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ハニートラップ(3)

4人組のポテンシャルが凄い❗️

 私は、姫様の変装用に身につけていたティアラを投げ捨て、シルクの手袋を外し、ヒラヒラして動きにくいスカートを大鉈で裂いて動きやすい長さにする。

 そして爪先で馬車の床板を叩く。


 タンッタンッタンッタタンッ!


 私は、両手で大鉈の柄の中心を握って垂直に構え、両足の踵と爪先でリズムを刻んで飛び跳ねる。

「チャコ離れて!」

「分かったにゃ!」

 チャコは、敬礼の姿勢を取ると馬車から飛び降りる。そして(オーガ)達の足元を身を屈めて潜り抜け、逃げ惑いながらも見物している民衆の中に入り込んだ。

 さすが猫の獣人、とても素早い。

 さあ、これで遠慮はいらない!

 私は、胸と、腰と、足を旋律(リズム)に合わせて動かし、畝り、回転させ、大鉈を縦横無尽に振り回して(サークル)を描く。


 タンッタンッタンッタンッ!

 ターンッタッタッタッターン!


武舞踏(ダンス)!」

 私は、大鉈を振り上げる。

 その刀身に革袋がぶつかり、赤目蜂の蜂蜜が覆う。

 私は、馬車の上から飛び跳ねる。

 (オーガ)が群れをなして襲い掛かる。

 私は、刃の腹を前にし、大鉈を振り下ろす。

 大鉈は、(オーガ)の肩に直撃し、そのまま地面に沈める。赤目蜂の蜂蜜が刀身から溢れ、(オーガ)の巨体を地面に縫い付ける。

 怯む(オーガ)

 私は、旋律(リズム)を刻み、大鉈を縦に、横に、斜めに振るう。

 (オーガ)達は、私に拳を振るい、足を蹴り上げ襲い掛かるも私の旋律(リズム)に乗ることが出来ず、全ての攻撃が宙を叩く。

 大鉈の一撃を肩に、腹に、足に食らい、そして地面に、壁に縫い付けられる。

 刀身から蜂蜜が無くなるとすぐさま、革袋の球が飛んできて刃を黄金色に染める。

 遠くの屋根の上ではイリーナが木剣を振るい、ディナが蜂蜜を詰めた沢山のお手製の革袋の球を風の力で宙に浮かせていた。森と共に生きるエルフの血を引いてる為に僅かだが風を操る力があり、球を宙に浮かせていた。

 サヤは、いつもの眼鏡を外して長い木の棒を弓矢のように構えて私に標準を合わせ、イリーナに狙うべき方向を指示していた。何でも母が狩人の一族で子どもの頃から狩りに連れ出されて弓矢の技術を学んだそうだが「野蛮なことはしたくない!」と言ってその技能を封印していたらしい。

 そしていつの間にか合流したチャコがサヤの両肩に自分の手を置いて指を動かしている。ピアノの調律師の娘であるチャコは音感が抜群で私の武舞踏(ダンス)のリズムを掴んでサヤの補助をしている。

 単純に凄い!

 4人の総合的な技能を合わせればメドレーの戦士達なんて足元にも及ばないかもしれない。

 しかも、(オーガ)への感染対策予防も何度か教えるだけで身につけることが出来た。

 私は、彼女たちを信頼し、戦いに身を置くことが出来た。

 私は、旋律(リズム)に心と身体を浸し、足を動かし、大鉈を振るう。

 視界を狭めず視野を広く持ち、最大限の手加減をして蜂蜜に染まった大鉈を振るう。

 刃は、ぶつけるだけでいい。

 後は蜂蜜が動きを封じてくれる。

 私は、次々に襲いくる(オーガ)を次々に地面に、壁に叩き伏せ、縫い付けていく。

 紫電が舞う。

 私は、旋律(リズム)を変えて反射し、紫電を全て避ける。(オーガ)達が巻き込まれ、感電する。

 私は、大鉈を振り回しながらマナの上に立つヌエを睨む。

 そして訝しむ。

 弱い・・・。

 あの時の紫電に比べて威力が遥かに弱く、受けたとしても痺れる程度であったろう。

 (オーガ)達がダメージを受けないようにしてる?

 しかし、私はそれ以上、そのことに思考を向けていられなかった。

 (オーガ)達は蟻の群れのように溢れてくる。

 街道から、家の隙間から、そして屋根の上から・・。

 私は、蜂蜜に濡れた大鉈を振るい、(オーガ)達の動きを封じるも倒した数よりも出現する数の方が圧倒的に多い。

 本当に国民全てが感染しているのではないかと錯覚を起こすほどに。

 ヌエもマナもこんなに近くにいるのにこれでは近づくことすら出来ない。

 刀身から蜂蜜が消える。

 しかし、蜂蜜を補充する為の革袋の球が飛んでこない。

 私は、視線のみを4人組の方に向け、絶句する。

一体なにが⁉️

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