テンプレ
二章開始です。
楽しんで行ってください!
籠の鳥とはどのような気持ちなのだろうか?
籠の中が自分の世界。
そこ以外を知らないからそこで生きる。
同じ景色を見続け、死んでいく?
籠の鳥は何も思うところはないのだろうか?
外に出たいと思わないのだろうか?
狭い世界から外に広がっているであろう広い世界に行ってみたい、そうは感じていないのだろうか。
邪神族の墓地の外の世界へ出てきましたー。
外の世界とは言ったものの、カナの家は人が入らないような深い森の中。迷いの森と言うそうだ。
もっと栄えている街の中とかだと思っていたのだが、がっつり森の中。
まあ俺とカナの二人で暮らすには丁度いい感じのログハウスだった。
家の中に入ってみると、物がたくさん置いてあってごちゃごちゃ、もしかしてカナって掃除できないーー何て事もなく、とても綺麗でしっかり掃除されているのがわかる。
家具も一般的なものは全て揃っている。
冷蔵庫のようなものもあってこの世界も意外と科学が発展しているのかなと思ったら、氷属性魔法をカナが定期的に突っ込んでいる箱でした。
まぁ、電気は使っていないが冷蔵庫ではあるだろう。
風呂や、台所もあるが、全部魔力で動かすもののようだ。
ファンタジーの世界で科学が発展していないのはよくある事なので納得しておく。
「ロキア、あなた何か必要なものはあるかしら?」
『うーん、クレストの体に合う服と、食べ物ですかね』
クレストは服を着てはいたが、俺との戦闘でボロボロになってしまったので、ほぼ半裸の状態なのだ。
食料もまだ、よくわかっていない。
「食べ物は普通に栄養が取れればなんでもいいわよ。服に関しては私が一着作ってあげるから、後で王都に買いに行きなさい。それくらいなら金は全然出せるわ」
なんという、カナは裁縫まで出来ると言うのか。
まさに完璧超人。
見た目よし、性格よし、家事は完璧ときた最早嫁になってもらう他ない。
『もういっそ結婚してください』
「私はそんなに出来た女じゃないわ」
いやいや、カナができた女じゃなかったら他の女はゴミ同然だっつーの。
告白の方も軽く流されてしまった。
やはりムードは大事なのか。
「とりあえず今家にある布地で一着作るから、サイズを測るわよ。憑依して」
『了解。《憑依》』
クレストの肉体に憑依する。
もう何度もやっているので慣れたものだ。
「じゃあ腕を上げて」
カナはメジャーを持って言ってくる。
腕をあげると、メジャーを俺の胸に抱きつくように後ろまで手を回してくる。
その際、カナの大きな双丘が当たるのだが、黙っておこう。
カナさんそんなあなたの無意識な行動がたくさんの男子を虜にしていくんですよ。
気を付けてほしいです。
そんなこんなで、サイズを測り終えるとカナは布を持って縫ったり切ったりし始めた。
ものすごく手際がいい。
俺は別にオシャレなどを気にした事がないので、服などはよく分からない。
だが、少しずつ出来上がっていく服を見ていると、自分が今まで来ていた服がただの布切れのように思えてくる。
本当に万能ですねカナさん。
もうハーレムとかどうでもいいんで結婚してくれません?
「出来たわ。ちょっと着てみて」
早い。
作り始めてから一時間くらいしか経っていないのではないだろうか。
渡された服を着てみると見事なフィット感。
見た目もそこまで派手ではなく、黒を基準としたパーカーのようなもの。
ズボンは膝下くらいまでの裾が短めの物。
意外と普通だが、普通ではないところもチラホラ。
まず重さを感じない。
何も着ていないようにすら思える軽さ。
これは素材の問題なのだろうか?
次に抜群の動きやすさ。
ぴったりのサイズなのに腕も足も違和感を感じない。
手縫とは思えないほどのぴっしりとした仕上がりに、早さ。
服屋でも開いたらどうです?
