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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
六章 異変編
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覚醒【カナ・アークノート】

また更新遅れました。

すいません。

更新速度を上げなければ!

 リオ。

 リオは、ロキアが連れてきた氷神滅狼アイスフェンリルの子供。

 氷神滅狼は邪神戦争時代に有名になった種族。


 その牙は神をも殺し、凍りつかせる。

 神滅狼とは違い、雪山の奥深くに生息すると言われ、氷を操る。


 そんな種族の子供をロキアが連れて来た時にはとても驚いた。

 騙されたのかとも思ったけど、リオ純粋なのはすぐに分かった。

 私やロキアを姉、兄と慕い、ロキアと同じく私の隣に立とうとしている。


 ロキアはそれをあまりよくは思ってはいないようだ。

 まだ子供だから。

 確かにそうかもしれない。

 でも、ロキアは氷神滅狼という種族がどんなものか知らない。


「戦いに飢え、血に飢え種属。戦争時にはそう言われていたわね」


 氷神滅狼の体温は冷たい。

 しかし、そのような親族なのだからそれは問題ではないのだが、血を浴びるとまた変わる。


 血を浴びることで自分の体温を温める。

 体が温まると理性も薄れていく。

 そして本能のままに生き物を殺す。

 そんな種族だった覚えがある。


 リオはまだ子供だ。

 リオに、そんな本能などあるのかは分からないしあっても私が止める。


 でも、その力を私やロキアの隣に立つために使いたいと言うのなら。


「私がその力目覚めさせてあげるわ」


 リオと対峙する。

 リオは現在半獣人モード、耳と尻尾を出している状態である。


「カナお姉ちゃん、手加減しないでね」

「もちろん」

「…じゃあ、いくよっ!」


 リオは地面を蹴り接近してくる。

 リオは魔法で攻めてくると思っていたので意外だ。


「《氷爪アイスクロー》」


 リオの爪が氷の刃となり私を襲う。

 これは当たれば私でも傷が付くほどの斬れ味を持っている。


失われた楽園ロストエデン


 すぐさまロストエデンを取り出し爪を受ける。

 普通ならばリオの爪が壊れてもおかしくないのだが、相当の魔力を練っているのだろう。リオの爪には傷すらつかない。


 爪を受けられたと見るや回し蹴りを私の腹に打ち込もうとする。

 私はそれをバックステップで回避。


 だがリオの追撃は途絶えない。


「《氷魔砲アイスレーザー》」


 私に向かって太い氷属性のレーザーが飛んでくる。

 この魔法は上級魔法かそれ以上の威力を持っている。


「《多重反射リフレクション》」


 私の目の前とリオを取り囲むように鏡のような物が現れる。

 レーザーはそれに当たると反射、リオを取り囲むようにしている鏡にもあたり、反射。

 それをひたすらに行い、スピードをどんどん上げていく。


 リオはそれを目で追うが、これは光の反射と同じような現象。

 そのスピードは例え氷神滅狼でも追い切れる物ではない。

 それに加えロストエデンを振り下ろし漆黒の斬撃を飛ばす。

 レーザーの反射攻撃と飛ぶ斬撃。

 どちらに対処する?


