王の裁き
とある国に、王様がいました。
王様は隣の国と戦争をしていました。
その戦争は永く、多くの犠牲を出しました。
そんな中、一人の少年が王様の前に連れてこられました。
兵士が言いました。
「王様!この少年はあろうことか、わが国で殺人を起こしました!どのような裁きを与えますか!」
兵士は王様にそう伝えると、続けて説明に入りました。
「少年は何の罪もない民を剣でつき殺しました!殺した理由もなく、たまたま居合わせた民を殺したのです!」
王様は理由を聞いて、裁きを与えました。
「命を殺めた罪は、命で償うしかない!死刑を言い渡す!」
少年は、死刑になりました。
処刑当日。
多くの民衆が集まる中、処刑が行われようとしていました。
「何か言い残すことは?」
兵士は少年に尋ねました。
「最後に1つだけあります。」
兵士は1つの言葉の発言を許しました。
「まず、僕が裁かれるのは大きな間違いです!」
少年の言葉に、民衆の多くがどよめきたちました。
「なぜ、間違いなのだ?」
王様が少年に聞きました。
「僕は人を殺していません!人を殺したのは剣です!」
王様は立ち上がり、少年を睨みつけました。
「少年よ!責任という言葉を知らんのか!剣は人を守る為に使うか、人を殺めるために使うか。それは、使う人に責任がある!」
「王様!それでも僕が裁かれるのはおかしいです!」
王様は腕を組み、少年を睨みつけている。
「なぜ、おかしいのだ!」
「それは、王様!あなたがいるからです!」
「なんだと!?」
兵士は王様を見つめ、民衆はざわついていた。
「隣の国と戦争をし、多く兵士を使い、理由のない民が死んでいってます。王様!誰が裁かれるのでしょうか!」
王様はイスに座り込み、下を向き、小さな声で呟いた。
「それは…私が裁かれなければならない…」
王様はすぐに隣の国と戦争をやめ、生涯、少年の言葉を忘れなかったそうです。