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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
三章 好敵手編
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タッグ

いやーもう夏ですね。

皆様もお体に気をつけて下さい。


「「ぎゃあぁぁぁーーー!!!」」


 カナの家の外。

 いつもの修行の場所で男二人の悲鳴が森に木霊する。

 悲鳴の原因は美少女と幼女だと言うのだから情けない話である。


 だが、それもこの女二人を相手に戦っているのだからしょうがないのだ。

 うん。しょうがない。


「おい!シュウなんとかしろ!」

「流石のオレでもこれは無理だ!」


 俺たちはひたすらにカナとリオに背を向け逃げる。

 応戦なんてしていたら速攻で落とされる。


 後ろを振り向けばリオの氷槍アイスランスの雨と、カナの恐ろしい威力の魔力弾の壁。

 これは決して比喩などではない。

 それぞれがかなりの威力を持った魔法なのにもかかわらず面を作って俺たち二人を押しつぶしにかかってくる。


 シュウの魔法無効化マジックキャンセルを用いようとも数の暴力とは恐ろしいもので押しつぶされる。


 なぜこのような状況になっているかというと、地龍アースドラゴンを倒すためカナに修行をつけてもらうため、シュウと共にカナに頼み込んだ。

 その結果引き受けてくれたのだが容赦がない。


 カナが本気を出せば瞬殺なので手加減はしてくれているのだろうがそれでもキツイ。

 俺とシュウを瀕死の状態まで追い込んだ岩の雨の攻略と、圧倒的防御力に対する攻略法などを見つけ出すためにやっているのだが、進展の兆しが見られない。


 ひたすらに逃げ回っているだけである。

 リオとカナは笑顔で追いかけてくるのだから怖い事この上ない。


 戦闘狂であるシュウもこれには逃げる他取れる行動がなかった。


 男の意地を!

 などと言い立ち向かおうものなら潰される。

 男の意地など知った事ではない女二人は目標を潰しにかかる兵器と化している。


「ほらほら、お兄ちゃん。頑張ろうよぉ!」

「いや、めっちゃ頑張ってるからぁ!」


 逃げるのを頑張ってます。

 ほら、まずは様子見みたいな?


「ほら、そっちのお兄ちゃんの友達も!」

「いや、友達じゃねぇよって、危ねえ!」


 シュウもリオに手も足も出ず。

 タイマンならばリオ相手ならば勝ち目もあるだろうが、カナが加わり、更に魔法でゴリ押しとなるとこちらの勝ち目は薄い。


「よし、シュウ。あの弾幕の壁にお前の能力で穴を作れ!俺が突っ込む!」

「マジか!よしやるぞ。このままじゃ拉致があかねえ!いくぜ、オラァ!」


 よし、見えたぞ突破口!

 足に霊力を集め一気に穴まで跳ぶ。


 すると目の前にはカナが張った障壁が。

 あっ、止まれなーーー


「げふっ」

「ロキアーー!!ってぎゃああああ!!!」


 撃沈。


 地龍ってこんなに強かったっけ?

 もう少し弱かった気がするよ、ガクッ。





「オラァ!ロキア程度には負けねぇぞ!」

「ざけんな!お前の方が弱いだろ!」


 タッグが終われば今度は二人で模擬戦。

 カナが言うにはタッグを組むにはお互いを理解し合ってないといけないらしい。


 別にシュウの事は嫌いじゃないがなんかいつも張り合ってしまう。

 男同士の意地の張り合いというやつになってしまう。


 リオには喧嘩するほど仲が良いんだね!

