでしまった。

 取り繕ったような笑顔ではなく、心からの笑顔なのが見てわかった。


『はあ、気が抜けて、どっと疲れが出た〜』


 疲れが出たような気がするが、正しいのだが、気にしない。


「ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?」

『どこでそんなの覚えてきたんだ!?』

「リオが教えてくれたのよ」

『なんでリオがそんなの知ってるんだ!』

「お母さんが、よくお父さんにやってて…」

『神話級の魔物何やってんだ!』


 夜だというのに、騒がしい日常が戻ってきた。


 願わくば、この幸せがいつまでもーーー。



なぜ、こんな最終回みたいになってしまったんだー!

最終回ではありません。


テストのため次回投稿まで時間が開きます。申し訳ありません。


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