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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
四章 武闘大会編
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異界の鍵

きりが悪いですが四章はこれで終わりになります。

 昼食も終わり、本戦の対戦表の発表を待つだけとなった。

 しかし、これがなかなか発表されない。

 どうしたのだろうか?

 まさか、シュウが小細工していたのがばれた?

 それはないか。


「遅いわね、本戦の対戦表」


 カナもいい加減待ちくたびれているようだ。

 リオも昼寝をしてしまったし、みんな暇している。


「そうだロキア、ウォーミングアップに軽く動かねぇか?」

「そうだな、せっかく予選でほぐれた体が硬くなるからな」


 準備運動を始める。

 ふと観客の方に目が行くが、観客の方は暇ひているわけでもなく、未だに賭けや、昼食を取っていた。

 大会運営は観客を待っているのだろうか?

 もしくは運営側が食事中とか?


「いくぜ!ドラァ!」

「くらうか!」


 いきなり蹴りかかってきたシュウの足をしゃがんで躱し、足払い。


「くそっ!」


 しかし、シュウはそれをジャンプすることで回避。


「ハッ!」


 そのままシュウはしゃがんでいる俺にかかと落とし。

 それを腕でガード。


「ぐっ」


 かなり強いかかと落とし。

 ガードした腕が痛い。

 だが、まだシュウは空中。チャンスだ。


「せいっ!」


 シュウの足を掴み背負い投げのように投げる。

 シュウは舞台に叩きつけられる、かと思いきや、見事に受け身をとって、うまく衝撃を逃したようだ。


「身体強化なしでやるじゃねぇか!」

「こっちのセリフだ!」


 実際、俺の使っているクレストの体は元邪神の魔族。

 それに対しシュウの体は人間。

 この差を埋めているのは中の魂の質、霊体の強さだろう。


「はいはい、そろそろやめましょう。二人とも結構ガチでやってますから本戦前に怪我しますよ」


 そこでルシアから中断の呼びかけ。


「チッ、いいとこだったのに」

「ま、軽い食後の運動にはなったな」


 危うく身体強化まで使って本気でやるところだった。

 本戦前に二人ともボロボロとかシャレにならんぞ。


「じゃあ、私も少し準備運動でもしようかしら?」


 そう言ってカナは立ち上がると、軽く屈伸。

 跳躍、したと思ったらいきなりカナの姿が消えた。

 ブレたとか、残像を残すとかでもなく消えた。


 カナは透明化なんて小癪な真似はしない。

 つまりは、カナの速さか、転移のどちらかだろう。

 ていうか、いきなり消えたりするとびっくりするんでやめてくれませんかね。


「む、さすがの速さですね。でもこれくらいならっ」


 そう言ってルシアの姿も消える。

 え?なに、ルシアって人外なの?

 確かに、ルシアは聖騎士で光の勇者とか言う主人公属性丸出しの肩書きを持っているが、それでも人間にそんなことできるの?


 あれだろうか?ルシアは人間と何か別の種族とのハーフだったりするのだろうか?


「うわ〜、お姉ちゃんたち速いね」

「いや、これ速いってレベルじゃ…って、リオこれ見えるの!?」


 びっくりである。

 えー、俺じゃあ影がかろうじて見えるくらいなんですけど。


「うーん、少ししか見えないよ」

「それでもスゲェだろ、オレじゃほぼ見えんぞ」

「お姉ちゃんたち追いかけっこしてるのかな?」


 邪神と勇者の追いかけっこ。

 平和な世界ですね。


 観客は何が起きているかさっぱり分からず、いきなり二人が消えたと騒いでいる。


「ふう、だいぶ体があったまったわね」

「はあ、はあ、やっぱりこのスピードは疲れますね」


 カナはまだまだ体力が有り余っているが、ルシアは流石に息切れしている。

 だが、これで二人の実力がわかったような気がする。

 特にルシア。ルシアは、カナには及ばないながらも相当の実力者なのだろう。

 流石のカナも最強でありながら、無敵というのは不可能なのだろう。


「…流石のカナも無敵ではないよな」

「ロキア、そうとも限らねぇ。あの女、さっきの高速移動で魔法の類の反応がなかった。あの女に向けて魔法無効化マジックキャンセルを使ったんだが発動しなかった。身体強化を使ってねぇってことだ。つまりは素の身体能力であれなんだよ」


 え!?魔法を使わずにアレ!?

 えー、最早ラスボスだろ。

 俺の師匠は無敵です、比喩ではなく揺るがない事実。


「陛下、何を!?」


 ん?なんか皇帝が観戦している場所が騒がしい。


「黙って見ておれ。異世界の鍵、いや、異界の鍵の力を見せてやると言うのだ」


 ん?異世界の鍵じゃなくて異界の鍵?その力?

 うーん、地球の手がかりかなんかかと思ったが外れだったぽいな。


「"異界に秘められし力 無限であり夢幻の力 我が言葉を聞き届けその力の一部を開放せん "《空間歪壊》」


 皇帝がよくわからない棺?のようなもの掲げながら詠唱をすると、俺らがいる舞台に、黒く濁り淀んだ色のデカイ球体が現れ、その周囲の空間を歪ませている。空の雲はその球体に触れた途端に消えている。


「これは、少し危ないですね」


 ルシアが横で呟いているのを聞いてしまった。

 そんな危険なの?

 すると俺の体があの球体に引き寄せられ始めた。


「フハハハハハハ!こんな汚れた国など滅びてしまえ!」


 へー、シクラ帝国の皇帝様はそんな事を考えていたのか。

 アニメとかならここで仲間が散り散りになって、主人公は魔界的なところに飛ばされるのだろう。

 前の小規模な戦争も帝国とかカナが言っていたし、堂々とリクレイフィアに乗り込めていい機会なのかもしれない。

 でもーーー


「《禁忌の楽園》」


 うちの無敵な師匠がいるこの場所で仕掛けたのは間違いだったな。

 この大会でリクレイフィアの強者をいっぺんに集めて一気に殺すのが目的だったのだろうがカナもいたのが皇帝の誤算。


 皇帝が発動した魔法はカナのよくわからないチート魔法で跡形もなくかき消された。


「なあっっッ!」


 皇帝も驚いている。

 俺も、シュウも、ルシアも観客も驚いている。

 リオは一度見たことがあるらしい。

 なんだよ、皇帝の使った魔法もチート臭がしたけどそれを凌駕する魔法。


「やっぱり、帝国は潰しておきましょう。ただこの国を潰すとかだったら特に邪魔はしなかったのに。私の幸せ(楽しい時間)まで壊そうとするからいけないのよ?」


 冷たく鋭い声で、皇帝に言い放つ。

 皇帝の護衛は皇帝を取り囲み守る体制になっているが怯えている。


 カナはガンガン殺気を放っている。

 その殺気にあてられてか観客は気絶していたり。


「だからーーー死になさい」


 最強無敵な邪神からの死刑宣告。

 ならばこれは覆らない。


 帝国に待つのは滅びの道のみである。


「くっ、鍵よ!我を逃せ!」


 グォン、先ほどの球体が皇帝を飲み込み消えた。

 今の命令の仕方からして逃げたのだろう。


「まあ、いいわ。殺すのは確定だから」


 カナがキレた。

 俺はカナを怒らせないと心に決めた。


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