表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
二章 王都編
21/82

戦争阻止

すいません。

今回は少し短めになってしまいました。

なにぶん急ぎで書いたものですから。


 戦争とはどうして起こるのだろうか?

 世界平和なんてものを地球も掲げてはいたものの実現された試しはない。

 それは人が自らの欲望に忠実であり逆らえないからであろう。

 増えすぎた人口のため土地を欲し、食料を欲する。

 そしてそれが尽きないように他の国から巻き上げる。

 負かした国からは金と人を巻き上げ働かせ自分たちは楽をしたい。

 敗戦国はその国に負け苦しい思いをする事で憎しみが増えクーデターを起こすため力を蓄える。

 そんな欲望が渦巻いているから戦争は終わらないのだろう。


 それは異世界においても同じ事なのだろう。

 動機は分からずともそれに近いものである事は確かだ。

 世界平和など理想の究極形に過ぎず理想は届かないからこそ理想なのだ。


 夢は叶えるためにある?

 理想は実現するためにある?

 確かにそうかもれない。

 だが多くの人々はその途中にある大きな壁に阻まれ挫折していく。


 そんな人の弱さがこんな惨状を作り出してしまっているのだろう。





「迷宮で転移魔法の発動準備かなんかに使う魔力が感知できた。そろそろ転移が始まる。リオはカナと"みんな"のところまで行って止めてきてくれ。俺は主犯を叩く」


 そんな事を言ってカナの家をでてきた。

 向かうは迷宮。

 クレストの体の身体能力を駆使して駆ける。

 時間帯は昼。

 王都は活気にあふれていてこれから戦争など夢にも思っていないだろう。

 止めなければ平穏が消える。


 犯人はどうして外套を店に売った?

 店主の印象に残ってしまうような美人。

 顔は隠しておくべきだろう。


 どうしてわざわざ王城で働きに来た?

 顔を覚えられてしまうだけではないだろうか?


 これらは全てフェイクではないのだろうか。

 自分の部屋にこもって外套の匂いなどを調べてみた。

 結果は女の匂いと言うよりは硬水の匂いだった。

 顔を覚えられるような事をしたのは素顔を隠すためのフェイク。

 臭いの残るような事をしたのは嗅覚の鋭い神滅狼を欺くために仕向けたのだとしたら?

 犯人は男なのではないだろうか。


 迷宮に到着し魔力の発生源へ向かう。

 俺が迷子になってしまった場所まで着くとなにやら呪文詠唱しているローブを着た体格からして男だとわかる人が一人。


「あの、すいません。道を教えて欲しいんですけど。そこの銀髪の人」

「え?あっ、いやすいません私も迷ってしまって」


 ビンゴ。

 ローブをかぶっていてあまり見えないが髪は黒。

 しかも口調が女になってしまっている。

 声は野太いのに。


「中々面白い喋り方をする人ですね。男の声なのに女口調なんて」

「ああ、いや仕事場でなんか女装とかさせられてるもので癖で」


 どんな仕事だよ!

 しかも癖って相当ヤバイ域にまで達してるだろ。


「見た感じ髪の色は黒なのに銀髪で反応したのは?」

「それもカツラを被らされてたからつい」


 あくまで嘘を突き通すつもりらしい。


「道に迷って何の呪文を詠唱していたんですか?」

「この迷宮の構造をつかむために魔法の発動をしようとしていたんですよ」


 迷宮の構造を掴む程度なら詠唱などしなくても魔法の発動は出来る。


「転移魔法とかあればいいんですけどね」

「ッ!なぜいきなりそんな事を?」


 転移魔法という言葉に反応した。

 やはりこいつが氷神滅狼アイスフェンリルを強制転移させた犯人。


「そういえば、最近この迷宮に氷神滅狼が出るという噂知りません?」

「・・・知りません」


 フードの中から見える男の顔つきが変わった。

 俺の目的に気づき始めたのだろう。


「氷神滅狼を強制転移で無理やり連れてきた人がいるとか」

「くそっ!《炎槍ファイアランス》」

 

 火属性魔法中級の炎槍。

 それが三本。

 リオの氷槍アイスランスのほうがすごかったな。


 跳躍し、壁を蹴り槍を回避。


「どうしたんですか?いきなり」

「舐めやがって」


 男はローブの中から長剣を取り出し構える。

 俺も霊力で鎌を作り臨戦体制。


「氷神滅狼はどこにいる?」

「ふん、知らないね」


 簡単に口を割ってはくれないようだ。

 敵の主戦力は氷神滅狼だけというわけでもないだろう。

 なので出来るだけ早くこいつ片付け、王都の方に向かいたい。


 だがこの男、魔法はいまいちだったが剣の腕は中々にある。


「だが、クレストほどではないっ!」


 相手の剣を弾き体制を崩す。

 そこに鎌の柄で腹を殴る。

 刃物ではないので出血はしないがそこそこ痛いはず。


「ちっ、あまり使いたくなかったんだがな」


 男がなにやら詠唱を始める。

 とりあえず止めよう。


「させるかっつーの」


 詠唱に集中して無防備な男に鎌を振り下ろす。

 しかし、当たる寸前に発光、男は消え鎌にも手ごたえがない。

 瞬間、背中に焼けるような痛みと、剣で斬られたような痛みが走る。


 しまった転移魔法か。

 詠唱が短いのは転移する距離と人数の問題だったのだろう。


 完全に油断していた。


「とりあえず口封じに殺すかね」


 やっべー。

 これは死ぬって。

 体動かねーし。


「死ね」


 振り下ろされる剣。

 俺の体に刺さるーー前に男の体に俺の槍に変形させた幽霊の腕が男の胸を貫く。


 とっさに憑依を解除し動かない体を抜け、幽霊の体で、死に損ないの俺を殺そうと油断しきっている相手の隙をついたそんな感じだ。


 いやー死ぬかと思った。

 最近は戦闘で幽霊の方は使ってなかったからな。

 危ない危ない。


「ゴフッ。くそっ!せめてこれだけでも」


 男は手を伸ばし最初に転移魔法の詠唱をしていた場所に手を置く。

 すると、魔法陣が現れ発光。


「ハハッ、これで転移は完了だ。帝国が仕向けた千を越える兵も送られる。リクレイフイアも終わりだな。こんな汚れた国は早々に滅んでしまえ!」


 そう言って意識を失う男。

 放ったおいても出血多量で死んでしまうだろう。


 汚れた国とは一体何の事だろうか?

 リクレイフィアを襲った原因も多分それの事だろう。

 汚れた国?

 国民はそんな感じではなかったし気にもしていないだろう。

 また新しい謎が増えてしまった。

 俺、頭脳系は苦手なのに。


 それはともかく、氷神滅狼の転移はされてしまった。

 俺も王都に向かいたいところだが、今は昼間。

 幽霊の体じゃ外に出られないし、体の傷は結構深い。

 魔族の体は自然治癒能力を持っているが、まだ動けるようになるまでは時間がかかるだろう。


『くそっ、肝心なところで動けないとか意味ないじゃねえか』


 俺の呟きは迷宮に反響し消えた。



そういえば霊体になれば迷宮の壁とかすり抜けられるんじゃね?とか今更ながら思いました。

ワスレテナイヨ?

次回はカナの視点です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