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転生したら幽霊だったのだが  作者: 白乃兎
一章 邪神族の墓地編
2/82

めげずに頑張る

少しずつ話を長くしていきます。

 幽霊とはなんなのだろうか?

 死んだ人の未練が精神だけを分離させて、あの世に行かずにさまよっている者?

 人には見えず人知れず何かをしている?


 それならば、未練を残し続けたまま一生成仏する事が出来ずにこの世にとどまり続けるのではないのだろうか?

 それとも未練をなくすために神が与えた力が"憑依"や"ポルターガイスト"なのだろうか?

 そんな力だけで人の欲望に満ちた未練すをなくす事が出来るのだろうか?


 いや、出来るはずがない。

 異世界の多種族は知らないが、少なくとも人間は欲望に満ちている。

 未練が無くなると同時に新たな願いと言う名の欲望に満ちた未練が出来る。

 神がいるならば、そんな不確実で、ただ尽きることのない欲望を満たすための力など与えるわけがないのだから。


 ならば、憑依やポルターガイスト等の超能力のような力はどうなる?

 人が考え出した、ただの幻想?

 いや、異世界がある時点でそれはないだろう。

 おそらく、この力は魔法とは完全に別物。

 なら何だ?幽霊だけにある力?

 それもない。なぜなら元は人間なのだから、幽霊に使えて人間に使えないなどおかしいではないか。


 考えれば考えるほど、答えがわからなくなるようで、いつまでも同じ事を考えさせるような無限ループになる。

 しかし、これらは必ず一つの答えにたどり着くのだ。


 これも、強欲な人間が死んでもなお何かを求め続けたことで、発現するものではないかと。

 死に際に今までに溜め込んだ欲望が一気に溢れ出し、適正があり、死霊へと変わった人が得る力なのではないかと。


 ならば、俺にもあるはずだ。

 転生だか、憑依だかは知らないが、幽霊になったこの体。

 ステータスにもあったように、力が使えるかもしれない。

 これは、願いと言う名の欲望を力にしたものである。

 俺にも欲望だって願いだってある。

 それはきっと異世界に来て大きくなったはずだ。

 《ポルターガイスト》出来るはずだ。

 物が勝手に動くという不思議な現象。

 これが幽霊の仕業なのだとしたら、俺にもできるはずだ。

 大きな物でなくていい。小さな石程度の物でいいのだ。

 ただ、この意味のわからない異世界で、ほんの少しでも希望が持てるような力が俺は欲しい。

 ひたすらに念じる。

 動け 動け 動け 動け 動け 動け 動け 動け動け 動け 動け 動け 動け 動け 動けよ!


 ただひたすらに念じた。

 この最悪な状況から、少しでも希望が持てるように。

 こんな状況があったからこそ、今が幸せだと言い張れるようになるために。


 どれくらい念じただろうか?

 一時間以上は過ぎているような気がする。

 そんなことを考えていると俺の念じていた石に変化があった。

 砂の粒のような大きさの小石ではあるのだが浮き上がった。それもかなりの数が一度に。

 これは風などで浮き上がったのではない。

 完全に俺のポルターガイストで五十センチほど浮き上がり、空中で停止している。


 異世界へ来て初めて嬉しい気持ちになったかもしれない。

 しかし、この程度では満足は出来ない。

 どうせこの世界には弩級のチート達がいるのだろう。

 この墓地の邪神族の墓地と言う名前からしてもう邪神族とか言ういかにもチート級の奴らがいることが確定しているのだ。


 つまり、俺も一般人からは見えないとはいえ、自衛ができる程度には力をつけておくべきなのだ。

 異世界転生モノは最近では俺TUEEEE!のチーレムが主流になっているが、その物語の主人公がチートだから成り立っているのであって、弱ければ全く話にならないのだ。


 そういうわけなので、今度はもう少し大きな石に挑戦する。

 それが出来たらまた一回り大きな石へ。

 抜きん出た才能よりも地道な努力!俺の両親にいつも言い聞かされていた。

 自分の才能に酔っている奴よりも、毎日欠かさずに努力し続けた奴が何事にでも対応できる。

 今まではそんな事はうるさい親の小言だと受け流して来たが、今は状況が違う。

 藁にもすがりつくような思いでいろんな事を試していく。






 ♢




 どれくらい時間がたったのだろうか。

 幽霊の体になってから時間というものが俺にはわからなくなってきた。

 周りは常にくらい墓地。

 腹は減らず、尿意も起きない。

 もうとっくに一週間くらいは過ぎているのではないだろうか?

