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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
二章 王都編
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平穏

二章最終話です。

 再び勃発しかけた戦争も終わりを告げ、平和な毎日が戻ってきた。

 それでも冒険者ギルドの雰囲気はしばらくは暗いままである事は確かだろう。


 戦争を止めたのは表向きには氷神滅狼アイスフェンリルという事になっている。

 実際はカナが無双したという話なのだが見ていなかった俺にはよく分からない。

 わかる事といえばカナがチートという事だけだろう。


 氷神滅狼達はカナの魔法陣を無理やり作りだすという強引なやり方で元いた場所に帰した。

 リオはその際、氷神滅狼の群れから離れ俺たちと共に暮らす事を宣言。

 狼の姿で涙ながらに抱き合い別れを告げていた。


 全てが元に戻ったというわけではないだろうがこの件は終わりを迎えたと言っていいだろう。


 気になるのは転移を使う男が言っていた汚れた国という言葉。

 別に俺には関係のない事なのだが気になって仕方ない。

 それをカナに聞いても分からないそうだ。

 カナもこの国に深く関わっていたというわけでもないので可笑しくもないだろう。


 カナが言うにはネラさんなら知っているかもという話なので今度行った時に聞いてみようと思う。


 戦闘面ではまたもや油断してやられたのを猛反省。

 どんな相手だろうと手加減せず徹底的にぶちのめすという戦闘方針に変え今もなお修行中。

 カナやリオにも模擬戦などを手伝ってもらっている。

 リオもやっぱりかなり強い事がわかったりして俺が自信を無くしたりなどいろんな事もあった。


 それでも楽しくやれていればなんでもいいと思う。

 俺はこの世界で男の夢(ロマン)を実現したいだけである。

 力はそれを実現するための手段の一つすぎない。

 力が足りなくても他でカバーすればいいだけの話なのだ。



 なーんて事を考えながら夜中にカナの家の外に出て考えていた。

 外とは言っても本当に家のすぐ側なのですぐに戻れるのだが。


 空を見上げれば日本では滅多に見られないような綺麗な星空。

 こんな風景が俺が異世界にいるんだなと実感させてくれる。

 一度戦闘なんて全く必要のない場所でこんな綺麗な風景を巡ってみたいものだ。


 最近は自分の家が恋しくならない。

 今の時間が充実しているのだろう。

 実際、勉強やらなんやらの毎日よりもカナやリオと過ごしている毎日の方が楽しく感じる。


『自分の家、か』


 俺はカナに弟子入りしているから、居候させてもらえているだけ。

 いつかは出て行く時が来るのだろう。

 そんな時、カナとリオはどんな顔をしてくれるだろうか?

 悲しんでくれるだろうか?だったら嬉しいなあ。


「なにしているの?」


 聞きなれた声に振り向く。

 そこにはパジャマ姿のカナがいた。

 なんとも可愛らしい姿である。


『いや、なんでもないよ。起こしちゃったか?』

「いえ、別に。寝れなかっただけよ」


 そこから沈黙が生まれる。

 お互いなにをしているわけでもなく、ただ黙っているだけである。


 夜中に吹く風が少し肌寒い。

 周りの木々が揺れる音がよく耳に届く。

 幽霊の体で、墓地にいては感じられなかったこの感じ。

 沈黙すらも今はどこか心地いい。


 唐突に沈黙は破られる。


「ロキアは、私と居て楽しい?」


 いったいどうしたと言うのだろうか。

 そんな事聞かれなくても答えは決まっている。


『当たり前だろ。』

「本当?ならよかったわ」

『カナ、どうしたんだ?』

「少し私一人だった頃を思い出してね」


 それで自分といても楽しくないんじゃないかーとか思ったのか?

 バカらしい。

 カナにしてはネガティヴな発言だ。


『カナと毎日一緒にいられて楽しいし嬉しいよ。こんな毎日がずっと続けばいいと思っている』

「私もよ」


 今が充実しすぎて失うのが怖い。

 大切なものが出来たからそれを失う事がいつか来るかもしれない。

 それが避けられない事なのだとしたら、せめて今を楽しむくらい許されるだろう。


「さて、もう寝ましょうか」

『そうだな』


 そう言って二人寝室へ戻る。

 気のせいか、少しカナとの距離が縮まった気がする。







 ♢




 シクラ帝国。

 カーラルというこの世界最大の大陸に存在する国だ。


 今回のリクレイフィアを狙った戦争を仕掛けたのもこの国である。

 その国の王城にて不穏な会話がされていた。


「やはり、もっと戦力と資金を集めてでもリクレイフィアを潰すべきでは?」

「いや、この間の進軍も報告によれば大敗だそうではないか。ここは一度様子を見るべきでは?」

「わざわざ汚れた国を視界に入れる事もあるまい。無視すればいいのではないか?」

「こちらは手を出さず周りの国に攻めさせるか?」


 国王や大臣、騎士団団長など様々なお偉いさん方が集まり、夜遅く城の客間で会議をしている。

 話の内容的には物騒な事であるのは間違いないだろう。


「千もの兵を送って負けとなるとそうそう手を出せるような相手ではないだろう」

「いや、今回は何か天災に見舞われたというような報告もあった。二度目は大丈夫では?」


 意見こそ違うものの、根本は変わらずリクレイフィアに対しての動きについての話し合いのようだが、話し合いは停滞したままである。


「ならば勇者召喚の儀式を執り行い、勇者に国を滅ぼして貰えばいいのではないか?」

「たかだか国一つに勇者召喚など事を大きく見過ぎではないか?」

「リクレイフィアはいずれ大罪を犯す。その前に滅ぼしておかなければいけないだろう」


 シクラ帝国にとってリクレイフィアは悪であるようだ。

 本来ならば魔王のような者が現れ、手に負えなくなった場合のみに限り行われる勇者召喚の話まで持ち出すのだからよっぽどだろう。


「我が国も、財政が潤っているわけではない。そのような大きな行動はまだ実現不可能であろう」


 確かにと頷く者たち。

 そこで納得するところからして、今はまだ急ぎの案件ではないらしい。


「リクレイフィアについては一時保留だ。次は一人の女に我が軍が壊滅させられたという報告も来ていた。これが本当ならば各国が引き抜きに行くだろう。引き込まれれば各国のパワーバランスが一気に崩れかねない。早々に調べが必要だろう」


「「「「賛成」」」」


 今度は一人の実力の高い女の話になった。

 討伐、引き入れ、封印などなど様々な案が出される。


 ・・・その女が見ているとも知らずに。




「ふーん、私とロキアの平穏を壊そうとしたかと思えば反省の色も見られない。もういっそ帝国潰しちゃおうかしら」


 寝室で恐ろしいことを妖艶な顔で言い放つ彼女に恐怖した幽霊がいたとかいなかったとか。

とりあえず、キリがいいので、テスト勉強のため一度更新を止めさせていただきます。


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