三角関係?
目をキラキラと輝かせ、ワクワクとしているルシアを先頭に俺、カナ、リオもついていく。
休みの少ない聖騎士の休暇とはこんなものなのだろうか?
「ほら、ロキアさんたち!もっと楽しみましょう」
「いや、ちょっとテンション高くね?」
「祭りなんですから大丈夫です」
さっき問題起こさないようにとか言ってたけどあなたも十分問題起こしそうなんですけど。
「祭りは逃げないし、今日から三日間やってるじゃない」
「祭り中は基本的に皇帝陛下の護衛に回っているので今日しか楽しめないんですよ」
やはり聖騎士は忙しいようだ。
この人も苦労しているということか。
「そういうわけでほら!早く行きますよ」
そう言ってルシアは俺とリオの手を掴み引っ張っていく。
カナはやれやれという感じでついてくる。
「聖騎士さん、早いよー」
リオもルシアに対して敵対心などはないようだ。
魔物の敵の聖騎士とは言え、なぜかルシアはそんな感じじゃない感じがするんだよな。
なんか明確に敵対するまでは憎めない相手なのだ。
敵対しても殺すのを戸惑ったりしちゃう相手でもある。
「聖騎士ね、私のイメージとだいぶ違うけどみんなこんな感じなのかしら?」
カナの声が後ろから聞こえてくる。
俺もそれ思った。
ルシアだけ違うんだと思うよ!
「さあ、まず何しに行きましょうか!お腹も膨れているのでたくさん遊べますね!」
「子供かっつーの」
「何を言いますか十七ならまだ大人ではないはずです。この世界は十八から成人ですからね!」
十八から大人ね、てことは結婚もそれくらいかな?
ルシアは出会いがーとか言ってたけどまだそんな焦る年でもないだろうに。
周りがカップルだらけとかそんな感じなのか?
「ルシアは十分可愛いからそのうちいい出会いとかあると思うんだけどなあ」
「なあっ!な、何言ってるんですか!いきなりそんな、そういうのはもっと関係が進んでからですね」
なんか言いだしたー!
いや、関係が進んでからも何もそんな関係になってないじゃん。
「はっ!私は一体何を言ってるのでしょうか!?すいません取り乱しました」
「言っておくけどロキアは渡さないわよ」
え?カナもカナで何を言っているんだ?
「いやいや、まだ会ったばかりなので流石にそれはありませんよ。時間を置いたら好きになるかもしれませんけど」
えー。何その大胆発言。
何?チョロインだったりするの?
俺のこと好きなの?
カナもなんか怒ってはいないけど怖いよ!
「ふーん。まあ私が言いたいのは軽い気持ちでロキアに手を出したりなんかしたら殺すわよって事よ」
「軽い気持ちなんかで手を出すほど安い女ではないと自負しております」
二人の後ろに龍と虎が見える。
二人の能力?威圧的な。
「お兄ちゃん、こわいお姉ちゃん達は放っておいて祭りたのしもっ!」
「ああ、いいよ」
他人のふり。
なんか周りの人から注目され始めたし。
さっさとこの場を離れてしまおう。
少し離れた場所に移動すると、後ろから二人が追ってきた。
「何勝手にどっか行ってるんですか!」
「置いてくなんて酷いじゃない」
なんか怒られた。
俺悪いことしたっけ?
「ほら、祭りを楽しみましょう」
「そうね」
いや祭りに行けなかったのは二人のせいなのですが。
そんな心の声は胸の内にそっとしまい、リオと手を繋ぎやれやれといった感じで歩き始める。
♢
「いやー楽しいですね!」
「そうね、祭りなんて初めてだけど楽しいわ」
あの後、カナとルシアは色んな店を荒らしまくった。
景品系の出し物は、ほぼ制覇したといったところだろうか。
邪神と聖騎士、祭り楽しみまくりである。
俺とリオは手を繋ぎ二人でりんご飴を舐めている。
時々リオと二人で輪投げやら何やらを楽しんでいる。
「お兄ちゃん、楽しいね祭り」
「ああ、ちょー楽しいな!」
リオがりんご飴を舐めながら俺に向かって笑顔で言ってくる。
やばい可愛い!リオまじ天使!
「次は何で勝負しましょうか?」
「別になんでもいいわよ」
カナとルシアは先ほどから勝負をしていた。
一回戦 種目 輪投げ
勝者 カナ・アークノート
二回戦 種目 くじ引き
勝者 ルシア・カラレス
三回戦 種目 射的
引き分け
四回戦 種目 かたぬき
勝者 カナ・アークノート
五回戦 種目 金魚すくいモドキ
勝者 ルシア・カラレス
だいたいこんな感じである。
俺とリオはその横で静かに勝負と無関係を決め込み遊んでいる。
リオの身体的スペックは高いのだが、まだ子供なのもあり少し不器用なところが見られる。
カナとルシアの勝負はどれも僅差で勝敗が決まっている。
カナも大概だがルシアも十分器用だと言える。
遊びとはいえカナと張り合うとか十分人間を止めている。
「次はどんな勝負になるんだろうね」
「もう店にこの二人危険的な情報が回ってるんじゃね?二人とも、そろそろ落ち着こうか」
本当に二人は勝負に夢中で店側の都合などガン無視なのだ。
赤字になった、とか言って祭り初日なのにも関わらず店じまいしてしまう店が多発。
流石に迷惑である。
「あっ、ごめんなさい。ロキアさんと、リオちゃんの事も考えなきゃいけませんでしたね」
「そうね、ちょっと熱くなりすぎたわ。ごめんなさい」
ようやく気がついた。
見てる分には楽しいのだが、店側の人がかわいそうで仕方がない。
「…えっと、ロキアさん!ちょっといいですか?」
そう言ってルシアは俺の手を握り引っ張っていく。
リオはカナの方に話しかけているので俺とルシアだけだ。
ルシアは俺の手を引っ張りカナとリオからは見えないところへ移動させられる。
路地裏のような場所まで連れてこられた。
何?告白?
「あの、いきなりすいません。でも、一つ聞きたいことがあって」
「ん?聞きたいこと?」
「あの、カナさんって、本当に人間なんですか?」
「え?」
質問の内容はもっと軽いものだと思っていたが、衝撃的だった。
短くてすいません。
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