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魔女の憂い  作者: 綾瀬 律


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1.魔女

新連載です

「星なし転移者と仲間たち〜逃亡中〜」のシェリルの物語

10話程度を予定しています…



 私は生まれた時から魔力が多かった。

 そう師匠でもある母に言われたのはいつだったか。魔力は遺伝する。高い魔力を持つ母は魔女で、だから母はやはり高魔力保持者である父と結婚して私を産んだ。


 魔女とは高い魔力を保有し魔法を生業とする人を指す。魔力が高いだけでは魔女になれない。

 師匠である魔女に弟子入りし、腕を磨く。

 調薬、創薬、そして幻影魔法、加護魔法、付与魔法など多岐にわたる技を身につける。


 伴侶はパオ族である必要はなく、父も普通の人間だ。それでもパオ族の血が勝つのか、特徴的な見た目になる。

 黒髪に褐色の肌、水色の目。

 多少の濃淡はあれだ、同じ色を持つ。


 私の魔力は高かったが、魔力が高いからみんなが魔女になる訳ではない。母が私を魔女にしたのは、私の容姿が突出して良かったからだ。


 幼い頃に何度か攫われそうになった。母が私に護りを持たせてくれたから未遂で終わったものの、度重なれば心にもかなりの傷を負う。

 なので

「シェリル、自分で自分を守れるようになりなさい」

 そう言われた。


 こうして私は自分を守る為に、魔女になった。なりたかったかと聞かれると分からない。物心つく前に自分で決めた。

 決めさせられた、が正しいけど。


 師匠である母は厳しかった。

 覚えることの多さと上手くいかないことの辛さで何度も泣いた。それでも

「自由を得る為には必要なの。それが嫌なら人に支配される。あなたの容姿はそれ程なのよ」


 自由の為に私は努力した。それでも度々攫われそうになる。まるで試練のように。

 負けてなるものか!私は自由に生きたい。必要にかられて必死に頑張った甲斐があり、私は15才で魔女となった。


 その頃はまさに思春期。

 それでも魔女は師弟関係の中で欲を発散する。魔力が多いと相手にも負担になるから。

 肉親とはいえ師匠である母に手解きをされ、私はそちらの欲を制御出来るようになった。

 その頃には末の弟のマウリがやはり弟子入りしたので、時には手伝わせながら。


 そして18才で同じパオ族の子と結婚した。

 高飛車で性格は好きになれなかったが、肉感的な体は悪くなかった。まだまだ思春期、そちらの欲の発散にちょうど良かった。


 魔女は遺伝子を残さなければならないから、婚姻と出産は避けて通れない。相手が同性なら、魔女の秘薬で妊娠も可能だ。

 そうして3ヶ月後に相手が無事、妊娠した。


 それを機に私は旅に出ることにした。

 同伴するのは弟マウリだ。私の世話係兼、弟子だ。私は相変わらずの見目の良さで、下手な弟子を取れなかったから。


 パオ族は砂漠の遊牧民族だ。大きく移動する訳ではないが、定住はしない。そんな暮らしをしていたからか、拠点サーラヤに決めてからも私は行商の旅に出ていた。


 そんな風に順調で少しだけ退屈な毎日を過ごしていた私は運命の出会いをする。私が生きてきた意味だと、そう感じるほどの衝撃だった。




シリーズ化しました!

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