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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
四章 武闘大会編
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祭り

夏と言えばやはり祭りでしょう。

今年の夏、私は一人で悲しく祭りにも行かずダラダラしてましょうかね。

 最近は王都の方が賑やかになってきた気がする。

 ギルドに行く時に少し見たのだが、なぜか街にいつもは無いような露店が増えていたし、活気が全然いつもとは違うのだ。


 聞いた話ではシクラ帝国という国の皇帝がこの国リクレイフィアに来るらしい。

 それで、この国をよく見せるために祭りを行って帝国の方に好印象を持ってもらい交易などを盛んにしていこうという考えなのだろう。


 カナは「帝国は信用ならないから嫌い」と言っていた。

 なぜなのだろうか?

 あれか?悪虐皇帝なのか?邪智暴虐の王なの?


 女を周りに何人も侍らし、取っ替え引っ替えするようなやつなのだろうか?

 だとしたら美人のカナは必ず狙われるではないか。

 カナだったら「嫌よ」とかきっぱり断りそうだが、その時にビンタくらいしそうである。

 となると、戦争になるのではないか?

 一人の女のせいで。


 やばい、カナには皇帝の滞在中には王都に行かないようにしなければ。


「カナ、最近は慌ただしかったから、ゆっくり家にいような」


 それとなくカナに家を出るなと言ってみる。


「え?でも、リオがもうすぐ開かれる王都の祭りに行ってみたいと言うからそれに行こうとしてたんだけど」


 はい、不可能でしたね。

 でも、カナも流石に皇帝相手にそんな事をしでかすとは思えないし、そもそも皇帝とエンカウントする確率も低いわけだ。


「じゃあ、それ俺も行っていいか?」

「もちろん」


 せめて、俺が見張っておこう。

 もう戦争はこりごりだ。

 戦争の引き金を引く事は何が何でも避けなければ行けない。


 カナも好き好んで戦争の引き金を引くことなどないだろう。

 リオの無知や純粋さが引き金を引く事も俺がしっかりと見張っていれば大丈夫だろう。


「お姉ちゃん!お祭りってどんなのがあるの?」

「そうね、私もよくわからないけれどとにかく楽しむもの。という事は分かるわ」

「魔法とか使っていいの?」

「さあ?綺麗なのならいいんじゃないかしら?」

「わかった!綺麗にみんな凍らせるね!」

「いや、ダメだろ!」


 危ない、危ないぞ。

 なんか盛り上がって強力な魔法なんか使われたらたまったもんじゃない。

 というか、凍らせたら祭りどころじゃないから!

 大惨事だから!


「「そうなの?」」


 いや、二人揃って何言ってんだ。


「常識くらい分からない?」


 リオは魔物だからともかく、カナはさすがにこれじゃダメだろ。

 いや、カナも邪神だから常識が欠けていても仕方ないのか?

 一応カナも人間じゃないし。


「祭りは楽しむものだよ、魔法とかは使っちゃいけません。攻撃魔法なんて絶対使うなよ!絶対だからな」

「「わかった」」


 本当に大丈夫なのだろうか?

 今回の祭りに関わらずそのうち問題を起こしそうだ。


 俺の周りはどうしてこうよくわからないところで大切なものが欠けているんだ。


「攻撃魔法じゃなかったら使っていいの?」

「魔法は使うな!使っていいのは基本は回復魔法くらいだよ」


 回復魔法ならば、怪我人などを治してあげられるので、迷惑どころか助けになっているのは間違いないはず。


「でも、リオ回復魔法使えないよ」

「祭りだから悪い人も来るかもしれないからそれを捕まえる捕縛魔法なら使っていいぞ」

「ほんとっ!リオたくさん悪い人捕まえる!」


 いや、そんなに悪い人たくさんいたらこの国終わるよ。

 特にこの祭りの開催中は危険だ。

 皇帝に目をつけられたらたまったもんじゃない。

 打ち首だー!とか言われそう。


 ま、なんとかなるだろう。

 なんとかなる…よね?






