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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
五章 帝国編
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道中にて

暑い、暑い、暑いいいい!

でも小説は書く!

 コンコン…コンコンコン………コンコンコンコン。


 あれ?いないんですか?

 え、でも、いないはずが…


 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!


 ドンドンドン!


「ふあ…ん?」


 何か聞こえてくる。

 こんな朝っぱらからなんだと言うのだ。

 朝日の差し具合からしてまだ朝六時と言ったところだろう。


 ロキアさーん、リオちゃーん。


 なぜか俺とリオを呼ぶ声。

 知り合い?


 まだ寝てるんですか?起きてください!


 俺は起きている。

 まだ眠いなんてことはない。ないったらない。

 まぶたが重いけど気のせいだ。


 あの、私一人で行っちゃいますよ?

 いいんですかー?


 行きたいなら勝手に行ってくれば……


「あああ〜〜〜!」


 そうだ、忘れていた!

 今日は帝国にひとっ走り行くんだった。

 リオも起こしてくれればいいのに!


「ごめんルシア!ちょっと待って!」


 寝室から出ると玄関に向かって叫んでおく。


「やっぱり寝てたんですね!待ちますから急いでください」


 本当に申し訳ない。

 ていうかリオは?


 リオの部屋に入ると、ベッドでぐっすりと寝ているリオ。

 俺もだけど、何で今日に限ってこんなに寝ているんだ?

 リオなら持ち前の聴力でルシアの声で起きそうなものなのだが。


「おい、リオ!朝だぞ、ルシアももう来てる!」


 ゆさゆさと体をゆすり起こす。


「ふえっ?…ああ、お兄ちゃんおはよう」

「おはよう、じゃなくて、帝国行くぞ!」


 え?とリオは半開きの目をぐしぐし擦りながらキョロキョロ。可愛い。


「ルシア?あっ、もう来てるの!?お兄ちゃんもパジャマじゃん!早く着替えなきゃ!」

「おう」


 さっさかと着替えを用意して二人して着替え始める。

 その時にリオの着替えが見えた気がしたが、俺はロリコンじゃないので目を逸らす。

 見てないよ?逸らしたあともチラチラ見たりしてないよ?


 着替えなので大した時間はかからず終了。


「朝ごはんはどうするのっ?」

「無しでいいよ。ルシア来ちゃってるし!とりあえず外に出てから考える」


 玄関のドアを開けると、やれやれと呆れているルシアの姿があった。


「やれやれ、寝坊とはいけませんね。私は半年前に卒業しましたよ?」


 半年前?結構最近じゃん。

 しかもルシア髪に寝癖ついてるし。


「ルシアお姉ちゃん、髪の毛はねてるよ」

「えっ!?うそっ!」


 すぐさま後ろを向いて鏡を見ながら手櫛で髪を直している。

 ちなみに俺とリオは寝癖がつかない体質なのだ。


 寝癖もなおったルシアは再び真っ赤な顔でこちらを向く。


「さ、さあ行きましょう」


 なかったことにしたな。


「ごまかしたね」


 リオ、そういうのは心の中だけで言おうね。

 ルシアが涙目でプルプルしてるから。

 可愛いのが見られたからいいけど。


「ルシアは朝食食べてきたのか?」

「いえ、私は朝は食べてきていません。帝国についてから酒場や露店で情報収集しながら食べたりするつもりでしたから」


 意外と考えてるな。流石は聖騎士。


「では、走りますよ。基本的にここから西南西にまっすぐです。河川等はありますが橋はちゃんとかかっているのでご安心を」


 さて、半日で帝国に。

 どれだけ遠いのかは知らないが、大丈夫。

 きっとなんとかなる。


「私が先導しますので、しっかりついてきてください」


 ……一応、身体強化しておこう。


「よーい、どんっ!」


 ぐわあっ!


 ルシアが駆け出すと衝撃で風が吹いた。

 って、もうあんなに小さく見える。


「急ぐぞ!リオ」


 隣を見るとリオの姿がない。

 え?


「お兄ちゃん置いてくよ〜」

「ちょ、くそっ!」


 足に全力で霊力を込める。


 ズドンっ!


 おお!俺が走っても同じ感じじゃん。

 ルシアも目に見えないほど速いわけじゃないのですぐに追いつけるだろう。


 周りの景色が流れるように過ぎていく。


 少しするとルシアの斜め後ろへ。

 これなら、距離を取られることもなく帝国にたどり着けるだろう。


「速いですね。ロキアさんがどれだけのスピードを出せるかわからなかったのでこれくらいにしておきましたが。もっとスピードを上げても大丈夫そうですね」

「え、ちょ、まっ」


 さらにスピードを上げるルシア。

 リオもしっかりついていく。


 置いてかれるのは流石に嫌だ!


 最初駆け出した時と同じ様にトップスピードで走る。

 これがこの状態の限界。


 再びルシアの斜め後ろに陣取る。


「おお、二人ともすごいですね。ならこれについてこれますか?」


 更にスピードを上げるルシア。

 シュウじゃないんだからもっと冷静に落ち着こう?

 熱くなりすぎ。


 リオもついていくのが必死になってきたようだ。

 《限界突破リミットブレイク》体のリミッターを外し走る。


 最早ここまできたら意地だ。

 敵わないのはわかっていても、食らいつくくらいは出来るだろう。


「すごい、すごいですよロキアさん!じゃあもっとスピードをーー」

「リオが辛そうだからストップ!」


 そのうちルシアが調子に乗って消える。

 速すぎて。


 しかし、現段階でも時速いや、分速五キロは出ているだろう。

 馬車で三日だと言っていたので、馬車の時速を二、三十キロ程度だと考え、行動時間を八時間だと考えると、一日で二百四十キロ。

 三日で七二〇キロはあるのだろう。


 と言うことは単純計算で一四四分、二時間と二十四分で帝国に到着する。

 つまり、時速約三百キロだ。


 新幹線か!

 俺とリオはともかく人間のルシアがこの速度。

 科学文明もタジタジである。


 魔族の動体視力があるから木などの障害物を避けられるのであって、人間に出来たら十分人外である。


 走り出してすでに数分。景色は流れていてよくわからないが、現在は森を抜けて少しした荒野といった場所だろうか?


「すいません。一度止まります」


 ズザアアアア。


 ルシアとリオは見事にブレーキ。

 しかし俺は急のことで上手くブレーキがかからず。


 ズザッ、ズザザザア、ドシャッ。


 足がもつれ前のめりになり、盛大に転んでしまう。


「お兄ちゃん大丈夫?」

「だ、大丈夫ですか!?今、回復魔法をかけますからっ」


 ルシアに回復魔法をかけてもらう。

 なぜだ!?ルシアのようなドジっ娘ならここはこけるはずなのに!

 なぜ俺だけこけたんだー!


「はい、とりあえずはこれで体が痛む何てことはないでしょう」

「ありがとう」


 別に痛くないし、回復魔法も自分でできたのだが、ここはルシアの厚意に甘えよう。


「で?どうしていきなり止まったんだ?」


 あれを見てください。

 ルシアが指をさした先は荒野を流れる川。

 しかも結構流れが急である。


 その川に架かっている橋が崩れ、馬車が川岸に引っかかっている。

 馬車の中には人?

 ルシア、聖騎士様の人助けか。


 まあ、急ぎたいところだけど見捨てるのは人としてどうかとも思うし助けますかね。


 俺とルシアは顔を見合わせ馬車の中の人を助けに走るのだった。


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