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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
三章 好敵手編
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好敵手

三章最終話です。

そろそろ物語も進めなきゃなー。

でも出したいキャラとかたくさんいるんだよなー。

 地龍アースドラゴンを倒した後、合体の反動で動けなくなった俺とシュウをカナが回収してくれた。

 地龍の死体はそのうち王都の騎士団辺りがなんとかしてくれるだろう。


 家に戻り回復魔法をかけてもらった俺とシュウは再び共闘する仲間から、ちょっと殺しあう相手に戻ったと言えるだろう。

 だが、その際に「ロキアが勝てない相手がいたらまず俺を呼べ」と言ってくれたのでただの敵同士という関係ではなくなった事は確かである


 しかし、またすぐに俺とシュウは殺し合うわけでもなく、合体の反動でしばらくの間激しい運動は禁止とカナに言われ、信用できないという理由で、制約の魔法までかけられてしまった。


 そして現在は家でカナに質問攻めされている所だった。


「で?あの変な合体?ってなんだったの?」


 カナはなんか魔法で俺たちの戦いの一部始終を見ていたらしく見た事のない事の連発で気になる事が沢山あるらしい。


「あれは俺とシュウの力が完全に合わさったら地龍の甲羅もぶち抜けるかなと思ってやって見たら意外と出来たんだよ」


 練習はすごい大変だったけど。

 一つの体に精神が二つ入るのだ、体の主導権をどちらが握るかで揉めたり、体がうまく動かなかったり、お互いの能力をうまく引き出せなかったりした。


「じゃあロキアの闇属性上級魔法は?ロキアのランクじゃまだ出来ないはずでしょ?」

「あれは、霊力で魔法を使う媒体的なものを作って、そのおかげで魔法が少し使いやすくなっただけだよ」


 魔法の杖を使うと威力や消費MPが減る的な感じのアレである。


「へー、中々考えたわね」


 そりゃそうだ。

 そうしなければ勝てない相手だったし、少しでも使える手札を増やしておきたかったのだ。

 その結果甲羅にヒビを入れる事が出来、最後の大剣の一撃で貫通までに至ったのだ。


「でも、なんであの最後の一撃で貫通出来たの?あの威力じゃ甲羅は貫通できても鱗で止められると思ったんだけど」

「あれはシュウが事前に刀で甲羅の一部に傷をつけといて、それを闇属性魔法でもダメージを与えて、貫通しやすくしておいたんだ」


 そうでもしなければ、あの硬い地龍を貫通なんてできなかっただろう。


「ふーん、色々頑張ったのね。地龍相手によく頑張ったわね」


 そうだろうそうだろう。もっと褒めてくれてもいいんだよ?


