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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
一章 邪神族の墓地編
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欲望

毎日投稿とかしている作者様方はどうしているのでしょう?

リアルも忙しく結構大変です。

「えっと、とりあえず貴方には肉体がないからそこからにしましょう」

『肉体を得るってどうすればいいんですか?』


 そうねとカナは考える素振りをしてから言った。


「さっきも貴方が使っていた憑依を使うのよ。あと、敬語はやめなさい。」

『わかった。ゾンビに憑依するのはもう嫌だぞ』

「流石にそれは無いわ。ここは邪神族の墓地よ、つまりは邪神の墓なの。その辺の墓をほじくり返せば邪神の体が手に入るはずよ。その中から気に入ったのを適当に選びなさい」


 ふむ。邪神の死体に憑依するという事か。

 死体に憑依はした事が無かったが、ゾンビや骸骨のような死体のような者に憑依出来る時点で可能だろう。


『分かった。やってみる《念力ポルターガイスト》』


 俺がそう唱えると、そこらの土が浮き上がる。

 それを適当なところにどかし、墓の中を見る。


 見ると様々な死体が埋まっていた。

 綺麗な女性の死体。

 イケメンの男の死体。

 見た目平凡な男の死体。

 醜い男の死体。

 筋肉ムキッムキの死体。

 骨。


 これら全て選び放題。

 骨は流石にないけど。

 筋肉とか強そうだな。最近では筋肉の需要が上がってきたような気がしなくもない。


『じゃあこの死体にー』

「言っておくけど、私の弟子なんだからちゃんと常識的な体にしなさい。そこの筋肉とかは私嫌よ」


 なん・・・だと。

 筋肉強そうなのに。ちょー強そうなのに。

 強さを求めるならこの体かなって思ったのに。


「まぁ憑依した時の固有能力とか、その辺も大事だけどそこから私が鍛えてあげるんだもの。弱くはならないわよ」


 ならば、見た感じでビビッときたものを選ぶことにしよう。

 女の体とかよくね?女湯とか入り放題じゃん。

 カナの魅惑の体とか見放題じゃん。


「あと、男の体にしなさい。そっちの方が修行の時に傷つけやすいから」


 ・・・えぇ〜。

 本当に女の体にしようかな?

 傷つけやすいとかなんか怖いし。


 こっちも見てみようかなー。

 あ、これとか良い感じーーー


『・・・え?』

「どうしたの?」


 いやいや、ありえない。

 なんでこの体がここに、この世界にあるんだ。


『俺の・・・体?』


 そう、そこにあったのは、地球の日本で生まれてから高校二年生になるまでの十六年間使い続けた俺の体だった。


 最初はただ似ているだけだと思った。

 でも、よく見ていく内にこれは俺の体だとそう確信した。

 生まれてからこの世界に来るまで、ずっと一緒だったのだ。間違えるはずがない。

 完全に俺の体だ。


 でもどうして俺の体がここに?

 俺がこの世界に転生のような、トリップのような事をして、この世界で死んだ?

 それで、その精神が幽霊の俺になった?

 分からない。


 俺はこの世界では最初から幽霊だったはずだ。

 死んだ覚えなどないし、痛みも感じない。

 記憶がないという感じでもないと思う。

 ならなんで?

 しかもしっかりと埋まっていた。

 邪神族の墓にだ。

 俺が邪神?そんなわけがない。

 生まれてからそんなファンタジーな出来事にあったことなどない。

 厨二病にもかかってそんな力を使おうと努力したような黒歴史もある。

 それでもファンタジーな力は使えなかった。

 他のどこかで死んで、誰かが俺をここに埋めた?

 それもないだろう。

 この墓地に来て三ヶ月以上経つが、師匠以外の魔物以上の知能を持つ生き物を見たことがない。

 つまりは、人が近づかないのだ。

 それに、普通に邪神の墓とか誰も近づきたがらないだろう。

 それを誰かが利用した?何のために?

 考えれば考えるほど分からなくなる。

 どうしてーーー


「ちょっとロキア!」

『え?どうしたんだ?カナ』


 もお、と少し怒ったようにカナ師匠は言った。


「どうしたんだ?じゃないわよ。ぼーっとしてどうしたの?体は決めたの?」

『あ、あぁ。この体にしようと思う』


 なんでかは分からないにしても、俺がここにきた理由に近づくためにはこの慣れ親しんだ体をまた使ったほうがいいだろう。

 筋肉やイケメンにも憧れたが、やはり見た目は中の中から中の上、運動神経と学力は平均の平凡なこの体をもう一度使う方がいいだろう。

 それに、この体の方で強くならなきゃなんか負けた気がする。


「ふぅーん。まぁいいんじゃないかしら、最悪変えればいいんだしね。じゃあ、さっさと憑依しちゃって」

『あぁ、分かった《憑依》』


 いつもの感覚で、対象の体の中に入り込むように・・・


 バチッ!


