目覚め
風邪治んないよお。
熱は下がったが頭痛が治らない次第でございます。
だが、こんなマイナーな作品。
投稿しなければ忘れられてしまうので頑張って投稿。
「で、四回戦はどうするんだ?」
エルはすぐに目を覚ましたので回復魔法をかけ観戦側に回っている。
リオはまだ目を覚まさない。
「「私VSロキア(ロキアさん)!!」」
「えー、なに、二対一?俺死ぬよ?瞬殺だよ?」
「カナVSルシアじゃダメなのか?私的にはそっちも中々面白そうなんだが…」
この二人が全力で戦ったらこの辺一帯が焦土と化す。
ルシアもかなりのチートだということが先ほどのエルとの戦いで分かったので、この二人が戦うのはもっとしっかりとした場所でやるか、それなりの制限をかけてもらわないと観客側が危ない。
なので、必然的に俺が戦うことになるのだが、どちらも戦いたいと言って一歩も譲らない。
「祭り時の勝負の決着をつけるときが来たようね」
「ふふふ、いいですよ?私は負けませんから」
ゴゴゴゴゴ、というような効果音が流れ出すような状態になってしまった。
この二人が戦うのを避けるために俺が戦うのにこれじゃあ意味ないじゃん。
「「ジャンケンポン!」」
激しい激闘を制したのはカナだった。
「ふふふ、ロキア。あなたがどれだけ強くなったか、楽しみだわ」
「…うん、そうだね」
もう諦めたよ。
大魔王からは逃げられない。
先ほど見たリオとの戦い。
確かに凄まじい戦いだったがカナにしては圧倒的という感じがしなかった。
確かにカナの能力はチート。
だが、対策出来ないわけじゃない。
カナの能力、禁忌の楽園。
これは領域系能力。
自分の魔力が及ぶ範囲内でその能力に応じた事を可能とする。
カナはその領域系能力でもおそらく最強クラスと呼べる能力。範囲内において全てはカナの支配下となる。
だが、それを使ってはフェアではないとカナはわかっているのだろう。
先ほどもリオの雪を消し飛ばす際にしか使用しなかった。
次に注意すべきは失われた楽園と呼ばれた黒刀。
禍々しさのある刀。
俺の鎌で受けられるだろうか?
なるべく回避することにする。
あとはカナの圧倒的身体能力に俺が反応できるかどうか。
それはクレストの体ならばなんとか反応できるだろう。
「じゃあ、始めましょうか」
「ああ」
思えばかなりの時間が過ぎたと思う。
カナと出会って俺の人生が一気に変わったと思う。
異世界に来てただ絶望するしかなかった俺に優しくしてくれた。
それで、俺がどれだけ救われただろうか。
カナをがっかりさせるような戦いだけはしてはいけな
い。
男の意地をかけて全身全霊の戦いを。
カナと俺は戦闘の所定の位置まで離れる。
そして、対峙。
対峙しただけでわかるこの重圧、殺気、緊張感。
シュウとの戦闘とは比べ物にならない圧迫感。
「胸をお借りします、師匠」
「どうしたの?急に」
「こういう時は雰囲気とか大事だろ?」
「まあ、そうね。師匠として何もできていない私だけどね」
「そんな事ないさ。師匠の背中を見て弟子は強くなるからな」
「じゃあ、ここからは言葉はいらないわね」
口を閉ざし最初からロスト・エデンを構えるカナ。
俺も霊力で鎌を作る。
初っ端から最大まで強化を俺の体にかける。
するとその瞬間にカナの姿が消える。
「うおっ」
咄嗟に前方に跳ぶ。
すると、俺が先ほどまでいた場所で足を振り下ろすカナの姿が。
いきなり俺の認識できる範囲を越えてきた。
これはいけない。
なんとかこの速さに対応できなければ即終了。
カナにとっては小手調べのようなものなのだ。
この速度に浮いてくることができないのならばまだカナと戦う資格はないと、そう遠回しに言っているのだ。
考えろ、あの速度に反応できる方法を。
動きの初動を読む?五感強化でどうにか目で追い切れるようにする?
それとも、カナの魔力を感知する?
「あ、これだ」
俺が墓地にいた時に使っていた索敵。
もう使うことはあまりないと思っていたが、これは使えるだろう。
少なくともどの方向からカナが接近していることくらいは分かる。
あとは体を動かすだけだ。
霊力で俺の周り半径十メートルに円を作る。
この円の中にカナが入ればどの方向からカナが接近しているか分かる。
「これでスタートラインか?」
「そうでもないわよっと!」
再びカナの姿がかき消える。
今度は、左!