 ♢




 王都はやはり活気に溢れている。

 皇帝が来るのはもう少し後という話なのだが、一般人の俺が知る由も無い。


 それは置いといて、今は楽しむべきだろう。

 王都最大の大通りなんかは道の両側にたくさんの露店が出ていたり、大道芸をやっていたりで大賑わいである。

 いつもは通行人が大量にいてもあまり混雑しているように感じない大通りなのだが、祭りなのもあってか、人で溢れかえっている。


 こんな中、祭りを楽しんでいたら必ず迷子になる。

 とりあえずは、カナとリオと手を繋いでおく。

 カナー俺ーリオの並びである。

 これなら二人を見失う事もないだろうし、二人の要望も一番聞ける位置なので何かと都合がいい。

 あと、二人の手とても柔らかいです。


「まず何に行くの?」

「リオは楽しいのがいいー!」


 ざっくりとしすぎてわかんないんですが。

 俺も異世界の祭りなんて全然知らないんだよ!

 そんなに俺に期待されても困る。


「おうおう、そこの色男、両手に花とか羨ましいなオイ」


 後ろから声がかけられる。

 確かに両手に花なのは認めよう。

 でも、祭りなんだからいいじゃないかと文句を言おうと振り返ると、声をかけてきたのはシュウだった。


 ………こいつも何かやらかしそうで怖い。


「オイ、今何か変な事考えてなかったか?」

「いや、全然。それよりこの祭りの目玉とかってないのか?」

「目玉は騎士団の訓練場を使用した武闘大会とかだろ。優勝者には金一封だぜ。当然お前もーって話を聞け!」


 シュウに聞いた俺がバカだった。

 こいつは戦闘狂だった、戦闘以外に一定以上の興味を示さない変態だった。


「おい!女連れなら射的とか景品系がいいと思うぞ!」


 え?

 シュウがまともな事を言った?

 しかも結構的確かもしれない。

 ただ見るだけの物よりも実際にやるものは楽しいだろう。

 しかも景品、プレゼントとか出来る!


「よし、そこに射的があるから行ってみないか?」

「いいよっ!」

「射的、何が的なのかしら?」


 基本は景品を玩具の銃でーー

 バシュゥン!

 え?どう考えても銃の音じゃない。どちらかというと子供の音と光が出るような銃の音。

 て言うかこの世界に銃なんてないんじゃね?


 射的の看板を下げている店を覗くと、挑戦者は店から支給された簡易の杖を使用し、弱い魔力弾を撃ちたくさんある木でできた的に当て、一分以内に当てた数に応じた景品が与えられるようだ。


「私がやるわ」


 カナが興味を示しました。


「おっ、嬢ちゃんがやるのかい?一回二百セアルだよ」


 カナは屋台のおっちゃんに二百セアル渡し、杖を構える。


「じゃあブザーが鳴ったら開始だよ。制限時間は一分。頑張ってね」

「わかったわ」


 ブーーー!


 ブザーが鳴り、カナは魔力弾を撃ち出す。

 さすがのカナも魔力で

 店を壊す何て事はしないようだ。


 バシュゥン、バシュゥン、バシュゥン


 的に当たる音が連発。

 今のところ全弾命中である。

 店主もこれにはびっくりなご様子。


 景品全部持って行って出禁とかなりそう。


「お姉ちゃん上手だねー」

「いや、最早プロだろ」


 次々に的に当てていくカナ。

 周りにはギャラリーが次々に集まってくる。


 あの嬢ちゃん何もんだ?

 あの射的一定以上得点を得ると的が高速で動き始めて無理ゲーになるんだぞ。それをいとも容易く。

 ヤベェ、可愛い!好みにどストライクだわ。

 あんた私という女がありながら!

 いや、待て!誤解だあーーー!!!


 ギャラリーが騒いでいる。

 話を聞くにあの射的は途中から難易度が馬鹿高くなるらしいのだが、そんなの関係ない。

 あとなんか悲鳴が聞こえたけどそれも関係ない。


「残り五秒だな」

「もう終わりだねー」


 うん、終わりだねこの店。

 これまでパーフェクトのカナ。

 一体どれほどの景品が貰えるのだろうか?


 そして五秒。

 パーフェクトでこの射的を終わらせ、ギャラリーからも歓声が上がった。


「さて?何がもらえるのかしら?」


 カナは不敵にいつもの笑顔で放心状態の店主に問うのだった。


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