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3.転生王子は現状を把握する。


 突然、この部屋の扉が開く。俺とブルーノ兄上は揃ってびっくりし、音の鳴った方へ顔を向ける。


「アルフレッドの意識が戻ったと聞いたが?」


 開いた扉から、冷淡な表情の男の子が入ってきた。

 その子はもう一人の俺の兄、ルドアート王国第一王子のエミエル・リアム・ルドアート。現在八歳。金髪碧眼のキラキラとした王道王子。跡継ぎ教育か何かあるようで、俺とは全然関わりがない。

 俺が転けて前世の記憶を思い出したあの散歩のときは、偶然ばったり出会い、そのまま一緒にいた。だから、俺が転けたことも目撃している。


 ぶっちゃけると、俺はエミエル兄上が苦手だ。人見知りをしているっていうのもあるが、エミエル兄上の場合は……


「はぁ……アルフレッドの目は節穴か?誰でも避けることの出来る大きさの石でつまずくなど、呆れてしまうぞ」


 なんだか鼻につく言い方をするからだ。いや、転けた俺が悪いってことは分かるんだが、それにしても言い方ってものがあるだろ……と思ってしまう。


「兄上、アルフレッドはまだ二歳ですよ?けがをしないというのは難しいです。それに、まずは心配の言葉からではないですか?」


 ブルーノ兄上はムッとした顔でエミエル兄上の方へ向く。そして、至極真っ当な台詞を発する。

 そうだそうだ。俺は前世の記憶を取り戻しただけの二歳なんだぞー!


「ああ、そうだ。だからこそ、この部屋に来たのではないか。ベッドから身を起こせるくらい元気だということが確認出来たので、私は失礼する」


 今来たばかりなのに、エミエル兄上はすぐに部屋から出ていった。一体、何がしたかったんだろうか。俺は頭を捻る。今のところ、俺に少し嫌味を言っただけなんだけど。


「ブルーノ様、そろそろお時間です」


 コソッと、ブルーノ兄上の従者が耳打ちした。ブルーノ兄上はその言葉を聞いて、急いで壁に掛けてある時計を見る。


「ごめんね、アルフレッド。兄上はお勉強の時間があるから……」

「わかった。ぼくはここでじっとしてるよ」


 俺は素直に頷いた。勉強をしっかり頑張っているブルーノ兄上には本当に尊敬する。そして、俺も大きくなったら兄上みたいに勉強第一になると考えると今から憂鬱だ。


「おとなしくできるアルフレッドは立派だね」


 ブルーノ兄上はそう言って俺の額に軽く口付けし、爽やかに出て行った。なんと恐るべし王子様。さらっとキスしたぞ。天使はかっこいいのも持ち合わせているのか。いや知ってた。俺の兄上はかっこよくてかわいいんだ。異論は認めない。

 今の俺は前世を思い出した影響で元からあった憧れを増大させたようだった。


「アルフレッド様、どういたしましょう」


 ブルーノ兄上が出て行った後、壁に控えていた従者が聞いてきた。名前は確か……


「フェリックス」

「はい、なんでしょうか」


 名前を呼ぶと、その執事……フェリックスが近寄ってきた。前の俺からするとでっかいお兄さんという印象だったが、前世を思い出した今からすると、まだまだ若い青年だ。確か最近に入ってきた従者だけど、なんか偉かったはず。歳は確か……いくつだっけ?


「フェリックスって、いま、なんさい?」

「12でございますが……」


 わっか!! 青年どころじゃなかったわ!! というか12歳ならフェリックスどんだけ大きいの!? いや、それについては自分が小さいのか。

 ていうか、周りも結構若い人が多いぞ。今まで疑問にも思ってなかったけど、なんか変じゃないか?

 うーん、これからあの『思い出したこと』について考えようと思ってたけど、色々疑問が増えた気がする。まあ、とりあえず。


「こたえてくれて、ありがとう。これからねるから、これしめて」

「かしこまりました」


 フェリックスは頷き、ベッドについているカーテンを閉めた。隙間が無いことを確認して、俺はベッドに寝っ転がる。俺は昔から周りが囲まれていないと寝れないのだが、前世を思い出した今もそうだ。やっぱり、俺は『アルフレッド』であり、『響友』では無いのかな。前世の影響が濃いとはいえ、俺は今までの俺のようだ。


 俺はコロンッと寝返りを打つ。

 さて、まずは前世を思い出した中で一番重要そうな『乙女ゲーム』について考えるか。

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