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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
四章 武闘大会編
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武闘大会強制参加

申し訳ありませんが、少し更新速度が落ちます。

「あの、カナさんって本当に人間なんですか?」

「え?」


 ばれた?カナが邪神だということが。

 よりにもよって聖騎士に。

 俺たちの日常が崩壊する?


「な、なんでいきなりそんな事を?」

「私の身体能力は人間の中でもトップレベルなんですよ。なのに、カナさんは軽くそれを上回っているんです」


 結構根拠もしっかりしていて的確である。

 カナ普段から身体能力に制限をつけているわけではない。

 なので、勘の鋭い人にはバレる可能性があったのだ。


「俺からするとルシアも、十分人間の枠を出てる気がするんだけど」

「そりゃ、私は女神の加護を受けた光の勇者ですし。あ、これは他言無用でお願いしますね」


 勇者?ルシアが?

 勇者補正というやつなのだろうか、この勘は。


「ごめん、カナの事は俺もよくわかってないんだよ」

「……そうですか。すいません。変なことを聞いて」


 俺の答えには色々と穴があるだろう。

 実際俺が問い詰める側だったなら「そんなお互いを知らないのにコンビを組んでるなんておかしい」とか色々言っているだろう。

 そこを問い詰めないのがルシアの優しさなのか、なんなのかは分からない。


 ただ、知りすぎてお互いが敵になるという最悪のケースが頭をよぎっているのは確実だろう。

 ならば敵ではなく、現在の友達のような関係でいようと考えたのかもしれない。


 そんなことを考えながらも、カナたちの場所に戻ろうとするとカナとリオの姿が見えない。


「どこへ行ったんでしょうか?」

「さあ?とりあえず探してみるか」


 周りを見てもカナとリオの姿は見えない。

 カナがいるので犯罪に巻き込まれたなんてことはないだろう。

 チンピラに絡まれたとしてもカナならば瞬殺できるだろう。


 少しうろうろしていると、騎士団事務所の方が騒がしいことに気がついた。


「ルシア、今日は騎士団が何かやっているのか?」

「やっていて武闘大会ですが、向こうはただの受付ですし、開催は明日ですよ?」

「見てみよう」


 事務所に近づくと見えたのはカナとリオ。

 それにシュウとよくわからん男達。

 そしてそれを見ているギャラリーと止めようとしている騎士。


 ルシアはそれを見ると走り出し声をかける。


「一体どうしたんですか?」


 騒ぎを収めようとしていた騎士の一人がルシアに状況を説明している。


 シュウが無理やりカナとリオを武闘大会に参加させようと引っ張ってここまで来ると、同じく大会参加希望者の男達に嬢ちゃんたちじゃ死ぬぜ〜?的なことを言われシュウが反論。

 シュウと男たちが一触即発の状態だということらしい。


 ほぼシュウのせいじゃん。

 カナとリオはただ巻き込まれただけ。


「おう!ロキアお前も当然参加するよな。喧嘩も大会も」


 いやいや大会はともかく喧嘩は絶対に参加しないよ?聖騎士の目の前でよくそんなこと言えるな。


「勝手に決めんなよ」

「て言うかロキアとカナと幼女の分は勝手に参加登録しておいたから」

「ふざけんな!」


 なんて勝手なヤツだ。

 こっちの事情や予定は無視か!

 予定なんてないけど。


「大会に参加するのは結構ですが、喧嘩はよしてください。暴れたいのなら明日の大会でどうぞ」

「それはいいが、もちろん聖騎士様も参加するんだよな?」


 おいー!

 シュウ、お前もう黙ってろ!


「そこのおっさん達もかまわねぇよな。強い奴は多い方がいいだろ?」

「ちょっ、何勝手にはなしを進めてるんですか!」


 そうだそうだ!

 いいぞルシアもっと言え!


「まあどっちにしろ明日は帝国の皇帝陛下のご意向で余興として私も参加する予定でしたからいいですけど」


 おい!そこは止めてよ!

 俺の考えも聞いて!


「おい!シュウ俺は参加するつもりなんて」

「優勝商品は異世界の鍵だそうだぜ?面白いだろ。興味ねぇか?」


 え?異世界の鍵?普通ならくだらないの一言で蹴る提案なのだが、異世界の鍵。

 その鍵がどんな効果を持っているかも分からない。

 別に元の世界に帰りたいわけでもない。


 でもーー未練が全くないわけでもないかもしれない。


 元の世界で充実した生活を送っていたとは言えないが、元の世界に愛着がないと言えば嘘になる。


「わかったよ。参加してやるよ大会に」

「参加しないって言ったら殴ってたぜ」


 何この人横暴だ!


「リオも参加させんのか?俺が参加する代わりにリオは不参加な」

「馬鹿野郎、この幼女も十分強いじゃねぇか。この大会は別に魔法とか使用制限はないんだからな。ついでに言えば年齢制限もないぜ」


 あ、そうなの?

 なら優勝者はカナで決定だね。

 この結果は覆らないね。


「はいはい、それではこの場では拳や剣は納めてください。今日コンディションを崩して明日出れないとかはやめましょうね」


 何その修学旅行前日みたいな考え方。

 しかし、ルシアの言葉により男たちは帰っていった。


「ふう、皇帝陛下が来ると言うのになんでこんなにギラついてるんですか全く。私の首が飛んじゃうじゃないですか」

「オイ!カナ、お前は俺とロキアにかけた制約を解け。これじゃあまともに戦えやしねぇ」

「わかったわよ《解呪》はい、これで終わり」


 カナは俺とシュウに軽く触れ無詠唱で魔法を行使する。

 カナの魔法は大体無詠唱で強力だから怖いんだよな。

 何はともあれ、これでまた戦闘が可能になった。


「永続性の制約を二人同時にかけ、それを無詠唱で解呪するとか、カナさんやっぱり何者ですか?」

「まあ、それは置いといて、武闘大会になんかルールとかあるのか?」


 無理やり話をぶった切り、話を変える。


「あ、明日もされると思いますが、基本何でもありですね。ただ、殺しは禁止です。それだけですね」


 自由だな。

 殺しさえしなければ基本はなんでもあり。

 目潰し、金的その他諸々もOKなわけだ。

 恐ろしいぞこの大会。


「なんだ、もっとあるのかと思っていたからよかったわ。これなら楽勝ね」


 まあ、カナにとってはね。

 カナにとっては全員雑魚でしょ?

 大会出場者全員でかかっても勝てるでしょ?


「そんなぬるい大会じゃないですよ。私も出ますし簡単には勝たせませんよ」

「今日の決着を明日に持ち越しという事ね」


 さすがの聖騎士兼光の勇者といえど邪神のカナには勝てないでしょ。

 でも、勇者だからな。勝てるかもしれない。

 カナが負ける姿なんて想像できないけど。


「ロキア、俺たちも決着をつけるぞ」

「望むところだ!」


 それぞれのライバル対決があるようで観客としても、選手としても楽しみになってきた。


「リオは…リオもがんばるっ!」


 リオはライバルとかいないからね。

 いなくてもいいんだよ?

 リオには危ないことはさせたくないし。


「じゃあ今日は解散ですね。また明日です」


 そう言って今日のところはみんな家路に着いたのだった。

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