「お兄ちゃん!なんかシュウって人が来たよ!」

「来てやったぞ!ロキア、飯食いに行こうぜ」


 別に来てくれなど頼んでいないのだが。


「最後の質問、シュウとはどんな関係なの?」


 何だろう、敵同士?戦友?いや、違う。

 俺たちの関係をもっと正しく表した言葉は


好敵手ライバルってやつかな」


 カナは少し驚いたような顔をした。

 男というものは〜とか言いだしそうな顔でもあった。


「おら!ロキアさっさとしろ!」

「はいはい、今行くよ」


 家を出る時にシュウがおせぇよ!とか言って軽く殴って来たのでこちらも殴り返す。


 その瞬間、体が金縛りにあったように動かなくなる。

 カナの魔法の効果だろう。


 カナの方に目線をやると物凄い笑顔だ。

 でも目が笑っていない。

 デコピンは嫌だ!あれはマジで死ねる。


 数秒後金縛りが解けた瞬間に俺はシュウを置いて走り出す。

 シュウもなんか俺に文句を言いながらも走ってついてくる。

 シュウもカナの雰囲気と実力を理解しているようだ。


 王都に行く際、また競争みたいになったのは余談である。






 ♢




 王都、前回シュウに連れてこられた飲食店である。

 今回は、シュウのおすすめ候補だったらテリヤキハーピーとやらを頼んでみた。


「ようやくロキアもこの店の料理のうまさを理解したのか?ゲデものなんてないぜ」

「まあ、不味くはないんだけどカナの料理が美味しすぎるんだよな」

「あの女は反則だよ。なんでも出来るじゃねぇか。できない事とかないのか?」


 激しく同意である。

 カナの苦手なものとか、弱点とか何かないものだろうか。


「今の所そんな所は見られないんだよなあ」

「隠してたりはしないのか?」

「カナって天然なんだぜ?」

「隠せるほど器用じゃないって事か?」

「そうなんだよ」


 いつかはカナを出し抜いてやりたいとか思ったりするが、一体何年後になるかは想像もつかない。


「あの幼女も中々に器量よし、性格よし、実力もそこそこときた。お前の周りには、できる女しか集まらないのか?」

「かもな、でも周りができる女ばっかりだと男の立つ瀬がないんだぜ?」

「それもつらいな、ハハハ」


 笑い事じゃねぇよ!

 結構深刻な問題なんだぞ。

 俺の男としてのプライドとか。


「いっそ女になっちまえばいいんじゃねぇか?」

「絶対嫌だね」


 女にはならん。

 しかも、女になったら負けた気がするし。


 そんな何気ない話をしながら、昼食をすませた。




 昼食をすませ、腹ごなしに王都を適当にぶらついていた。

 すると、偶然か必然か到着したのは俺とシュウが出会った慰霊碑の前。


「ここに来たのは偶然か?シュウ」

「偶然だと思うか?必然だよ」


 ここは出会いの場所、とでも言うつもりなのだろうか?


「オレらはここで出会ったんだ。ここで終わらせてもいいだろ?」

「いや、カナの制約あるから戦闘できないって」

「ちげぇよ、俺たちの関係をはっきりさせようぜって事だよ」


 俺たちの関係?なに?好敵手じゃないの?

 俺は男色でもないよ。


「上下関係をはっきりさせようぜって事だよ」

「じゃ、俺が上だな」

「ざけんな、俺が上だよ」


 この議題について語っていたら絶対に戦闘に発展するだろう。

 カナの制約魔法かあるから出来ないのだが。


「制約が反応しない程度の戦いなら問題ないから大丈夫だぜ?」

「反応しない程度の戦いってなんだよ」

「軽い殴り合いだよ、魔法とか一切使わないな」


 さっきそれで金縛りにかからなかった?


「さっきは俺が身体強化使ったから止められたんだよ」


 という事は、どちらかが敵意を持って能力を発動させると制約の効果が発動するという事だろう。


「じゃあ、いくぜ?」


 いきなり殴りかかってくるシュウを流すようにいなし、蹴りを背中に入れる。

 が、足を掴まれ入らなかった。


「やるじゃねえか!」

「お前もな!」


 一度お互いに距離をとる。

 そしてお互い接近し、殴りかかる。


 お互いの拳がカウンターのように頰な突き刺さる。


 素の拳とはいえ、俺の体は魔族なのだ。

 威力は俺の方が上のはずなのにシュウは一歩も退かず、再び殴りかかってくる。


 それから始まるのは、戦闘技術のかけらもないただの殴り合い。

 先に倒れた方が負け、そんな感じである。


「「ハハハ、オレの方が強い!」」


 またもやカウンターのようにお互いの頬に突き刺さるーー瞬間に仲裁に入った人がいた。


「喧嘩をしていると通報があったので駆けつけた騎士、ルシアです。抵抗しなければこちらも手荒な真似はーーって、逃げるんですか!?」


 なんか長々と前口上を述べていたので二人して逃走を図る。

 流石に捕まるのは嫌だ。前科もあるし。


「なんかデジャヴだな」

「本当にな、毎回邪魔が入るぜ。上下関係はとりあえず対等って事にしといてやるよ」


 いつかのように二人並んで王都から全力で逃走するのだった。


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割と本気で言ってます。

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