「ありがとう、大事にするな」
「別に適当に作ったものだからいいわよ。もっとしっかりしたものを買ってきなさい」
「これよりいいものなんてそうないと思うぞ」
久しぶりに、念話を使わず言葉を発したと思う。
やはり人との会話は寂しさを感じなくていい。
♢
王都へは、限界突破したクレストの体で走って五分と言ったところだろうか。
クレストの体はやはり元邪神なのもあり圧倒的な身体能力を持っていた。
王都は門が東西南北に一つずつあり、それぞれに関所のようなものがあった。
身分の証明などは出来なかったが、テンプレだったので、途中で盗賊に終われたとか言って誤魔化しておいた。
この後に冒険者ギルドとかへ行って証明書を作ってこよう。
王都の町並みは西洋風で道幅は広く、人通りも多い。
露店等もかなりの数出店していて賑わっている。
まさに王都といった感じだ。
流石はファンタジー、裏切らないな。
まずは冒険者ギルドのようなところへ行き身分証明書のようなものを作りに行こうと思う。
しかし、王都についたはいいが道を全く知らないのでどうしようもない。
王都はかなり広く、しらみつぶしに探していたら日が暮れるどころか一日中探しても回りきれないほど広い。
「どうやらお困りのようね、道案内してあげましょうか?」
後ろから声を掛けられた。
ヒロインきたーーと思ったが、聞き覚えがあるどころか、さっきまで一緒にいた声。
カナである。
「ああ、頼む。道がわからないんだ」
「こういうのは男がエスコートするものなのだけどね」
「デートみたいだな」
さっき振られたばかりなのにも関わらずそんな事を言ってみる。
「あら、嫌かしら?」
意外な反応が返ってきた。
これは脈ありですか?
勘違いしちゃいますよマジで。
「いや、カナとデートとかちょー嬉しいな」
「フフッ、さっきのプロポーズといい、嬉しい事言ってくれるじゃない。あまり女性にそんな事言って回るものじゃないわよ。あまりお世辞に聞こえないから」
だってお世辞じゃないもの。
本気で言っているのだがカナには冗談だと受け取られたようだ。
その場の雰囲気とはやはり大切だ。
朝っぱらに告白するのと、夜星空の下で告白するのとの違いが分かりやすい例えだろう。
「それで?服屋に行くの?」
「いや、まずはギルドとかに行こうと思って」
「どうして?」
「そりゃー門番とかに身分の分かるものを示せないと困るからーー」
そういえばカナはどうやってあそこを抜けたのだろうか。
身分証明書的なものを持っていたのか?
「そういえばカナは門番に止められなかったのか?」
「ああ、それなら軽く暗示を掛けてその間に通ったわ」
無理やりすぎる。
そのうち捕まってしまうだろう。
「とりあえず身分証明書を作りにギルドに行きましょう」
「ギルドって冒険者ギルド?ステータスプレートを作りに行くのね。そう言えば私も持ってなかったわね」
この世界での身分証明書のようなものはステータスプレートと言うらしい。
「じゃあ、案内よろしく」
「ええ、任されたわ」
冒険者ギルドは二階建てのそこそこ大きな建物だった。
先ほどまでいた場所からそう遠くもなくすぐについた。
中に入ってみると、まさにテンプレの美人の受付嬢に依頼の掲示板。
さらにはなぜか絡んでくるいかつい冒険者。
なにもここまでテンプレ通りでなくてもいいだろうに。
「なぁ、嬢ちゃん俺らと遊ばない?」「そうそうこんな優男よりは頼りになると思うぜ〜?」
優男って、これでも元邪神の身体なんですけど。
「結構よ。私の選んだ男に文句あるなら実際戦ってみたら?」
えぇぇぇぇー!
なんか勝手に話が進んでいく。
「ちょっと!ギルド内で暴れてもらっては困ります!」
見かねた受付嬢が止めに来る。
「嬢ちゃん達ギルドに登録に来たんだろう?なら、適正試験の相手を俺らがすればいいだろ?」
チンピラAがどんどん話を進めていく。
「二対二で、そっちが負けたら嬢ちゃんを貰うぜ。ないとは思うがそっちがが勝ったら何でも言う事を聞いてやるぜ!」
チンピラBが勝手に条件をつけていく。
「いいわ。受けて立ちましょう」
カナが許可を出す。
「はぁ、また書類仕事が増えますね」
「俺、登録に来ただけなのに」
「「はぁ、お互い大変ですね」」
受付嬢とは息が合いそうだった。
二章の更新は毎日は出来なさそうです。
6月はなんか色々忙しいので。
評価、感想待ってます。
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