「《氷城アイスキャッスル》」


 リオは自分の周囲を氷の城で囲み攻撃を防いだ。

 氷の城は攻撃を受けて崩れ去るがリオは無傷。


「やるじゃない」

「危なかった〜」


 正直今のを防ぐなんて思ってもいなかった。

 リオも相当な強さを誇るのだろう。

 この強さなら私はともかくロキアとは並べると思う。


 でも、リオは満足していない。

 隣に立てるとは自分で思っていないのだ。

 だったら私が背中を押してやるべきだと思う。


「今度はこっちから行くわ」

「こいっ!」


 縮地と呼ばれる高速移動でリオに急接近。

 動揺しつつも反応し即座にその場から離れようとするリオ。

 動きは悪くない。でも、遅い。


 ロストエデンでの突き。

 殺してはいけないので、胴の急所ではないところを狙い、技術もへったくれもないただ剣を前に出しただけの突き。


 完全に避けられない。私はそう思った。

 しかし、リオは強引に体を後ろに逸らし、軽く服が切れる程度に抑えた。


 野生の勘というやつなのだろうか。

 本能的に動いた、そんな気がした。


「くっそー、やっぱり強いな〜」


 どうしよう、魔法?いやダメだ。お姉ちゃんに普通の魔法が効くわけがない。

 獣化?それでも勝てる気がしない。


 ブツブツとリオは私に勝つ方法を考えているようだ。


「戦闘中に考え事はしない方がいいわよ」


 ロストエデンを縦横無尽に振るうと、リオの周りに漆黒の斬撃が出現する。

 その斬撃はリオに向かって突き進む。


 ハッとするリオだが間に合わないと見るや即座に一番斬撃の威力の高いものだけを選び抜く。

 そしてその斬撃を氷壁アイスウォールで氷の壁を作り出し防ぎ、残りは体を縮めて被害を最小限に抑える。


 本当にすごい。

 これでまだ子供だというのだから本当にすごい。

 対応力、判断力、勘。

 全てがずば抜けている。


「痛たた、油断してたよ。それにしても、久々に血がーー」

「どうしたの?」


 急にリオの雰囲気が変化した。

 いつもの明るい感じから少し冷たい雰囲気に。


 すると突然リオの体がぶれ、消える。

 すると後ろに気配。

 振り向くと既に私の少し上まで跳び、爪を振り下ろそうとしているリオの姿。

 確実に私の命を狙う気でいる。


 これが、氷神滅狼の戦闘勘?

 まさに戦闘種族と言える。

 自らの血に反応し、自分の体に降りかかる危機を退けるため本能が顔を出す。


 私はロストエデンを持った腕を後ろに回し、爪を受ける。

 だが、その所為で態勢が崩れる。


 そこを見逃す今のリオではない。

 未だに宙にある体を回転させかかと落とし。

 それを私は前に跳び回避。

 振り向きざまに斬撃を飛ばす。


 それをリオは頰に掠らせながらも躱す。

 頰から流れる血をペロリと舐めるリオ。


「…まだ、まだ、まだいける。《氷の姫君アイスプリンセス》」


 リオがそう唱えると、リオの周りが冷気に包まれる。

 リオの足元は凍り付きこの一帯の気温もいくばくか下がる。


「《氷神乱舞》」


 リオの声が聞こえた途端に私の周囲に吹雪が吹き荒れる。

 視界は真っ白でなにも見えない。

 音すらも風の音で聞こえない。


 後ろから殺気!?


 私は私の勘を信じて回避行動をとる。

 すると、今まで私がいた場所にリオの氷爪が振り下ろされていた。

 私が攻撃しようとすると、再び吹雪で身を隠す。


「なるほど、そういう事ね」


 この吹雪を吹き飛ばしたらどうかしら?

 魔力を放出し、吹雪を吹き飛ばす。

 すると、風は止む。

 しかし、周りは吹雪の所為で一面銀世界。

 太陽の光が反射して眩しい。


 リオは私の正面から歩いてくる。


「《氷魔砲》」


 氷のレーザーが私に飛来する。

 これなら避けられる。


「え!?」


 回避のタイミングを失敗した?

 私はレーザーを回避ではなく、刀で受けてしまった。

 ロストエデンは凍りつきしばらくは使い物にならないだろう。


 しかし、どうしてだろうか。

 私が距離を取り間違えた?


「寒っ、リオのやつ、やりすぎだ!」

「本当ですよ、あたり一面真っ白じゃないですか!」

「しかし、刀とは言えあのカナにリオが一撃を入れたぞ。ほらロキア褒めてやれ」

「確かに驚いた。ホワイトアウトだろ?今の」

「なんだそれ?」

「一面が雪になることで乱反射が発生して距離感とかがわからなくなるんだよ」


 ふむ、そういう仕組みか。

 ロキアは博識だなと思う。


 雪があるからいけないのね。

 ならっ。


「《禁忌の楽園》」


 辺りの雪を消し飛ばす。

 これで、小細工は無しね。

 それにしてもすごい技だったわね。

 吹雪では姿が見えず、晴れても距離感は掴めない。

 初見じゃ対処できないわね。


「でも、そろそろ終わらせましょうか」

「…《氷花》」


 私を中心に氷の花が咲く。

 回避するが、回避したその先にも花が。

 花は私を中心に押し留め、凍り付く。

 花にヒビが入る。

 このままでは花と一緒に私の体も砕ける。


「《影渡り》」


 影を渡る転移魔法の一種。

 私の影に入り、リオの影に逃げる。

 危機一髪。


「危なかったわね」


 トン、とリオの首筋を手刀で叩く。

 するとリオは人形のように崩れ落ちる。


「リオ、強いじゃない。その力を本能だけじゃなく、普段の状態で使えるようになれば怖いもの無しね」


 リオの潜在能力に戦慄する。


「しょ、勝者、カナ!」


 私もうかうかしてたら追い抜かれてしまうかもしれないわね。

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