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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
五章 帝国編
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本能【リオ】

最近は涼しくなってきましたね。

体調不良を起こしかけたうさぎです。

皆様もお気をつけ下さい。


皆様のおかげで30000pv突破です。

これからも『転生したら幽霊だったのだが』をよろしくお願いいたします。

 ルシアお姉ちゃんと一緒にお城の門から少し離れたところにいる。

 二手に分かれてお城を落とすってみんなが説明してくれた。

 リオは三人の強い人を倒せって言われた。

 今は約束の時間まで待っているところ。


 カナお姉ちゃんにも会えたし、リオは元気いっぱい!

 ただの人間には負けない!

 カナお姉ちゃんがいない時も元気はなかったけど少しロキアお兄ちゃんと魔法の練習もしたし、ちょっとは強くなれたと思う。

 リオの修行の成果を見せてやる!


「リオちゃんはこんな時なのによく笑えますね。子供ならこんな危ないことは嫌なんじゃないですか?」


 最近はルシアお姉ちゃんと一緒にいることが多いと思う。

 そのルシアお姉ちゃんが変な質問をしてきた。


「嫌じゃないよ。お兄ちゃんたちはリオを助けてくれたの。だから今度はリオが助けたいの。…でも、リオは子供で弱いから二人とも心配して戦いとかやらせてくれない。でも、リオは二人の背中を見てるのはもう嫌。手を繋いでてもいから、一緒に歩きたい」


 リオにとっては当然のことだよ?

 リオはまだ子供だから、危ないから、戦っちゃダメ?

 そんなことは分かってる。

 リオは頭はよくないけど、それくらいのことは理解してるよ?

 リオがまだ子供なのは仕方がないけど、リオだって少しは強いつもりなんだよ?

 それなのにリオだけ仲間はずれは寂しいよ。


「…リオちゃんなら、すぐに二人と一緒に歩けるようになりますよ」

「だといいなぁ」


 カナお姉ちゃんは背中も見えないくらい遠いところにいて、お兄ちゃんは強さはリオと同じくらいだけどカナお姉ちゃんに追いつこうと走ってる。

 リオも、立ち止まってはいられない。


「リオだってしっかりやれるんだよってところを見せてやる!」

「頑張りましょうね、リオちゃん」

「うんっ!」


 まずはこの国の悪者をやっつける。

 それがリオたちのお仕事!

 この国の王様?はバトルの大会の邪魔をしたから。

 せっかくロキアお兄ちゃんと戦えるチャンスだったのに。

 そうすればこんなことしなくても、リオの強さを分かってくれると思った。


 しかも、カナお姉ちゃんもすごい怒っていた。

 昨日の夜、お姉ちゃんがロキアお兄ちゃんとリオの成長した姿をーーーとかって言っていたけどよく聞こえなかった。


 お姉ちゃんが何を言っているかは、よくわからなかったけどその時にリオに教えてくれたんだ。

 このお城にいる人は全員敵だから全員やっつけちゃっていいって。


「リオちゃん、時間です」

「待ってたよっ!まずはあの門の前にいる人だね。《氷棺アイスコフィン》」


 リオが魔法を使うと、魔法の名前の通り門の前にいる人が氷像になった。

 氷属性魔法の中級の魔法だったと思う。

 リオは魔力は多いってカナお姉ちゃんは言っていたし使ってもいいだろう。


 相手は何が起こったかも分かっていないから、仲間を呼ぶ暇すらなかった。


「うわぁ、可愛い顔してえげつないですね」

「ん、なにが?ルシアお姉ちゃん、早く先行こう!」


 お兄ちゃん達の匂いはもうお城の中に入っている。

 リオも負けてられない!


