100円でカレーを提供する店が儲ける方法
出張で始めて行った街の駅前にある食堂街の片隅に、カレー屋があった。
なんでそのカレー屋が目についたかっていうと、店の出入り口の上に掲げられた看板に、大きく『100円カレー』と書かれていたから。
昼飯は此処で良いかと店に入る。
カウンター前の椅子に座り、メニューを見ることも無く「100円カレー」と注文した。
「ハイ、ありがとうございます、100円カレー注文入りました。
ところでお客さん、ちゃんとメニュー見といてくださいよ」
注文を聞き厨房に注文内容を伝えた店員がメニューを見ろって言うので、見る。
メニューの100円カレーと書かれた部分の後ろにこう書かれていた。
『100円カレーを一口でも残したら1万円頂きます』
え、1万円? どういう事だ? 疑問に思い店員に問いかける。
「此れ、どういうこと? もしかしてメチャクチャ辛いの?」
「イエ、辛くは無いですね」
「じゃ何で?」
「食えば分かりますよ」
店員と話していたらカレーライスの皿が私の前に置かれた。
恐る恐る一口頬張る。
ウ……、ま、不味い。
あまりの不味さに叫ぶ、「み、水くれー」と。
そしたら店員がレジの脇の自動販売機を指差し、「水が欲しければ自販機で購入してください」と言う。
残して1万円も払いたく無い、だから水で流し込もうと水を買いに行く。
水を買いに自販機の前に行ったら、ペットボトルの水もお茶もその他のドリンクも全て、2000円の値札が付いていた。