 とか満面の笑顔で言われてしまった。


 仲がいいというわけではないんだよなぁ。


「おいおい、お前は戦闘中に考え事でもする趣味があんのか?」

「うわっ!あぶねぇな、致命傷になるような攻撃は禁止だぞ。」

「ぼーっとしなけりゃ避けられるような攻撃だったろうが」


 それもそうか。意外とその辺考えているやつだという事が最近わかってきた。

 男同士だから気も使わなくていいから楽なんだよな。


 カナとかすごい無防備だし。

 生活面とか健全な男子がいるのにも関わらず無防備だからな。

 目のやり場に困ったりするわけですよ。


「だからお前は考え事が趣味なのか!」

「ちげぇよ!作戦を練ってただけだし!」


 ここからは俺もギアを上げて模擬戦の方に集中していく。


 振るわれる刀をスウェーで避け、鎌で攻撃。

 それを二本目の刀で防がれると同時に、俺は鎌を手放し、霊力で新しい鎌を即座に生成。

 そこから再び斬りかかるがシュウも後ろへ跳び回避。


 そこからは何度も刀と鎌を打ち合い続ける。

 先にへばった方が負け。

 そんな意図が打ち合いを通して伝わってきた気がした。


「ねーねーカナお姉ちゃん。なんかお兄ちゃん達が生き生きしてるよ」

「そうね、好敵手を見つけたとかそんなかしら」


 長く続いた打合いもカナの昼食出来たわよという宣言で即座に終了した。




「いや、やっぱこの女の作るメシはうめぇな」

「俺がこの世界で一番の料理を選べって言われたら、迷わずカナの手料理って答えるぞ」


 そんな会話をしながらも料理を口に運び続ける。

 今日は家に戻ってる時間ももったいないという事で、修行場で座り、カナが作ってきたサンドウィッチを食べている。

 中の具は相変わらず不明なのだが美味しければ問題ない。


 もぐもぐとサンドウィッチを食べていると、横からひょいとリオが出てきた。


「どうした?リオ」

「あのね、これ、リオが作ったの。お兄ちゃん食べてくれる?」


 そう言って差し出してきたのはカナの作った物よりは不恰好だが、しっかりとしたサンドウィッチだった。

 それを見た俺の答えは当然


「もちろん!」


 即答である。

 いや、リオが作ってくれたものだったら美味しくなくてもいくらでも食べられるよね。


 リオからサンドウィッチをうけとり口に運ぶ。

 リオは感想が気になるのかものすごくそわそわしている。


「どう?」

「めちゃくちゃ美味しいよ!」

「ほんとっ!やったぁ!」


 可愛い。

 満面の笑顔でピョンピョン飛び跳ねている所も可愛い。

 興奮していつもはしまっている尻尾と耳が出ている所もまた可愛い。


 横でシュウが幼女趣味か!

 とかほざいてるが関係ない。

 可愛いは正義だ!



 午後もひたすらに修行。

 午前だけで相当な疲労が蓄積されているが気合いで乗り切る。


 やる事は午前と変わらずまたあの魔法の雨の中をかい潜り近接戦闘に持ち込まなければいけない。


 午前は弾幕はかいくぐったものの、その先の障壁に行く手を阻まれ撃沈。

 シュウは弾幕の壁に穴を開けた事で逃げ遅れ撃沈。


 これでも相当に頑張った方なのだがまだまだ甘いという事なのだろうか。

 俺たちには決定打というものがない。


 普通の相手ならば、そこそこダメージを与えられるのだが、地龍のような圧倒的防御力を前にするとこちらは無力。


「で、どうする?シュウお前がビームとか出してなんとか出来ない?」


 後ろから迫り来る魔法の雨の中呑気に会話をするくらいには余裕が出てきた。


「俺は魔法がからっきしなんだ。剣一筋だから」

「じゃあ斬撃を飛ばしたり」

「出来ても火力の問題は解決しないだろ」


 出来ないとは言わない所がすごい。

 俺もなんか魔法と組み合わせれば飛ぶ斬撃とか出来そうな気がする。

 カナの障壁や地龍の甲羅を突破出来るくらいの高火力。


「シュウなら、主人公補正とかかかりそうなんだけど」

「なんだそれ?」

「なんでもない。それより俺の剣に斬れないものなどない!とか出来ないの?」

「出来ないな。でもいつかやりたいな」


 どうしよう。こんなぐちぐちやってたら追いつかれる。

 早くなんとかしなければ!




 十分後、結局何もできずにやられました。


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