第2話
子育てをするにあたって不安なところがある。一応クエストで一生分は稼いでるから資金面は問題ないんだが、問題は…
「おれ、子育てなんかしたことないどころか知識すらほとんどしたことないんだよなぁ。………まぁ、物は試しだ。やってみなければ分からない。」
───近くのギルドにて
「え、sssランク冒険者!?しかも古代龍を単独討伐って………」
「とりあえず、これを換金してる間少し話があるんだがいいか?」
「は、はい。私に答えられることでしたら」
───
「つまり、子育てをするからバッジを返却すると。」
「そういうことだ。できるか?」
「できますが、冒険者は自分のタイミングでクエストを受けるのでバッジは記念としても持ってていいんですよ。クエストを受けたくなったら受けれますし。」
「そうなのか。じゃあまだ取っておこうかな?」
「その方がよろしいかと思います。」
「わかった、ありがとう。」
───10年後
「お父さん!見てて!」
───キィィィンキン!キン
「いい太刀筋だな。前よりも洗練されている。」
「えへへ、お父さんに褒めてもらいたくて頑張ったんだ!」
こいつは長女のキリア。長女と言っても数ヶ月の差らしいけどな。でも姉妹の中でも恐らく1番強い。このままだと抜かされるかもなぁ。
「久しぶりにお父さんと手合わせしたいな。」
「お、いいな。久しぶりにやってみるか。」
───
『スッ…』
「っ………!!」
「よし、俺の勝ちだな。」
「全く手加減しないのも圧倒的な強さもお父さんのままですね。」
「まぁ手加減したらキリアが怒るだろ?それにまだまだ子供に負ける歳じゃないからな。おれはまだ日々強くなってるぞ。」
「30歳を超えても成長し続けるなんて普通はおかしいんですよ。それが元sssランクいや、現sssランクでもありますか。そんな人間離れした人じゃなければ、ですけどね。」
「それはもう10年前の話さ。お前らが生まれたと同時にな。でもやめたことは後悔したことないなぁ。」
子供たちには俺が実の父親じゃないということは知らされてない。そっちの方が幸せだと思ったからだ。
………いつかは言わないといけない、けどな。
お母さんがいない時点でバレるかもしれないが、一応子供たちが小さい頃に病気で無くなったと言っている。それでも家に母親の写真もないから、バレるかもな。でも今は、この楽しい子育ての時間を楽しむとするか。