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暗闇の中で

無愛想にチェックインし、鍵を受け取ると、

部屋に入るなり荷物を投げるようにドサッと置いた。


窓のそばに立つ。


明かりのついていない暗闇の部屋。

外は都会の街並み。

ビルやら街灯なんかでこんな時間でも明るい。



腕を組む。

無意識の内に親指の爪に歯を立てて力を入れていた。


自分でもなんでこんなに苛ついているのかわからない。

別に、友人の片想いが実っただけ。

それだけなのに。



「…………かい、どうさん……………………」



自信なさげな表情。

情緒不安定。

かっこいいわけでもない。

仕事ができるようにも見えない。

言動も行動も支離滅裂。

完全に感情だけで動くタイプ。



自分の大っ嫌いなタイプ。





「認めない……」


人生でこんなに心がかき乱されることなんて無かったのに。

あんなに感情を出すことなんてなかったのに…!


「絶対に……!」


爪が割れたのにも気が付かず、窓の外を睨みながらただただ力の限り噛みちぎっていた。






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