 しかし、これはかなり大きな利点だ。

 疲労すら感じないこの体、つまり休憩、睡眠がいらない。

 一つの事に永遠と集中していられるのだ。

 その結果、俺のポルターガイストはかなりの重さの岩をも持ち上げる事が出来るようになり、目的に向かって飛ばす事も出来るようになった。

 心なしか体が前よりも軽い気がする。


 そろそろ戦闘を考えてもいい頃ではないだろうかと思う。

 そこら返のゾンビくらいには勝てるような気がする。

 なので、もう一度ステータスを見ることにする。


 《ステータス》


 名前:ーーー

 種族:幽霊◀︎

 ▶︎種族説明:少しは強い幽霊。不思議な心霊現象はこいつの仕業。疲労を感じず食事もいらない。一般人には見えず、ポルターガイストや憑依が自由に使える。物理攻撃が効かない。

 称号:邪神族の墓地の孤独幽霊ぼっち◀︎

 ▶︎称号説明:他の生物よりも存在感が薄くなる。任意発動。

 クラス:死霊使い◀︎

 ▶︎クラス説明:かなりレアなクラス。屈服させた死霊の生前、死後の能力が使用可能になる。また、その死霊の四分の一の身体能力を低確率で受け継ぐ。



 おぉぉ!少し変わってる。

 相変わらずレベルはわからないが、種族のところが変わってる。

 これは、レベルのようなものがあり、それによってステータスに変化があったということだろう。

 これはいい。こういうシステムならば努力は裏切らない。

 伸び悩む事はあっても結果が全然出ないなんてことは無いだろう。

 異世界に来たことで全てを失った俺にも努力でなんとか出来るかもしれない。


 これならゾンビとも戦えるかもしれない。

 ゾンビがどの程度強いかはわからないが、所詮はゾンビだろう。

 俺のように、なりたてのゾンビとかを探して少しずつ強い敵と戦う感じでいこう。




 幽霊の数少ない利点の一つ、飛行で三メートルほど飛び、早速弱そうなゾンビを探す。

 ふと思ったのだが、この墓地には変な生き物がたくさんいる。

 体のでかいゾンビ、剣を持ったゾンビ、ムキムキなゾンビ、動く骸骨にでかい蝙蝠、さらには漢のゾンビまでいる。

 変なゾンビ率高っけーなおい。

 ん?あれは普通のゾンビ!

 あれは多分弱いはず、他のゾンビとは違って千鳥足でロクに歩くこともできていない。

 あれならいけるだろう。


 称号の“邪神族の墓地の孤独幽霊ぼっち”を発動させ、存在感を薄くして近づく。

 ポルターガイストで人間の頭くらいの大きさの岩を持ち上げ、ゾンビの頭目掛けて飛ばす。


 すると当たる直前にゾンビがこちらを向いたのだが、こちらの岩を避けられずに直撃。

 やったか?

 と思ったらすぐに立ち上がる。

 やはりゾンビ、かなり頑丈なようだ。

 今度は手のひらサイズの石を沢山飛ばす。いわゆる飛礫つぶてと言うやつだ。

 ゾンビは全ての石に当たり体制を崩され転ぶが、またフラフラと立ち上がる。


 これは・・・ゾンビって死なない?

