行き当たりぱったり・・・
はい、主人公はおバカです。
見捨てずにお付き合いいただければ幸いです。
何か起きて欲しくて始めた旅ではあるけど、こういうものはあまり来ないでほしかった・・・
というか起こる前に終わりそうだ。
食料が尽きた・・・
旅に出てから2週間、当然と言えば当然ではあるけど、ただ何もせずに馬車を走らせるだけなのだから食料が尽きるのは当たり前だ。
既に3日前には食料が尽き、今は川辺で馬の休憩を兼ねて馬車を止め、水で空腹をごまかしている。馬が馬車にのせてあった藁を食んでいる、馬の姿を見て憎らしいと思ったのは生まれて初めてだ・・・
正直かなり限界に近い、今まではうまい物でもなかったが飢える事はなかった。もともと食が細く食べる事に執着はなかったので食べないことはあったが、食べられないことがここまで辛いことだとは考えていなかった。胃が引きつって思考がぼやける・・・
今までの生活が嫌で飛び出してきたのでこれもいい経験ではあるのだろう。ただ、辛いことに変わりはないのだが・・・
藁を食む馬は幸せそうだ、藁とはそんなにうまいのだろうか?
馬も人間も同じ動物だ、馬が食べられるのであれば俺もいけるんじゃないか?そう思って食事中の馬に近寄っていく。
少しずつ、這いよって行く。もう少し、もう少しで手が届く、そんなところで・・・
チッ!
何かが高速で目の前を取りすぎた?
というかかすった!
前髪が風圧で巻き上げられた時点で状況に気付く。
馬の脚だ、餌をとられそうになった為威嚇してきたらしい・・・
「ふ・・・ふふ・・・ふふふふふふふふふ」
理解した、そして笑いがこみあげてくる。人間、退いてはいけないときがある。
今がその時だ!!
「馬の分際で主人に手ぇ(脚)挙げるとはどういう了見だこのど畜生が!!」
餌の奪い合いで人間様が畜生に負けるわけにはいかない。頭の片隅に畜生と餌の取り合いをしてる時点で、人間として終わっているような気もしたが気のせいだろう。空腹で頭が回らない。
残っているすべての力で立ち上がる。空腹で既に膝が笑っているがそんなことは関係ない。
決着をつけてやらねば・・・
「格の違いを教えてやる!!」
啖呵をきって一歩踏み出す、サイドステップで後ろに回り込む。いくら馬の視界が広くとも360度ではない真後ろでは視認できないはずだ。
完全に視界の外からの攻撃、渾身の右ストレートで奴に格を教え込もうとしたその時
真下から高速で何かが通り過ぎ・・・はしてくれなかった。
高速の何かは的確に俺の顎をとらえた。
空がみえる・・・
全てがスローモーションのように見える中、そのまま意識が飛んでしまう。
食事中の動物にはもう近づくまい・・・
主人公の初台詞:「ふ・・・ふふ・・・ふふふふふふふふふ」
初戦闘 :馬
残念すぎる・・・・・・
次回は5/30(金)0:00に更新できるといいなぁ・・・