すぐに反応し左から迫る蹴りを屈んで回避。
そのままカナの脛に蹴りを放つ。
カナは上に跳び、上から雨のように魔力弾を打ち出してくる。
いつか見たような物とは魔力の密度が違った。
「くっ!」
霊力で槍を作り投擲。
爆発などさせている余裕もなく、撃ち漏らしが出てくる。
それの直撃をどうにか避け、落ちてくるカナを狙い撃つ態勢へ。
俺の一度に作れる限界まで槍を作り、落下してくるカナを撃つ。
ロストエデンでなぎ払おうとしているのが視界に入る。
「《闇爆発》」
無詠唱闇属性魔法、少しでもダメージを残すためにより確実に攻撃をする。
これなら少なくとも爆風なら通るだろう。
ブワァッ!
黒い爆発は一気に切り裂かれる。
ていうか、魔法って斬れるんだな…。
「くっそ、魔法は効かないかっ」
鎌を持ってカナに接近。
魔法を斬った直後で動きの初動が遅くなるタイミングで鎌を振り下ろす。
カナはロストエデンを構え直す事をせずに、バックステップでそれを回避。
後ろに跳んでいるカナに槍を投擲。
投擲とほぼ同時に俺も更に追撃のため接近。
カナは空中で体を捻り槍を回避。
そして、振り下ろされる鎌をロストエデンで斬る。
俺は鎌が斬られた事を認識すると同時に鎌を捨て、掌底をカナに放つ。
空中で体を捻り、刀を振るった後の態勢。
そして未だに空中にいるカナ。
「もらった!」
カナの鳩尾に容赦なく撃ち込もうとした瞬間、カナの頰が緩んだのが見えた。
それと同時にカナの姿が消える。
索敵ではカナの反応は俺の後ろ。
だが、既に掌底を放っている状態で回避することは不可能。
瞬時に今の状況を認識し、今取れる行動の内最善の行動をピックアップ。
俺の背中部分に霊力の壁を即席で作り上げる。
ドガッ!
「ぐうっ」
壁を作り威力をなるべく弱めたとはいえ、決して弱くはない衝撃が俺の背中に。
体が宙に浮く。
カナの姿が見えないまま、体が前へ吹っ飛んでいく。
受け身の態勢を取ろうとすると、カナの姿がいきなり前に現れる。
「はっ?」
そのカナの姿は何時ものカナとは少し違っていた。
カナの背中には黒い霊力で編まれた漆黒の翼が生えていた。
空中で消えたのはコレかっ。
ドガッ。
踵で鳩尾に一撃を入れられる。
今度は身体が後ろに飛ぶ。
スザァァ。
手を無理やり地面につけることで勢いを止める。
「痛たた。翼とかカッコいいけど反則だろ」
「ロキアの戦い方が上手いからつい使っちゃったわ」
くそ、今の蹴りで体の動きが大分鈍くなってしまった。
これではカナの速度に対応することができない。
だったらっ!
「これで終わりにしよう。もうカナの速度についていける気がしないから」
「最大の力で撃ち合うの?そういう宿敵同士がやるような事、私好きだわ」
よかった。
これならまだ勝機があるかもしれない。
カナはその圧倒的な力を持っているが故に周りに出す被害を抑えるために手加減をせざるをえない。
ならば俺の最大火力で瞬間的にならば押し切ることが可能なのではないか?
「"闇よ、光を残酷にも塗り潰し希望を奪う闇よ、我は力を求める。聖なる者を退け世界を闇に包まん"《闇魔砲》」
先程リオが使っていた魔法の闇属性バージョン。
リオとは違って長い詠唱が必要なのが難点。
だが、威力はかなり強い。
カナは片手を前に突き出し、障壁を作る。
「あっ、負けた」
そうだった。
別にカナは攻撃魔法で受けるなんて一言も言っていない。
防御魔法ならば全力で使っても何の問題もないのだから。
何重にも展開された障壁に闇のレーザーが衝突。
その瞬間、障壁が歪む。
「あれ?なんで、この程度の魔法で…」
不審に思ったので魔法を中断。
魔法と障壁で見えなかった視界の先には、血だまりの中に倒れるカナの姿と、禍々しい雰囲気を放つ腕に血を滴らせるリオの姿があった。
サブタイトルでロキア覚醒だと思った?
残念、目覚めたのはリオでした!
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