 まぁもともと死んでるからゾンビなのだが、ゲームなどではしっかり死んでくれるからいけるとおもったのだが無理だったようだ。


 そんなことを考えている間にゾンビが俺の正面に来ていた。

 ゾンビは手を振り上げて攻撃体制。

 ゾンビは生物のリミッターを外している状態なので力はかなり強い。

 体が硬直する。危険に直面したというのに体が言うことを聞いてくれない。

 そのまま、ゾンビの手が俺に振り下ろされた。



 ・・・そうだ、幽霊って物理攻撃効かないんだった。

 どうしよう?これは永遠に終わらないパターンだろう。

 とりあえず、ポルターガイストでその辺に刺さっていた十字架のようなものを飛ばしゾンビに刺す。

 すると、刺さった部分からゾンビの体は蒸発するように消えていく。


 死霊は聖なるものに弱いとかそういう感じか。

 なら、俺にも効果があるということだ。

 少し危険を伴うが、この墓地はゾンビのような死霊族アンデッドの魔物が沢山いるので、ポルターガイストで常に持ち歩くようにしよう。


 ゾンビが完全に消えたところで俺の体に何かが流れ込むような感覚。

 そして脳内に《限界突破リミットブレイク》を習得しましたという言葉が浮かぶ。

 これはゾンビの体のリミッターを外す能力?

 と言うことは、これがおそらく死霊使いの能力なのだろう。

 屈服させるの定義がよくわからないが、相手を倒すことで能力を得ることが出来るようだ。


 これならば敵を倒せば倒すほど強くなる。

 と言うことはいつかは最強になるのではないだろうか?

 いや、これは話が旨すぎる。

 旨い話にはデメリットがつきものである。

 《ステータス》の魔法に《制限解除》を使用すれば、より詳しくわかるのではないだろうか。


 《ステータス 限界突破》


 名前:ーーー

 性別:男?

 種族:上級幽霊◀︎

 ▶︎種族説明:かなり高位の幽霊。今までの幽霊の特性に加え、強い念動力のようなポルターガイストを使う。

 称号:邪神族の墓地の孤独幽霊ぼっち◀︎

 ▶︎称号効果:他の生物よりも存在感が薄くなる。任意発動。

 ランク:D◀︎

 ▶︎ランク説明:Dランクは一般人にとっては危険な魔物レベル。初心者冒険者等の殲滅対象。

 クラス:死霊使い◀︎

 ▶︎クラス説明:魔物限定のかなりレアなクラス。屈服させた死霊の生前、死後の能力を得る。死霊の生前の全盛期の四分の一の身体能力を低確率で得る。

 固有能力:念力ポルターガイスト憑依、限界突破 ◀︎

 ▶︎残り容量キャパシティ:五※容量を越えると固有能力がリセットされる。容量はランクに比例する。



 おぉ!かなり詳しくなってる。この世界はレベルではなくランクで強さを判別するようだ。

 自分の事なのに全然知らない事が沢山あったな。

 死霊使いのクラスは魔物限定。

 つまりは、俺は魔物になってしまったという事だろう。

 固有能力の容量を知れたのもかなり大きい

 まだまだ俺は弱い魔物らしいが、物理攻撃の効かないこの体なら、どんどん強くなれるはずだ。


 異世界に来てやっと希望が持てた気がする。

 これなら男の夢の一つ、ハーレムも実現出来るかもしれない。

 そのために、魔王を目指してみるのもいいかもしれない。

 魔物には魔物なりのそれらしい生き方というものがあるのだ。

 最初は早く家に帰りたかったのだが、この世界で何かを極めるのもいいかもしれない。

 日本では平凡だった俺がこの世界で特別になれるかもしれない。


 だったらやってやる。

 ファンタジーの世界に来て全てを失って絶望しかけていた状態から這い上がってやる。

 妖怪ですらないただの平凡な幽霊から這い上がってやる。


 その時、俺の脳内に文字が浮かび上がってきた。




 上級幽霊から『死霊』へ種族変更されました。



幽霊が魔王・・・無理じゃね?

誤字脱字等ありましたらご報告ください。


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