 憑依できない?なぜ?

 今一瞬何か弾かれたような感覚があった。

 これは、憑依の対象がこの体だから弾かれたのか、そもそも死体には憑依できないのか、それとも邪神族という種族には憑依できないのか。


「どうしたのロキア、早く憑依しちゃいなさい」

『その・・・憑依出来ないんだ』

「憑依が出来ない?んー、それは多分貴方が弱いからね。貴方の実力では邪神に憑依しきれなかった。そういうことじゃないかしら」


 分かりきっていたことなのだが、ハッキリ言われると心が傷む。

 しょうがないじゃないですか、この前までただの人間だったんだから。


『でもカナが強くしてくれるんだろ?』


 強くしてもらう側が偉そうなことを言っているという自覚はある。

 だがあえてここで言った。

 この程度の言葉に怒り、師匠になってくれないのであればこちらから願い下げである。

 中途半端はいらない。やるなら徹底的にだ。


「当然よ、貴方こそ私に師事するんだもの、中途半端は許さないわ」

『ありがたい、よろしく頼むよ師匠』

 

 俺に手があればがっしりと握手を交わしていたところだ。

 カナとは上手くやれそうな気がする。


「でも私この墓地があまり好きじゃないから、直接鍛えるのは偶にだけよ。貴方がこの墓地から出られるのなら毎日鍛えてあげてもいいけど、貴方の今の体じゃ無理ね」


 なっなんだってー。

 つまり、必要なことは教えるから後は自分でなんとかしろよっていうスタイルですか。

 まぁいいや、それでも今よりはだいぶ変わるだろう。


『ああ、それでいい』

「よし、じゃあまずは座学からね」


 えっ?座学?ファンタジーなのに座学?

 え?もっとこう激しいのを予想していたのだが。


「理屈を知らずして、物事を実行出来るわけないでしょ。ほら始めるわよ」


 それで強くなれるのなら文句はない。

 うん、無い。ホントだよ?







 ♢





 俺とカナは墓地に適当に座れるような場所を作り、魔法や俺の使う憑依の原理などについて話していた。


「ぶっちゃけ、私は死霊についてはあまり詳しくないわ。剣術とか武術系でもいいけど貴方に肉体が無いから無理。

 なので、魔法について教えるわ」




 カナの説明によると、魔法とはやはり魔力を使用して行使するもののようだ。

 魔法にもランクがあり、下級、中級、上級、古代級、精霊級、伝説級である。

 当然、ランクが高くなるほど必要な魔力とそのコントロールも難しくなるようだ。

 魔法を使うにあたり適正などもやはりあるようだ。

 うわー、これはどの魔法の適正もないパターンだなーと思いながらも話を聞く。


 才能の部分は努力で補う。

 今までだってそうして来た。

 男ならば一度は憧れる剣すらも使えないこの体。

 本当に神がいたら絶対に俺の事嫌ってるだろ。

 それで、物語の主人公は絶望して神に復讐だ!とか言いだすのだろうが俺は違う。

 基本そんな強そうなやつはノータッチで行く。


 たとえ魔法の才能が無くても、剣術が使えなくても、俺のこの念力ポルターガイストと憑依、それにこの世界では無いような地球で得た知識があればなんとかなるはずである。

 弱くたっていい。作戦で勝ってやる。

 策が通じなくたっていい。そんなの策などではなく地球産の新しい戦い方だって考えれば沢山あるはずだ。

 今弱くたっていい。俺には無限の時間があるばずだ。

 時間はいくらでもある。強くなるための時間なら腐る程ある。

 報われなくたっていい。最後に俺の価値が見出せれば、俺がいたことで何かが変わったのなら、意味があったのならそれでいい。




 でも、やっぱり自分の体には戻りたい。

 呪いがかけられているのならどんなに時間がかかっても解呪してやる。

 やっぱりそれなりに幸せになりたいと心のどこかで思ってて。

 叶えたい男の夢だってあって。




 自分のやりたい事の為に強くなる。

 他人なんて知らない。

 俺が夢を叶えた為に被害を被る人など知らない。

 全ては自分の為に!

 その為ならばなんだってしてやる!




 種族が死霊から『強欲な死霊』へ種族変更されました。







ロキアの心情がブレッブレ。

まぁいいかー。

誤字脱字等ありましたらご報告ください。

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