2.転生王子は覚醒する。
「……レッ…フレッド……」
「アルフレッド!」
パチッ
「アルフレッド!大丈夫か?!」
目を開けると、超絶イケメンの顔がどアップにきていた。
「うわっ!」
「?どうしたんだ?」
イケメンは首を傾げていたが、俺はそれどころじゃなかった。
びっくりした!もう心臓がバクバクした!前世の記憶を思い出したせいでまだ頭が起きてないんだよ!
あ~と、俺は一体……あぁ、そうだ。
俺はアルフレッド・リアム・ルドアート。ここ、ルドアート王国の第三王子で、現在は二歳。ルドアート王国は大陸内での最大の王国で、世界最先端を突っ走ってる国だ。大昔から長く続いている国なので悪いところは沢山あるが、まあ、周りの国と比べたら平和な国ではないかと思う。
「大丈夫か?どこか痛いのでは……」
俺を心配してくれているこの超絶イケメンは、俺の兄、ルドアート王国第二王子のブルーノ・リアム・ルドアート。現在六歳。だが、六歳とは思えないほどにしっかりしている完璧な幼児だ。
ブルーノ兄上は幼いながらに俺のことを構ってくれていて、正直今世の8割はブルーノ兄上の側にいる。先ほどの散歩の時間は勿論、食事のときやト……うん、思い出すだけで恥ずかしくなる。それについて考えるのはやめておこう。
俺は、俺を心配してくれているブルーノ兄上を落ち着かせようと口を開く。
「あ、あにうえ。ぼくは、もうだいじょうぶなので……」
うっ、喋りにくい!
幼児だからなのか、俺は言葉が喋りにくかった。いや、前世の記憶のせいで違和感があるだけで、前から俺はこんな感じで話していたけど。
「頭をけがして大丈夫なわけないだろう?アルフレッド、僕がいつものおまじない、してあげようか?」
そんな俺に、ブルーノ兄上はそっと俺の手を自身の手で包む。
兄上のいう“おまじない”というのは、よく俺が泣いたときにしてくれる動作のことだ。俺の両手を優しく握って、神に祈りを捧げる。
「神様。僕の弟、アルフレッドの痛みを僕に分け与えてください。……ね、もう痛くなくなったよ!」
ニコッと笑うブルーノ兄上に、俺は身体中が癒された気がした。天使だ。俺の兄上、天使だ。いや知ってた。兄上が最高なことは知ってたけど。俺は兄上のおかげでニコニコと笑顔になる。兄上も俺が笑顔になって安心した様子で……
ガチャッ
急に、部屋の扉が開いた。