「ルシアお姉ちゃん置いてくよ〜!」

「もっと静かにしないと見つかっちゃいますよってうわぁ!」


 リオが魔法で凍らせた人の近くの地面も凍ってるのでルシアお姉ちゃんが足を滑らせて尻餅をついた。

 全くドジなんだから。


「侵入者だー!」「たかだか女二人だ!」「皇族への忠誠を示せ!」「休憩中の兵を叩き起こしてこい!」


 あれ、見つかっちゃったみたい。

 でも、全員凍らせちゃえばいいよね。

 エルお姉ちゃんはなるべく殺さないようにって言ってたから後から解凍出来るように凍らせてあげよう。


「《氷拘束アイスバインド》」


 リオたちに向かってくる兵士たちは氷の枷に捕まって動けない状態になる。


「うっひゃー、無詠唱でこの人数を一気に無力化ですか。リオちゃんの年齢でこれとは末恐ろしいですね」

「氷属性は大得意なんだ!」


 えっへん!氷属性魔法はロキアお兄ちゃんにも、カナお姉ちゃんにも褒められてるんだ!

 でも、ここで自惚れずに頑張れってお兄ちゃんは言ってた。頑張るよっ!


「では、行きましょう」

「おー!」


 お城の中に入ると、すごく広かった。

 お姫様とかに憧れるなー。

 これが終わったらエルお姉ちゃんからドレスとか貸してもらえないかな?


「リオちゃん、ここを右です」

「うん、分かってるよ」


 朝にエルお姉ちゃんが説明してくれた道を通って、一番上の階まで行くらしい。


「ここは通さないっす。ここを通りたくば俺を倒してから行くっす」


 なんかククリ?とかいう武器を二本持っている髪がもじゃもじゃしている男の人が現れた。


「……侵入者、排除」


 今度は真っ黒な服で顔も見えないひとが出てきた。

 このお城には変な人が多いのかな?


「エルさんの言っていた直属の騎士の二人ですね」

「じゃあ、一対一だね」


 ちょうどリオが今どれくらい戦えるか知りたかったんだ。


「エルさん?あっ、エル様のことっすか?まだ生きてたんすか。しぶといお人っす」

「……エル様といえど皇帝陛下の障害となるのなら排除するのみ」


 うーん、この人たちエルお姉ちゃんの事が嫌いってわけでもなさそうだけど。

 本当に敵なのかな?


「リオちゃん油断は禁物ですよ」

「大丈夫だよ、これくらいならリオ一人でも倒せるよ。リオは、もじゃもじゃの方ね」

「なめられたもんっすね。子供だからって容赦はしないっすよ」


 もじゃさんはやる気満々みたい。

 本気で戦ってくれなきゃリオが困っちゃう。


「じゃあ、私がこちらの方ですね。リオちゃん、くれぐれも気をつけて」

「ルシアもね!」


 そう言うとルシアは黒い人に剣撃を放ち、リオから遠ざけるように離れていった。

 リオも頑張るぞー!


「お嬢ちゃん、俺に子供を殺す趣味なんか無いっす。おとなしく捕まってくれれば殺しはしないっすよ」

「べーだ。降参なんかしないよ、リオは強いんだもん」

「そうっすか、将来有望そうな子供っすのに残念っす」


 もじゃさんは二本のククリ刀を構える。

 リオは魔法使い、近接特化型とは相性が悪いってカナお姉ちゃんが言っていた。

 でも、リオは魔法しか使えないわけじゃない。


「えいっ!」

「は?」


 えいっ、と力を込めるとリオに狼のような耳と尻尾が生えた。

 爪も普段は人型に合わせて綺麗に切りそろえてあるけど、今は鋭く長い。


「リオは人間じゃないからね。本気でやらないと死んじゃうよ?」

「ひえー、冗談じゃないっす。死ぬのは嫌っすから本気でやることにするっす」


 もじゃさんの雰囲気が明るくお調子者な感じから一気に冷たく張り詰めた風に変わった。

 肌が少しピリピリする。

 これが殺気?


「あは、あははは」

「げっ、お嬢ちゃんって、結構クレイジーだったりするっすか?」


 くれいじー?よく分からない。

 でも、この緊張感、殺気がしっくりくる。

 気分がいいとかそんなのじゃない。

 自分の居場所がこの戦闘の場だと、本能が教えてくるそんな感じ。


「残念だったね、もじゃさん。今のリオはなんかとても調子がいいから、死にたくないって願いは叶いそうにないよ」

「ははは、子供にそんな事を言われる日が来るなんて思いもしてなかったっす。…確かにそうかもしれないっすけどーー俺の陛下への忠誠は本物っすから、逃げるなんてありえないっす」


 大人も大変だね。

 忠誠、そんなに大事なものなのかな?

