聖騎士
暑い、執筆速度もそれに伴い落ちていく。
しゅくだいもやる気にならないしなー。
射的ではカナの実力がものすごく発揮された。
景品はカナは別に大したものはいらないとの事なのでリオが気に入った大きなクマのぬいぐるみを貰っておいた。
リオは貰った直後はぴょんぴょん飛び跳ね喜んでいたのだが、カナが汚すといけないからと《収納》の魔法を使いしまったので少しシュンとしてしまった。
だが、別に機嫌が悪くなったとかいうわけではないので大丈夫だ。
「リオ、腹減ってないか?何か食べるか?」
「うん、リオお腹ぺこぺこ!」
「もうお昼の時間ね」
周りには屋台がたくさんあるので食べ物には困らないだろう。
「私がなんか適当に買ってくるわね」
そう言ってカナは人混みの中に消えていく。
カナだから変な物は買ってこないだろう。
変なものを買ってきても困るし。
「お兄ちゃん、リオねこんな人がたくさんいるとこ来るのの初めてなんだ。なんか楽しいね!」
「そうだな、楽しいな」
リオはいつも通りニコニコしている。
無邪気だなーと思いながらもその笑顔を心の中に永久保存しておく。
そんな馬鹿なことをしていると、カナが戻ってきた。
一瞬手ぶらだったので何かあったのかと思ったが、人が多いので収納で食べ物をしまったのだろう。
「はい、とりあえず買ってきたから場所を探しましょうか」
再び手をつなぎ歩き始める。
ここまで人がたくさんいて、ご飯が食べられるような場所が思いつかない。
広場とかは、何か大道芸のようなものをやっているし、座れるような場所も既に取られている。
「どうする?場所空いてないぞ?」
「あっちの方までに見て、空いてなかったら考えましょう」
騎士団の事務所のような場所だろう。
迷子センターのような事をしているのだろうか?
鎧を着た男たちが小さな泣いている子供をあやしているとかシュール以外の何者でもない。
騎士とかいかにも不器用な男がやってそうだし。
聖騎士は金髪蒼眼、もしくはオッドアイなイケメンがやってそうだし。
爽やかイケメンは女にモテても子供にはそこまで人気はないのだ。
泣きじゃくる子供にイケメン聖騎士も苦笑い。
ハッ、イケメンざまあみろ!
騎士団の事務所辺りまで来ると、人の気配が少なくなってくる。
やはり騎士団がすぐそばにいるとなるとあまりはっちゃけられないのだろう。
しかし、なんだ。
事務所から子供の泣き声がびっくりするくらい聞こえてくる。
もうそれは事務所の窓ガラスが震えるくらい。
そのうち割れるんじゃないだろうか?
窓からそれを必死にあやしている騎士がたくさんいる。
あ、なんか女の人がこけた。
子供達相手では騎士といえど手も足も出ないと言ったところだろう。
「とりあえずこの辺でご飯食べるか」
「わかったわ」
騎士団事務所の傍には噴水が設置してあったのでそこに座って食べることにする。
カナが出してきたのはたこ焼きモドキと焼きそばモドキ。
まあ祭りと言ったら定番なのだがこんなのでいいのか異世界!
ふと騎士団事務所の方に目をやると子供が親に引き渡されているところだった。
子供についてあげている女騎士はなんかゲンナリしている。
親が騎士にお礼を言い、祭りの方に戻ると、騎士は中に入ったと思ったら、綺麗な顔立ちや、鎧を脱いだのか意外に体つきのいいことがわかるような服装になり、弁当のようなものと水筒を手にこちらへ来る。
「あれ?珍しいですね。この辺りに一般人が…ああ〜〜!!あなた、こないだ喧嘩してた二人の内の一人でじゃないですか!」
「人違いです!」
やばい。
そういえばそんなことがあった。
それを止めに来たのもこんな感じの女騎士だった。
「え?人違い?いやでもなんか見覚えがあります!」
「ロキア?喧嘩って何?まだ戦闘とかはしないように言ったはずよね?」
「お兄ちゃんまた喧嘩したの?」
げ、まだカナの戦闘禁止の制約は継続中だった。
それがシュウと喧嘩してましたなんてばれたら怒られる。
騎士にばれても怒られる。
しかもリオがさりげなくまた喧嘩したの?とか聞いてくるので余計騎士に怪しまれる。
困った。
「ロキア?ああ!ギルドの受付嬢が言ってた二人組ですか?」
え?
なんか俺たち有名人だったりするの?
「聞いてますよ!ギルドに登録したばかりなのに高ランクの討伐系の仕事をしようとしていたんでしょう?」
「だって、高ランクじゃなきゃつまらないし修行にならないじゃない」
「それでもまずは簡単な依頼からこなしていくものでしょう?」
なんか揉めてる?
カナはパワーレベリングタイプで騎士さんはコツコツレベルをあげるタイプなんだな!
「それは置いといて、とりあえず最近森の方で巨大な地龍の死体が見つかったんですけど心当たりはありませんか?」
「ナイデス、マッタク、ハイ」
やっべー。心当たりどころかそれをやった本人だよ俺。
もう一人いるけど。
「そうですか。すいません変なこと聞いて」
え?自分でもびっくりするくらいの棒読みで答えたのに気付かないだと?
この人も天然?それかドジっ娘というやつか?
「あ、すいません申し遅れました。私はルシア・カラレス。聖騎士なんぞをやっております」
聖騎士。騎士団内でも高いランクの者が選ばれる一種の称号のようなもの。
危ない。危うく暴力事件の犯人とか言って斬られるところだった。
「俺はロキア、こっちはカナとリオ。まあそんなに会うこともないだろうけどよろしく」
「よろしくお願いします。あ、あと、そろそろこの祭りに、帝国の皇帝陛下がいらっしゃるのでくれぐれも、くれぐれも!問題を起こさないようにお願いしますよ。私の首がかかっているので!」
なんかこの人も苦労してるんだな。
そんなオーラが出ている気がする。
「私も祭楽しみたいんだけどなー、一人とか寂しいし、誘う相手もいないし………」
何かブツブツ呟いていらっしゃる。
しかもなんか悲しい事言ってるし。
あ、なんか今リア充くたばれとか言った。
この世界にもリア充と言う単語がある事にびっくりした。
「あーあ、どうして私はこんなに男に恵まれないのでしょうか?寄ってくるのは仕事だけ。ふふふ、そのうちは同級生からもまだ結婚してないの?とか言われるんだあ」
なんか可愛そうなんですけど。
聖騎士ってモテモテなイメージなのにこんな人もいるんだな。
さっきもなんかげんなりしてたし。
事務所内でこけてたし。
何かあるのだろうか?
「じゃあ私達と一緒に祭りに回らない?」
「え?」
カナが流石に可哀想になってきて誘った。
うわ、なんか涙目でルシアもこっち見てくる。
「男は俺しかいないけど、どうだ?」
「いいんですか!?行きます!行きましょう今すぐ!」
すごく食いついてきた。
なに?俺のこと好きなの?
流石にそれはないか。
俺のことが好きな人なんていないだろう。
いやクレストはイケメンだからその体を使っている俺もイケメンなのか?
でも、俺の本体幽霊だし。
聖騎士とか天敵じゃん。
まあばれなきゃ問題ないけど、またシュウに出くわしたら今度こそ暴力事件とか起こしてたってバレる。
「じゃあ、行きましょう!」
さっさか先に行ってしまった。
仕事が集まるーとか言っていたし休みもろくにとっていなかったのだろう。
俺の中の騎士のイメージが変わった瞬間だった。
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