 リオがロキアお兄ちゃんとカナお姉ちゃんが好きなのと同じ様な気持ちなのかな?


「でも、手加減はしてあげない」

「これが才能の差って奴っすかね。凡人の俺には届くわけもないっすねっ!」


 もじゃさんがククリで斬りかかってくる。

 でも、リオには当たらない。

 氷神滅狼アイスフェンリルの危険察知は他の生物とは比べ物にならないくらいに高い。

 わざとすれすれで躱す事だってできる。


「このっ!小さい体ってのは便利っすね。でもこれならっ!」


 リオがククリを回避し体のバランスが崩れた瞬間に蹴りをリオ目掛けて放ってくる。

 かなりの力を込められた蹴りだってことは見てすぐにわかった。


「んなっ!」

「遅いよ」


 体を強引に捻ることで危なげなく蹴りを回避、爪で右腕に一撃を入れる。


 浅くはなかったけど深い一撃とも言えない。

 だが、右腕でククリを自在に扱うことは現時点ではできないはず。


「あんな回避の仕方したら身体が壊れるっすよ?」

「リオは人間じゃないから丈夫なんだー」

「くっ、これは死ねるっす」

「だから最初から言ってたじゃん」

「聞いてなかったっすよ!」


 右腕が自由に使えないはずなのに、また両手で斬りかかってくる。

 二刀同時の横薙ぎ。

 今度はしゃがんで躱す。

 しかし、剣筋が途中で変わり、横薙ぎから、振り下ろしに。

 剣筋が直角に曲がるなんて普通はありえない。

 ちょっとびっくりしちゃった。


 びっくりはしたけど、回避できないわけじゃない。

 しゃがんだまま、両手両足を地面につき後ろへ跳ぶ。

 神滅狼のリオには獣のようなこの動きは得意なのだ。


「これも躱されたとなるといよいよ負け確定っすね」


 もじゃさんは両手に持っていたククリを手放し手を挙げた。


「降参っす。命だけは見逃してくれないっすかね」

「うんいいよ」

「そうっすよね、ダメっすよね。っていいすっか!?」

「うん、じゃあねー」


 リオはもじゃさんに背中を向け階段へと足をかけーー


「若さ故の甘さって奴っすか?反吐が出るっす」


 背後から殺気の篭った一撃が来ているのは見なくてもわかった。

 多分、リオを一撃で殺すために急所を確実に狙いに来ているだろう。


 やばい、避けられない。これじゃあ死ーー


「なーんてね」

「はっ?」


 ガキン。


 もじゃさんの両足が突然凍りついた。

 もじゃさんの一撃は当たることはなかった。


「《氷罠アイストラップ》簡単には抜け出せないよ。それに、言ったでしょ?死にたくないって願いは叶わないって。《氷爪アイスクロー》」


 リオの爪が氷を纏いもじゃさんを切り裂いた。


「ゴフッ、小さいのに容赦もないっすね。流石、陛下が利用しようとしただけはあるっす」

「リオは利用なんてされないよ。王都を潰したりなんてしないからね」


 ドシャリと、もじゃさんが倒れると階段を今度こそ登っていく。

 すると後ろから声をかけられた。

 この匂いはルシアお姉ちゃんだ!


「お疲れ様です」

「ルシアお姉ちゃんもねっ!」


 振り返ると血で染まった服装のルシアお姉ちゃん。

 ルシアお姉ちゃんの血の匂いはしないから、黒い人の返り血なのだろう。

 そういうリオも、もじゃさんの血が手にべったり付いている。

 終わったら洗おうっと。


 よし、いっぱいロキアお兄ちゃんとカナお姉ちゃんに褒めてもらうんだー!


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